伊ジャズについて若干のうんちく
イタリアの音楽と言えばオペラとカンツォーネ。しかし、昔から、ジャズの人気もなかなかのものだそうです。
我が国では、イタリアン・ジャズについての情報が殆ど無い時代が続きました。ここ10年はネットの恩恵を得て、イタリアン・ジャズの情報が入手出来る様になりましたが、20世紀の終わり、ネットが発達する前は殆ど無いに等しい状態でした。
ネットで得られる情報を取り纏めてみると、イタリアン・ジャズの歴史は、1940年代半ばに遡ります。ムッソリーニ独裁政権が幕を閉じた1943年以降ジャズが根付いたことに始まるとのこと。1950年代に入ると、本場米国のジャズ・シーン、米国東海岸のハード・バップ、米国西海岸のウエストコースト・ジャズの双方からまんべんなく、ダイレクトに刺激を受けながら、50年代後半には、本格的な盛り上がりを見せたイタリアン・モダン・ジャズ。
英国ジャズが、本場米国で1940年代半ば〜後半にかけて一世を風靡したビ・バップに強い影響を受けたこと。独のジャズが本場米国の1950年代終わり〜1960年代前半に出現したフリー・ジャズに強い影響を受けたこと。これら同じ欧州圏の英や独と比較すると、イタリアン・ジャズについては、米国東海岸のハード・バップ、米国西海岸のウエストコースト・ジャズの双方からまんべんなく影響を受けたという背景は実にユニークです。
欧州圏は国によって、本場米国ジャズからの影響の受け方が違う。これが欧州圏の各国ジャズの面白いところです。イタリアン・ジャズは、1950年代の本場米国ジャズの黄金時代を現出したスタイル、米国東海岸のハード・バップ、米国西海岸のウエストコースト・ジャズの双方からまんべんなく影響を受けていることから、本場ジャズの「ええとこ取り」をしている、実に正統派なアプローチが特徴と言えるでしょう。
加えて、イタリアン・ジャズの面白いところは、演奏が正確無比にカッチリまとまっておらず、ところどころラフに演奏されるところ。出だしがちょっとずれたり、拍子のカウントがちょっとあわなかったり、粗い面も見え隠れするんですが、演奏の勢いで押し切ってしまうところが、これまた面白い。アレンジだってそう。曲によっては、結構、ラフでいい加減だったりする。こういうところって、国民性が出るんですかね〜(笑)。
さて、そんなイタリアン・ジャズ。イタリアでは、クラブ・ジャズ(ニュー・ジャズの範疇での「踊れるジャズ」の流れ)の影響を受け、なかなかの人気だそうです。つまり、イタリアン・ジャズの魅力は「懐かしさと新鮮さ」が同居しているところです。正統なジャズの歴史を伝承しつつ、新しいジャズの要素も積極的に取り込む。なんだかイタリア料理の真髄を引き継いだような、「懐かしさと新鮮さ」の同居です。
僕が知っている、聴いたことがある、イタリアン・ジャズのジャズメンは、ピアノのEnrico Pieranunzi(エンリコ・ピエラヌンツィ・写真左)、Stefano Bollani(ステファノ・ボラー二・写真右)、トランペットのEnrico Rava(エンリコ・ラバ)、Fabrizio Bosso(ファブリッツィオ・ボッソ)くらいでしょうか。
特に、ピアノのエンリコ・ピエラヌンツィは、1980年辺り、大学3回生の頃に出会っており、かなり早くからイタリアン・ジャズのピアニストの音に触れていたことになりますね。その時のエピソードは、2009年12月9日のブログ(左をクリック)に詳しいので、そちらをどうぞ・・・。
それでは、暫く、イタリアにちなんだジャズを特集して、ブログで語りたいと思います。でも、今でも、イタリアン・ジャズの情報って、我が国では圧倒的に不足しているんだよな・・・。
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