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2012年5月24日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・28

昨日お話ししたが、Oscar Peterson(オスカー・ピーターソン)の、有名なライブ音源に「The London House Sessions」というのがある。このライブ音源から4枚のライブ盤がリリースされている。

まずは、昨日ご紹介した『The Trio』、そして『The Sound Of The Trio』、『Something Warm』、『Put on a Happy Face』の全4枚。いずれも、それぞれの盤に特徴があって、甲乙付け難い内容である。

実は、この4枚の中で、僕が今まで一番愛聴してきたライブ盤は『The Sound Of The Trio』(写真左)になる。ジャズの紹介本や評論では、圧倒的に昨日ご紹介した『The Trio』がイチ押し。

しかし、僕の場合、ジャズ者初心者の頃に、その『The Trio』と『The Sound Of The Trio』の2枚を同時に手に入れたのであるが、度々ターンテーブルに載ったのは『The Sound Of The Trio』の方である。今回、謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の中に挙げておきたい。

さて、このライブ盤に収録された曲を列挙すると以下の通りになる。

1. Tricrotism
2. On Green Dolphin Street
3. Thags' Dance
4. Ill Wind
5. Kadota's Blues

1曲目の「Tricrotism」と5曲目の「Kadota's Blues」はブルース。ピーターソンの超絶技巧なブルース・インプロビゼーションが凄まじい。ピーターソンは唸りを上げてインプロビゼーションを展開しているが、その「唸り」が耳触りでは無いのが面白い。

例えば、同じ「唸り」でも、キース・ジャレットの唸りは耳触りなんだが、ピーターソンの「唸り」はキーが合っていて、歌うような「唸り」なので気にならない。さすが歌手として一流の実力の持ち主のピーターソンである。逆にキースはキーが合ってないからなあ(笑)。
 

The_sound_of_the_trio

 
この1曲目の「Tricrotism」と5曲目の「Kadota's Blues」のブルース演奏では、ベースのレイ・ブラインの、これまた超絶技巧なジャズ・ベースの至芸が堪能出来る。これが結構長めのベース・ソロなので、この長めのベース・ソロを「冗長」とするか「至芸」とするかで、このライブ盤の評価分かれるような気がする。

3曲目の「Thags' Dance」では、ドラムのエド・シグペンの、これまた超絶技巧なジャズ・ドラムの至芸が堪能出来る。こちらの方は程良い長さで良い感じ。聴衆もソロが終わった後は拍手喝采。実に趣味の良い実力派ドラミングである。

そして、僕がこのライブ盤『The Sound Of The Trio』を愛する理由は、2曲目の「On Green Dolphin Street」と4曲目の「Ill Wind」の存在。この2曲が、僕にとっては「絶品」なのだ。

「On Green Dolphin Street」は、そもそも、僕にとって「大のお気に入り」の曲。ピアノの鍵盤を広く、スケール大きく使った展開は、ピーターソンならではのもの。強弱併せ持って、超絶技巧なテクニックをひけらかすこと無く、自然に展開していくインプロビゼーションは素晴らしい、の一言。良い感じなんですよね〜。

「Ill Wind」のバラード表現は絶品。ピーターソンはテクニックよろしく、実に玄人好みのバラード展開を表現してみせる。この展開は、ピーターソンにしか出来ない展開だろう。圧倒的なテクニックを保有していないと、これだけ音数の多い、しかも、耳触りで無いインプロビゼーションは不可能だ。

良いアルバムです。1曲目、3曲目、5曲目に配された、長めのベース・ソロとドラム・ソロの存在をどう評価するかで、このライブ盤の評価が分かれるところですが、僕は、このライブ盤が大好きです。とにかく、僕は「On Green Dolphin Street」という曲にとことん「弱い」(笑)。この曲が入っていると、大抵の盤は「愛聴盤」になってしまう傾向にあります w。
 
 
 
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Never_giveup_4

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