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2012年4月 5日 (木曜日)

春爛漫の季節にチェットの歌声

ユッタリとリラックス出来るジャズ・ボーカルを流しながら、うたた寝をするも良し、ユッタリとした気持ちで本を読みふけるも良し、この「春爛漫」な季節って、何故か、オーソドックスなジャズ・ボーカルがピッタリとフィットするんやな〜。

ということで、「春爛漫な季節はジャズ・ボーカル」のお話しの第2弾。春のうららかで長閑な暖かな気候にピッタリの男性ボーカルと言われて、真っ先に浮かぶのが、チェット・ベーカー(Chet baker)。

米国西海岸ジャズの人気トランペッターであり、裏の顔は「筋金入りのジャンキー」。そんな破天荒なトランペッターは米国西海岸ジャズを代表するボーカリストでもある。

そんなチェット・ベーカーのボーカル・アルバムの中で、今日、選んだアルバムは『Chet Baker Sings and Plays』(写真左)。1955年2〜3月の録音。

ちなみにパーソネルは、Chet Baker (vo, tp), Red Mitchell, Carson Smith (b), Corky Hale (harp), Edgar Lustgarten, Kurt Reher, Eleanor Slatkin, Ray Kramer (cello), Bud Shank (fl), Russ Freeman (p), Bob Neel (ds)。当時の米国西海岸ジャズの一流どころのミュージシャンがズラリと並ぶ。

チェットのボーカルは「中性的」。男性ボーカルでありながら、力強さや豪快さは微塵も無い。柔らかで丸くて滑らか。「アンニュイ」という形容がピッタリの「気怠さ」。でもただの「気怠さ」では無い。変な形容なんだが、チェットのアンニュイで中性的なボーカルの背後に、男性ボーカルならではの「力強さ」が漂っているのだ。

Chet_sings_plays

気怠い雰囲気のボーカルだけど、一本筋が通っているというか、頼りなさげではあるが芯はシッカリしている、という感じが、僕にとっては実に魅力的である。ボーカル・テクニックも水準以上であり、聴いていて疲れない、実に良い雰囲気の男性ボーカルである。

担当楽器のトランペットもなかなかに優秀。オープン・ホーンのマイルスの音色に似た、円やかで滑らかなブロウ。間奏部分のワンフレーズ程度のブロウなんだが、これがなかなかに良い雰囲気なのだ。しかも面白いのは、チェットのトランペットは、ボーカルと同じ響きがする。アンニュイなトランペットの響きは、チェット・ベイカーの無二の個性である。

加えて、チェットのボーカル、は「甘すぎ」で「泣き泣き」なんだが、どうしてなんだか、不思議と飽きが来なくて、何度も繰り返し聴いても平気。チェットのボーカル・アルバムは、知らず知らずのうちにヘビロテになっている(笑)。この『Chet Baker Sings and Plays』も例外では無い。事実、この『Chet Baker Sings and Plays』は今日のヘビロテ・アルバムになっていた(笑)。

全編通して38分弱で、ちょっとアルバムとしては短いかなあとは思うんだが、選曲が良く、アレンジが良い為、アルバム全体で統一感があって飽きが来ない。しかも、チェットのボーカルはなぜか飽きが来ない性質をしているので、2〜3回繰り返し聴いても気にならない。実に不思議なボーカルではある。

『Chet Baker Sings and Plays』において感じられる「微妙な翳り」。ちょっと緩くて、時折、音程が心許なくなる様な、アンニュイなチェットのボーカルによって、陽光降り注ぐ様に健康的な米国西海岸系ピアノ・トリオのアンサンブルに微妙な陰りが生じる。

この「微妙な翳り」が、春の「物憂さ」、春の「寂寞感」、そして春の「隠れた狂気」を感じさせてくれる。春爛漫の季節にチェットのボーカルは、ちょっと危うい。その「儚い危うさ」がチェットのボーカルの魅力なのだ。

この『Chet Baker Sings and Plays』は、チェット・ベイカー入門に最適な一枚だと思う。

 
 

大震災から1年。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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