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2012年4月14日 (土曜日)

Stevie Wonderの「最初の成果」

僕がそれまで持っていたR&Bのイメージを根底から覆したアルバムがある。Stevie Wonderの『Talking Book』(写真左)である。1972年のリリース。『Innervisions』『Fulfillingness' First Finale』を含めて「黄金の3部作」と称えられる傑作の一枚である。

この『Talking Book』を初めて聴いたのは、確か、高校2年生の秋、R&B好きな友人宅でのことである。スティーヴィー・ワンダーという名前は知っていた。が、まとまってアルバムを聴くなんてことは無かった。なので、R&B好きの友人から、Stevie Wonderのアルバムを聴くか、と言われた時は、二つ返事で「もちろん」。友人がLPに針を落として、ステレオでかけてくれる瞬間、ドキドキした。

そして、スピーカーから出てきた音を聴いて、「これがR&Bの音か?」と、びっくりした。それまでの、僕のR&Bの音の印象と言えば、黒くて粘りがあって、俗っぽくて、ファンキーな香りがプンプンする、そんな黒人の流行歌的なイメージを持っていた。しかも、コンセプト・アルバム的なイメージは全く無く、一発勝負のシングル・レコード的なイメージの方が強かった。

そんな印象、イメージの中での、Stevie Wonderの『Talking Book』体験である。たまげた。まず、収録されている全ての曲が「クール」。俗っぽいイメージなど全く無く、実にアーティスティックなイメージの方が強い。そして、アレンジがスマート。女性コーラスの使い方、シンセの使い方、エレピの使い方等、どれをとっても凄くスマートでクレバー。

しかも、作曲のイメージ、アレンジのトーンについて、絶対的な統一感があり、このアルバムについては、コンセプト・アルバム的なイメージが強い。アルバム全体での統一感が確立されていて、R&B系のアルバムとしては秀逸な出来である。全く、曲の寄せ集め感が無いところが凄い、と思った。繰り返し聴いても飽きが来ない。曲の並べ方、アレンジのバリエーションなど、アルバム・コンセプトがしっかりしていて、良く考え抜かれている。
 

Stevie_talking_book

 
収録されている曲はいずれの曲も優れたものばかりであるが、そんな曲の中でも、シングル・ヒットした「Superstition」と「You Are the Sunshine of My Life」の出来が、とりわけ抜きんでている。どちらの曲も、スティーヴィー・ワンダーのエレピやシンセという電気鍵盤楽器の使い方、音の出し方が秀逸。ボーカルの素晴らしさはさることながら、キーボードの素晴らしさが抜きん出て光る素晴らしさである。

ちなみに、「Lookin' For Another Pure Love」という曲では、Jeff Beck がエレギで参加している。乾いたファンク・ギターという雰囲気で、素晴らしいバッキングとソロを披露している。この「Lookin' For Another Pure Love」を切っ掛けにした、スティーヴィー・ワンダーの「なんだかなあ」とちょっと呆れるエピソードがある。

「Lookin' For Another Pure Love」でのギターの参加について、スティーヴィー・ワンダーが大変感激し、そのお礼に自作曲であった「Superstition」をジェフ・ベックに贈ることになった。と、ここまでであれば「良い話」なんだが、事もあろうにスティービーはジェフよりも先に「Superstition」をレコーディングし、さっさと発表してしまった。しかもこの曲は大ヒット。これには、さすがのジェフも激怒したと言われている。

しかも、この後が更に「なんだかなあ」な話なんだが、その埋め合わせということで、急遽、スティービーは「哀しみの恋人達」という曲をジェフにレゼントしたらしいのだが、これまた、シリータの方が先にレコーディングしてたことが判明。この「なんだかなあ」の話を聞く度に、聖人の様な扱いを受けているスティービーではあるが、意外と人間的には「とっぽい」ところがある、意外と俗っぽい人なんだなあ、と感じて、ガッカリもするが、ちょっとホッとしたりもする(笑)。

まあ、人間的な性格と音楽的な才能とは正比例しないので、前述の話は「ちょっとしたエピソード」として留め置くとして、Stevie Wonderの『Talking Book』は、スティービーの才能と個性が花開いた「最初の成果」として位置付けられる傑作である。

Stevie Wonder『Talking Book』と言えば、個人的には、やはり「You Are The Sunshine Of My Life」。昔から、この曲は震えがくるくらいに大好きな曲。しかも、今の季節である「春」に聴くこの曲は絶品。特に、スティービーのエレピの揺れるような音の響きが心地良い。 

 
 

大震災から1年。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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