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2012年3月 6日 (火曜日)

Rites Of Pan(牧羊師の祭典)

フルートという楽器にとってジャズはちょっと難物である。フルートの音色は柔らかくて女性的。硬派な純ジャズの旋律を奏でるには、ちょっと優しすぎる。加えて、音の抑揚や強弱が付け難く、エモーショナルな表現が苦手。つまり、よほどの名手でないと、メインストリーム・ジャズの世界は難しい。

メインストリーム・ジャズの中で、そんな難物のフルート。そのフルートの名手の一人がLew Tabackin(ルー・タバキン)。もともとはテナー・サックスの名手で、穐吉敏子のビッグバンドを支える夫君でもある。が、テナーも素晴らしいが、それにもまして、タバキンのフルートは名手中の名手と言って良いほどの腕前である。

そんなタバキンが、フルートに専念して吹き込んだアルバムが『Rites Of Pan(牧羊師の祭典)』(写真)。1977年9月と1978年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Lew Tabackin (fl, alto-fl), Toshiko Akiyoshi (p), Shelly Manne (ds), John Heard (b), Bob Daugherty (b)。

このアルバムを聴いて、名手であればフルートも十分、純ジャズのメイン楽器として通用すると、心から感心した。ちなみに「名手」でないといけない。つまりは、テクニックよろしく、音の抑揚や強弱をしっかりつけることができて、エモーショナルな表現が自然に出来ることが必須。これは、よほどの名手でないと出来ないこと。

冒頭の「Autumn Sea(秋の海)」が素晴らしい。この1曲を持って、この『Rites Of Pan(牧羊師の祭典)』は、メインストリーム・ジャズにおけるジャズ・フルートの名盤と言い切ることが出来る。

Rites_of_pan1

この演奏でのタバキンのフルートは,エモーショナルな表現の部分が、実に日本的な響き、いわゆる「尺八」の様な響きで、音の抑揚の付け方、強弱の付け方も優秀。フルートの優しい響きを相対する音として配しながら、本来のフルートの柔らかで女性的な響きとエモーショナルな表現としての「尺八」の様な男性的な響きの「対比」が素晴らしい。

この「尺八」的なブロウは、実にオリジナリティ溢れたものであり、強い音色やフレージングの付け方も非常に優れたテクニックをもって楽々クリアしており、タバキンのフルートは個性的なものであり、メインストリーム・ジャズにおけるジャズ・フルートのヴァーチュオーゾである。

ちなみに、「Autumn Sea(秋の海)」の名演をきくことの出来る最近作として、2011年録音の『狸's Night Out』というアルバムがある。このアルバムでの「秋の海」も、鳥肌が立つほどの素晴らしい演奏です。2009年3月16日のブログ(左をクリック)にてご紹介していますので、こちらも是非どうぞ・・・。

1977年〜1978年という、フュージョン・ジャズ全盛時代に、この様な優れたフルートが主体のメインストリーム・ジャズの優秀盤がリリースされていたという事実は、実に「痛快」である。メインストリーム・ジャズにおけるフルートの代表的名盤として、このタバキンの『Rites Of Pan(牧羊師の祭典)』をイチ押しとしたい。

現在、CD化されているジャケットは、左のイラストチックなもの。なんだかなあ、という感じで、もう少しなんとかならんか、というレベル。1979年、ディスコメイト・レーベルからLPとしてリリースされた時のジャケットは右の「何の工夫も無いもの」。しかしながら、リアルタイムでこのアルバムを聴き親しんでいた僕にとっては、右の「何の工夫も無いもの」の方が馴染みが断然に深い。  

 
 

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