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2012年3月31日 (土曜日)

再結成アルバムの難しさ

このところ、2000年代に入ってからだが、緩やかに60年代〜70年代中心のロックバンドの再結成が流行っている。クイーン、ピンク・フロイド、ビーチボーイズ、フェイセズ等々、なんだか歳を取っての同窓会の様に、昔のメンバーが集まって、和やかな雰囲気で再結成公演が行われていたりする。

そんな中で、うへ〜っと唸った再結成が「Cream(クリーム)」。クリームは、1960年代に活動したイギリスのロックバンド。メンバーは、ベーシスト兼ボーカリストのジャック・ブルースとギタリスト兼ボーカリストのエリック・クラプトン、ドラマーのジンジャー・ベイカーの3人。

解散した理由には、ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーの確執があったという「うわさ」話もあり、クラプトンも加えて、演奏の不十分さについての喧嘩があったという「うわさ」話もあり、解散の理由を本や雑誌で読むにつけ、クリームの再結成は絶対に無いし、再結成したところでいいことは一つも無いと思っていた。

しかし、1990年代には、再結成に関わる質問に、確執のあった二人と言われるジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーは「やってみたい、協力したい」との談話を残し、クラプトンも「失敗する訳にはいかないので、軽はずみには言えないが、やってみたいとは思う」などという、やや肯定的な意見を述べていたので、当時は「ほんまかいな」と思って半信半疑だった。

そして、いきなり、2005年に入って、2005年5月に再結成し、ライブ開催することを発表。再結成ライブは、5月2、3、5、6日の4日間、ロイヤル・アルバート・ホールにて行なわれた。そのライブ公演の記録を捉えたアルバムが『Royal Albert Hall: London May 2-3-5-6 2005』(写真左)。

このライブ盤を通して聴いて、なんだか複雑な気持ちになった。楽器も機材も1960年代後半と2005年とでは全く違う。当然、2005年の再結成ライブでは、その時点での最高に近い楽器と機材を使用している。録音技術だってそうだ。1960年代後半と2005年とでは技術のレベルが全く違う。3人のメンバーの演奏技術だってそうだ。テクニックという単純な観点では、当然、1960年代後半と2005年とでは全く異なる。

Cream_royalalbert_2005

正直、この再結成って「意味あんのかな〜」と思った。往年のファンからすると、同じだけ年齢を重ねた3人のメンバーが現在の姿で演奏するのを見て聴いて、懐かしさを最優先に、あの頃のイメージを思い浮かべながら、ノスタルジックな想いに浸るという点では意味があるのかもしれない。しかし、一般のロック者にとって、どういう意味があるのか、と思う。

クリームの演奏を知りたければ、体験したければ、やはり1960年代後半にリリースされたオリジナル・アルバムやライブ・アルバムを聴くのが一番だろう。それは「歴史を学ぶ」行為と同じ。弥生時代の土器を体験するには、土器の本物を見るのが一番。つまり、クリームの演奏を体験するのに、年齢を重ねた今のメンバーでの、今の楽器や機材を使用しての音を聴いても、何の意味があるのか、と思ってしまう。

確かに、このライブ盤に詰まっている音は、重ねた年齢の割には「上手い」。しかし、1960年代のクリームの様な、ライブでの火花を散らすようなアドリブ合戦は全く無い、というか、年齢を重ねた故に「出来ない」。この火花を散らすような、相手を打ち負かさんとする激しいアドリブ合戦が、当時のクリームの最大の個性なのに、である。このライブ盤には「スタジオ版クリーム」をイメージさせる演奏が詰まっている。これでは正しくクリームを体験することにならない。

ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーは、年齢を重ねた割には、クリームを離れた後の音楽キャリアの割には、演奏内容については、なかなか「健闘」している。が、1960年代後半、クリームの現役時代の演奏内容と比べると、今の演奏内容は見劣りする。クラプトンのギターだってそうだ。あまりに綺麗で整然としていて破綻が全く無い。綺麗過ぎるクラプトンのギターも、クリームもギタリストという点では、あまりに違和感が有り過ぎる。

つまりは、この手の再結成アルバムは、往年のファンが、同じだけ年齢を重ねた3人のメンバーが現在の姿で演奏するのを見て聴いて、懐かしさを最優先に、あの頃のイメージを思い浮かべながら、ノスタルジックな想いに浸るという点のみに意味がある。そういう風に割り切れば、それはそれで聴き応えがあるし、聴いていて楽しい。が、このライブ盤の演奏は、本来の「真のクリームの音」では無い。こういうところが再結成アルバムの難しいところだろう。

このアルバムでクリームを体験してはならない。このアルバムを本当に楽しめるのは、クリームのオリジナル・アルバムを聴き込んだ往年のクリームのファン、所謂「クリーム者」だけである。

 
 

大震災から1年。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

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