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2012年3月 7日 (水曜日)

エレクトリック・ジャズの基本は

Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)の『Future Shock』。この盤のリリース当時は「ハービーがスクラッチを取り込んだ」なんて驚いたり感心したりしたもんだが、今の耳で聴き直してみると、スクラッチの存在自体が、あまり効果的では無いというか、スクラッチを取り入れたが故に、新しいジャズが生み出されたのかと言えば、そうではない、と僕は思う(2011年12月21日のブログ参照・左をクリック)。

スクラッチ自体がジャズのメイン楽器の役割を担えるか、という根本的な話になるが、スクラッチ自体に「音程」というものがないので、旋律を担当するメイン楽器にはなり得ない。なり得るとすれば、リズム&ビートを担当するリズムセクションの一部として機能する可能性はある。

『Future Shock』の次作が『Sound System』(写真左)。1984年のリリース。本作は『Future Shock』に続いて、1984年の第27回グラミー賞「ベスト・R&B・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞」を受賞。

内容的にも、スクラッチを導入した『Future Shock』の続編とも言えるもの。しかし、前作『Future Shock』に比べて、格段にこの『Sound System』の方が良い。とにかく聴いていて楽しいのだ。

『Future Shock』は、単に、エレクトリック・ジャズの音世界にスクラッチを導入してみました、というか、それだけの内容だったと僕は感じている。スクラッチを導入したという話題性のみが残ったアルバムで、今となっては、かなりの「古さ」を感じてしまうし、内容的にもあまりに単純過ぎる。
 
Sound_system  
 
この『Sound System』は『Future Shock』の続編ながら、『Future Shock』とは全く違った音世界を創出している。躍動感に満ちあふれ、キメのフレーズがとにかく格好良い。印象的なリズム&ビートを前面に押し出し、スクラッチをそんなリズム&ビートの「かくし味」として織り交ぜるだけに留めた、それが成功の理由だろう。

エレクトリック・ジャズの基本は「リズム&ビート」。エレクトリック・ジャズの第一人者、マイルス・デイヴィスの教えである。このマイルス先生の「教え」を思い出したのかどうかは判らないが、共同プロデュースのビル・ラズウェルの才能全開で、リズム&ビートの構成と処理が秀逸である。

そう、この『Sound System』は、「リズム&ビート」が秀逸。そんな楽しく、格好良い「リズム&ビート」に乗って、フェアライトCMI、フェンダー・ローズ、ヤマハDX7、等々といったエレピやシンセの音色が万華鏡の如く、煌びやかに響き渡る。特に冒頭の「Hardrock」「Metal Beat」「Karabali」の流れが素晴らしい。

LP時代のオリジナル盤では収録時間が34分弱で短か過ぎるというのが「玉に瑕」であったが、現在のCDでのリイシュー盤は、ボーナス・トラック「Metal Beat (Extended Version)」の追加で、やっと収録時間が40分を超えることになり、まずまず、なんとか、聴き応えのあるものになった。

エレクトリック・ジャズの基本は「リズム&ビート」。改めて、マイルス・デイヴィスの教えを再認識したハービー・ハンコックの『Sound System』である。
 
 
 

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Fight_3

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