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2012年3月 8日 (木曜日)

スクラッチ・ジャズ路線の終焉

ハービー・ハンコック最初のスクラッチ・ジャズ『Future Shock』が1983年、次作のリズム&ビートを前面に押し出した傑作『Sound-System』が1984年。それから4年の時間が空いて、1988年にリリースされた、スクラッチ・ジャズ3部作の最終作が『Perfect Machine』(写真左)。

ハンコックがスクラッチを融合させて作ったエレクトリック・ジャズのシリーズが、この『Future Shock』、『Sound-System』、『Perfect Machine』の3枚。ジャケット・デザインの傾向も同じ雰囲気なので、この3枚をシリーズとして一括りにしても良いだろう。

そのシリーズの最終作『Perfect Machine』、これが、なんとまあ、評価し難い内容なんですよね〜。何を狙ったのか、テクノを取り入れている様でもあるが、1988年のリリースでは、それはもう「古い」だろう。ハウスミュージックを狙ったのであれば、あまりに「リズム&ビート」がチープ。過去のディスコミュージックと思って聴いてみても、メリハリが効いておらず平凡。

前作の『Sound-System』は、「リズム&ビート」が秀逸で、そんな楽しく、格好良い「リズム&ビート」に乗って、フェアライトCMI、フェンダー・ローズ、ヤマハDX7、等々といったエレピやシンセの音色が万華鏡の如く、煌びやかに響き渡る傑作であった。(昨日のブログ参照・左をクリック)
 

Perfect_machine

 
が、この『Perfect Machine』は何を思ったのか、共同プロデュースのビル・ラズウェルがとち狂ったのか、ハンコックがとち狂ったのか、何がどうなったか判らないのだが、前作の『Sound-System』で前面に押し出された秀逸な「リズム&ビート」は平凡なものになって目立たなくなっている。

そして、なぜか中途半端なボーカルものと、今までは「かくし味」程度に趣味良くあしらっていたスクラッチが、大々的に前面に押し出されている。この中途半端なボーカルものと前面で押し出されたスクラッチ、これがまあ、平凡でつまらない。

エレクトリック・ジャズの基本は「リズム&ビート」。この基本をしっかりと押さえていた傑作が『Sound-System』。なのに、なぜ次作の『Perfect Machine』では、この「リズム&ビート」の基本を忘れてしまったのか。とにかく、この『Perfect Machine』は「リズム&ビート」がとにかく平凡。う〜ん残念。

その平凡でつまらない「リズム&ビート」に乗せて、これまた何故そうなったのかが良く判らないのだが、ハンコックの名曲『処女航海("Maiden Voyage)』をカバーしている。このカバーがこれまた「意味が判らん」。まず、なぜ、スクラッチ・ジャズに乗せてカバるのか、その必然性が良く判らんし、アレンジ自体も出来は良く無く、良〜く聴いていないと、まずもって「処女航海」のカバーとは判らない。なんだかなあ、という出来である。

ハンコックのスクラッチ・ジャズの3作目『Perfect Machine』は「残念な出来」と言わざるを得ないなあ。とにかく、今の耳には、実に平凡、実に退屈に聴こえる。ハービーのスクラッチ・ジャズ路線もこのアルバムで一応の終結を見る。「スクラッチとの融合」としてはほぼ成熟、もうやること無し。これ以上の発展は見込めず。

 
 

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