最近のトラックバック

« 「風」のオリジナリティー『海風』 | トップページ | Rites Of Pan(牧羊師の祭典) »

2012年3月 5日 (月曜日)

マントラの個性が確立された傑作

40歳を過ぎるまで、ビッグバンド・ジャズとジャズ・ボーカルは意識的に避けてきた。最近、50歳を過ぎて、感性の許容量に余裕が出てきたところで、ビッグバンド・ジャズトジャズ・ボーカルにチャレンジしている。あの世に行く前には、いっぱしの「うんちく」を垂れるようにはなりたいものだ。

さて、そのジャズ・ボーカル、歌詞が判らんと意味が無い、と避けてきたが、インターネットが発達して、インターネットを活用して様々な情報が即座に入手出来る様になった。ジャズ・スタンダードの歌詞も和訳付きで手に入る。インターネットを活用したら、ジャズ・ボーカルで歌われる歌詞も何が歌われているのか、なんとか判るようになった。

ジャズ・ボーカルにチャレンジするに当たり、意識的に避けてきたとは言え、お気に入りとして親しんできた、数少ないボーカル・アルバムがある。その辺のおさらいから始めている。その「おさらい」の対象の一つが「Manhattan Transfer(マンハッタン・トランスファー)」。略して「マントラ」。

「マントラ」は、男女各2人による4人編成。1978年マッセーに代わりシェリル・ベンティーンが正式加入して現在のメンバー構成となる。ちなみにメンバー構成は、ティム・ハウザー(グループの創設者でありリーダー)、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル、シェリル・ベンティーン。グループ名は、ジョン・ドス・パソスの小説「マンハッタン乗換駅(Manhattan Transfer)」から取ったとのこと。

僕にとって、ジャズ・ボーカルもので最初にヘビロテになったアルバムが、1979年リリースの5th.アルバム『Extensions』。このアルバムについては、2011年6月28日のブログ(左をクリック)に詳しいので、一度ご参照願いたい。正統派ジャズ・ボーカル・グループのマントラとしては異質と言えば異質。コンテンポラリーなジャズをバックに、というよりは、完璧な「フュージョン・ジャズ」をバックにしたエレクトリックなジャズ・コーラス。しかし、これが「受けた」。ヒットアルバムになった。
 

Mecca_for_moderns

 
そして、1981年、その次の作品としてリリースされた6th.アルバムが『Mecca for Moderns』(写真)。前作の路線を踏襲し、引き続きJay Graydonの製作。前作の、完璧な「フュージョン・ジャズ」をバックにした、エレクトリックなジャズ・コーラスに磨きをかけたというか、完璧な「フュージョン・ジャズ」をバックにしたエレクトリックなジャズ・コーラスに、トラディショナルなジャズ・コーラスの要素を上手い具合にブレンドさせて、マントラのグループとしての個性を確立させている。

このアルバムでは、前作でそこはかとなく漂っていた違和感、バックの完璧な「フュージョン・ジャズ」とマントラが根底に持つトラディショナルなジャズの要素が微妙に噛み合わない「違和感」が完全に払拭されている。前作での「違和感」は、プロデューサーのJay Graydonの「宿題」であった。この「宿題」をJay Graydonとマントラは完全に払拭している。

全編、コンテンポラリーでフュージョンなジャズ・ボーカルで、聴いていて惚れ惚れする。疾走感、爽快感が趣味良く漂い、ボーカル&コーラスは、トラディショナルな雰囲気漂う正統なもの。とにかく、マントラは上手い。その上手さ故、トラディショナルなアレンジに乗せると、従来のジャズ・ボーカルの路線に埋もれてしまって、ポップ性、ヒット性が損なわれてしまうのだが、その「懸念」をバックの完璧な「フュージョン・ジャズ」なアレンジが払拭する。

Jay Graydonのプロデュースとアレンジワークの勝利だろう。マントラの持つ、ポップなイメージ、トラディショナルなジャズのエッセンス、本来マントラが持つ華麗なコーラスワークとボーカル・テクニック、これらが見事にミックスされて、マントラの個性として確立されている。

今や「Boy from New York City」はすっかり、コンテンポラリーなジャズ・スタンダード曲として定着し、ラストの「A Nightingale Sang In Berkeley Square」のアカペラ・コーラスは、今でも鳥肌ものだ。この2曲が、完璧な「フュージョン・ジャズ」をバックにしたエレクトリックなジャズ・コーラスに、トラディショナルなジャズ・コーラスの要素を上手い具合にブレンドさせて確立した「このアルバムの個性」を代表している。

この6th.アルバム『Mecca for Moderns』は、マントラの傑作のひとつとして、今でも僕は愛聴している。

 
 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」、「v_matsuwa」で検索して下さい。

Fight_3

がんばろう日本、がんばろう東北。自分の出来ることから復興に協力しよう。
 

« 「風」のオリジナリティー『海風』 | トップページ | Rites Of Pan(牧羊師の祭典) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/44379763

この記事へのトラックバック一覧です: マントラの個性が確立された傑作:

« 「風」のオリジナリティー『海風』 | トップページ | Rites Of Pan(牧羊師の祭典) »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ