« リンゴの「ジャズ・スタンダード」 | トップページ | ペトルチアーニのソロ・ピアノ »

2012年3月19日 (月曜日)

MJQの本質を感じられるアルバム

『No Sun in Venice』(写真左)、The Modern Jazz Quartet(以下MJQと略)の傑作の一枚。邦題は『たそがれのヴェニス』。ジャケットのイラスト(ターナーの絵が使用されている)からの印象と相まって、絵画でいうと「印象派」の絵画の様な、色彩豊かなMJQの音世界が素晴らしい。

もともとは、ロジェ・バディム監督による『大運河』の映画音楽をMJQが手掛け、その成果をまとめたアルバムが、この『たそがれのヴェニス』。映画のサウンドトラックとして、用意周到に準備された企画盤とも言える内容。インプロビゼーションがジャズの要とするなら、このアルバムの音世界は「ジャズらしからぬ」と直感的に感じるかもしれない。

インプロビゼーションの妙といった「ジャズの核心」とは対極にある、ファンクネスという「ジャズの香り」からかけ離れた、洒脱で典雅なアレンジメント、ほど良く抑制されたグループサウンド、ファンクネスとは異なる「ほのかに漂う哀愁」。MJQのグループ・コンセプトが全開。

このアルバムほど、MJQの本質を感じられるアルバムは無い。そういう意味で、この『たそがれのヴェニス』はMJQの代表作の一枚だと僕は思う。これほど、MJQらしさを感じられるアルバムは他に無い。MJQとはどんなバンドか、と問われれば、まずはこの『たそがれのヴェニス』を聴いて貰うことにしている。

No_sun_in_venice

ジャズの持つ「演奏展開の豊かさと柔軟さ」を前面に押し出し、インプロビゼーションを「知的にコントロール」しようとする企みは、MJQならではのもの。というか、MJQにしか「為し得ない音世界」。曲毎に、様々に色彩豊かに展開される音世界。バランスが絶妙なアンサンブル。そして何より、このアルバム全体に貫かれている「独特な透明感」。

インプロビゼーションとアレンジメント、自由と抑制、ファンクネスとクール、この相反する「音世界の要素」をバランス良くコントロールし、ジャズとして展開することは非常に難しい。ジャズとして、音世界として、この相反する「音世界の要素」を御することが出来たジャズメンはすばり、マイルス・デイヴィスである。そして、このMJQ、いわゆるジョン・ルイスはその後に続く。

一聴してクラシック的に響くMJQの音世界ではあるが、この音世界をクラシック的だからジャズでは無い、と一蹴するのは、あまりに早計だと思う。このMJQの音世界はジャズの範疇でしか、為し得ないアーティスティックな音世界である。ジャズの持つ柔軟性と多様性が、このMJQの音世界を実現させている。

この『No Sun in Venice』は1957年4月の録音。1957年当時、既に、これだけのハイレベルでアーティスティックな音世界を実現していたとは驚きである。決して、クラシックに「ひけをとらない」高度な内容。ちなみに、このハイレベルでアーティスティックな音世界を実現していたのは、John Lewis (p), Milt Jackson (vib), Percy Heath (b) and Connie Kay (ds) の4人である。

 
 

大震災から1年。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

« リンゴの「ジャズ・スタンダード」 | トップページ | ペトルチアーニのソロ・ピアノ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: MJQの本質を感じられるアルバム:

« リンゴの「ジャズ・スタンダード」 | トップページ | ペトルチアーニのソロ・ピアノ »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、 ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 青春のかけら達(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでのジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。         
2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

カテゴリー