こんなアルバムあったんや・10
今日は「こんなアルバムあったんや」シリーズの第10回目、現代ジャズにおける「ビートルズ・カバー」の変わり種なアルバムをご紹介しましょう。
この「こんなアルバムあったんや」シリーズは、ジャズの企画盤、珍盤、キワモノ盤など、手にして聴いて、思わず「こんなアルバムあったんや〜」と喝采の声をあげたくなるようなアルバムをご紹介しています。右のカテゴリーの「こんなアルバムあったんや」をクリックすると過去にご紹介したアルバムのブログ記事をご覧頂くことが出来ます。
さて、『Bob Belden Presents, Strawberry Fields』(写真)という企画もののアルバムがある。実力派ジャズシンガー達が、それぞれの曲のボーカルを担当した、ジャズを強く意識し、アカデミックな香りのする「ビートルズ・ジャズ」。1996年4月の録音。
収録曲と担当ボーカリストは以下の通り。
1. Come Together / Cassandra Wilson & Dianne Reeves
2. Strawberry Fields Forever / Cassandra Wilson
3. Tomorrow Never Knows / Dianne Reeves
4. I'm Only Sleeping / Holly Cole
5. Get Back / Jahlisa with Junko Onishi
6. The Fool On The Hill / Dianne Reeves with Javon Jackson
7. I've Just Seen A Face / Holly Cole
8. Hey Jude / Jahlisa with Greg Osby
9. Lady Madonna / Penny Ford
10. Let It Be / Sylvia Shemwell
ボーカルを担当する実力はシンガーは、カサンドラ・ウイルソン、ダイアン・リーブス、ホリー・コールとそうそうたるメンバー。このアルバム全体を取り仕切り、アレンジを取り仕切るのは、ボブ・ベルデン。いままで、スティングの曲や、プリンスの曲をジャズにアレンジした作品集を出して、評価を得ている。僕も、スティングの作品集も持っているが、なかなかの内容で、聴かせるアルバムだ。
ロックのジャンルの曲は、ジャズにアレンジすると、へたな軽音楽みたいになることが「ままある」が、これはアレンジとそれを演奏するミュージシャンの力量に負うところが大きい。つまり、アレンジがしっかりしていないと、どんなに力量のあるミュージシャンが演奏しても、へたな軽音楽になってしまうということ。そういう観点からみると、このアルバムは安心して聴くことの出来るアルバムと言える。
選定された曲を見ても、その内容が想像できる。ほとんどの曲が、あまり、ジャズ・ミュージシャンに取り上られていない曲ばかりで、「どーなるのか」的な曲ばかり。しかし、そんな心配はご無用。
「Come Together」は、原曲よりも渋くて格好良いし、「Strawberry Fields Forever」は、そもそもジャズにはならん、と思っていたので、カサンドラ・ウィルソンの熱唱と相まって素晴らしい出来で脱帽もの。「I've Just Seen A Face(夢の人)」は、ジャズにアレンジしたらこんな曲になるのか、と感心。ホリー・コールも素晴らしい。
しかしながら、このアルバムは、ビートルズの曲から見て、ややマニアックであり、ビートルズのファンでないと、その曲のメロディが思い浮かばない曲もあるだろう。でも、レノン=マッカートニーの曲は、メロディーラインがしっかりしていて魅力的なので、原曲を知らなくても、純粋なジャズとして楽しめる。
1980年代以降、ロックの楽曲をアレンジ〜カバーした企画ものには侮れないものが多くあって、この手の企画ものの密やかなファンである私にとっては、実に結構なことである。
大震災から1年。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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