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2012年2月11日 (土曜日)

オリジナルに匹敵するベスト盤

「この曲が売れなかったら福岡に帰る」。そんな悲壮な決意の中、1973年4月20日にリリースしたシングル「心の旅」が1973年9月10日付のオリコンシングルチャートで1位を獲得した。一躍、チューリップは「時の人」になる。

そんな背景の中でリリースされた『TULIP BEST』(写真)。1973年6月5日のことである。面白いのは、この「心の旅」のヒットに乗じて、急遽、アルバムをリリースする必要に迫られて作成された「急造ベストアルバム」では無く、「心の旅」がヒットの兆しを見せたタイミングで発売された「用意周到なベストアルバム」なんですね。いかにもチューリップらしい仕業です。

このアルバムはタイトルを見て判るように、先にリリースされた、ファーストアルバム『魔法の黄色い靴』、セカンドアルバム『君のために生まれかわろう』の2枚からの選曲と、新たに「僕のお嫁さん」「道化者」「二人で山へ行こう」を加え、シングルでリリースされた「心の旅」とそのB面「夢中さ君に」を合わせた「変則ベストアルバム」です。

ベストアルバムとは言っても、先にリリースされた2枚のオリジナルアルバムからの選曲も良好で、しかも、LPのA面、B面と曲の並び順も考えられたもので、ベストアルバムとは言いながら、これはこれで、オリジナルアルバムと同等、若しくはそれ以上のクオリティが素晴らしく、僕は、このベストアルバムについては、オリジナルアルバムと同等の扱いをしてきました。

Tulip_best

チューリップらしからぬ「心の旅」を先頭に持ってきたことが成功要因だろう。いきなりサビのコーラスから入る、当時としては斬新な構成を持った曲ではあったが、その頃のチューリップの音世界からは、ちょっと異質な聴き心地がする曲だったことは事実。その曲を一曲目に持ってきて、聴き手に「ガツン」と一発かまして、従来の「チューリップ・ワールド」に引きずり込んでいく。

2曲目以降、オリジナルアルバムからの再掲曲も新しく書き下ろした曲も、ひとつの「チューリップ・ワールド」の中で、どの曲も違和感無く繋がっている。特に、LP時代のA面を占める「心の旅」「僕のお嫁さん」「道化者」「二人で山へ行こう」「風よ」「千鳥橋渋滞」の流れは素晴らしく、僕は今でも、前奏から間奏、エンディングも含めて、このA面の曲の全てを口ずさめる位、当時、本当に良く聴き込んだものだ。

とは言え、B面の「魔法の黄色い靴」「一人の部屋」「夢中さ君に」「君のために生まれかわろう」「田舎へ引っ越そう」「電車」の流れも捨てがたい魅力が溢れてはいるのですが、ラス前の「田舎へ引っ越そう」とラストの「電車」の2曲の据わりが、僕にとってかなり違和感があって、ラス前、ラストの曲なので、もう少し、盛り上がって大団円、という感じのメリハリのある曲を持ってきて欲しかったな。

良い選曲のアルバムで、先にリリースされた2枚のオリジナルアルバムの存在を知らない方々にとっては、このベストアルバムは、完全にオリジナルアルバムに感じると思います。それほどまでに良く出来た「用意周到なベストアルバム」です。

この『TULIP BEST』に収録された曲は全て好きですが、特に「僕のお嫁さん」「千鳥橋渋滞」「魔法の黄色い靴」と、「道化者」〜「二人で山へ行こう」のメドレーがお気に入りです。

 
 

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Fight_3

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