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2012年2月 1日 (水曜日)

ピアニストSayaは何処に行った

しばらくの間、すっかりその存在を忘れてしまっていた。アルバム棚を整理していて出てきたアルバム。Sayaの『Unity』(写真左)。2002年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Saya (p), マーク・ウイリアムス (b), ディゾーン・クレイボーン (ds)。

Sayaの2枚目のリーダーアルバム。第1印象は「シンプルでリリカルなピアノ・トリオ」。原曲のフレーズをそのまま活かしつつ、アドリブ・ラインを展開する判り易い演奏スタイル。シンプルだからといって、飽きるかと言えば飽きない。ピアノのタッチとフレーズにそこはかとないファンクネスと「コク」が同居する。

従来のメリハリが効いたピアノとゴリゴリのベース、4ビート主体のテクニックバリバリのドラムが一体となって、時にはリリカルに、時にはダイナミックにという、従来のジャズトリオの雰囲気とは一線を画した、不思議な雰囲気のする、ピアノ・トリオ。

そのピアノの音は、優しい中にちゃんと一本、筋の入った、しっかりとしたタッチ。力任せにキーを叩くことは一切無い、コントロールされた音。

最近のピアノ・トリオは、ビル・エバンスの晩年期によく似た音、先ほど書いた「メリハリが効いたピアノとゴリゴリのベース、4ビート主体のテクニックバリバリのドラムが一体となって、時にはリリカルに、時にはダイナミックに」という雰囲気)が主流というか、そればっかりで、また、それが雑誌の評論を見ると「良い良い」と書くものだから、なんだか、皆、同じ音になってしまって、面白くないのが本音。

このSayaのピアノは、それとは違って「個性的」。大人しめの音なので、クリスタル・ピアノ的な、軽音楽的な音かい、と思いきや、結構、芯が入っていて、ほのかにファンキーな雰囲気が見え隠れする不思議な音。音使いは、実にきめ細やか。
 

Saya_unity1

 
男性と違って、腕力の無い女性のジャズ・ピアノの一つのスタイルであり、一つの進む道なのかとも思う。なにも、男性のジャズ・ピアノと対抗することは無いし、モノマネすることも必要ない。そのような意味で、僕は、このSayaを支持したい。

アルバムの中身といえば、ビートルズあり、ロバータ・フラックあり、ファンキー・ジャズありで、選曲のバラエティーが楽しい。そんな中で、自作曲もなかなかの出来であり、彼女の持つ才能の一端が見え隠れして興味深い。

才能といえば、このバラエティーに富んだ選曲それぞれに、なかなか秀逸なアレンジが施されており、どの曲もが、ジャズしているのが面白い。昔のスタンダードを忠実に弾きこなすのもいいが、もう少し、現代の優れたポピュラーソングにもチャレンジすべきだ、と常々感じている私にとっては、このアルバムの選曲とアレンジは、実に興味深い。

しかし、2006年9月『Twilight』をリリース後、Sayaはメジャーでの活動を停止する。その後の消息はよく判らない。シンプルでリリカルなピアノは味わい深く、原曲のフレーズをそのまま活かしつつ、アドリブ・ラインを展開する判り易い演奏スタイルは、シンプルが故に長く愛聴することができるものだった。活動を停止し、消息不明状態に至ったのは実に惜しい。

暫くの間、その存在を忘れていたのは「汗顔の至り」。このSayaの『Unity』は僕にとって、意外とお気に入り。「ながら聴き」にピッタリなアルバムで、何気なく流しっ放しにしていると、優しい緩やかな雰囲気の音空間を提供してくれます。ハードなジャズ、シリアスなジャズの合間に、一服の清涼剤のようなアルバムの存在は、それはそれで捨て難い魅力があります。

 
 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」、「v_matsuwa」で検索して下さい。

Fight_3

がんばろう日本、がんばろう東北。自分の出来ることから復興に協力しよう。
 

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コメント

マスター、私もずうっと探しています。ネットでもなかなか情報が無く、やっとマスターの書き込みを見つけた程度です。SAYAさん、すごく好きでした。楽に聞け、癒されます。銀座スウィングシティで一度、ライブを聞きました。3年程前に、レコード会社を移籍する旨、WEBで話がありましたが、その後、そのWEBも閉鎖されてしまいました。SAYAさん、病気や事故でない事を祈ってます。今でも通勤途上では、ときどきSAYAさんのアルバムを聞いてます。この書き込みを見られたら、ぜひ、消息を教えてください。よろしくお願いします。

のむのむさん、はじめまして、松和のマスターです
 
のむのむさんもそうでしたか・・・。SAYAさんはなかなかの弾き手
でしたからね〜。このまま行方不明なんて実に惜しいですよね。
 
あれだけの弾き手です。どこかのライブハウスで、自らの思うがまま、
自分のやりたいジャズを存分に弾いているのかもしれませんね。
 

マスター、はじめまして。
私もSayaさんの新作とか期待しているうちに何年もの時間がたってしまって・・・自分も歳を取ったなぁと、変なことに改めて気づいたりしております(汗)。
ま、冗談は置いといて、もう、完全に活動(CDリリース等)休止なのかなぁ。残念でなりません。後輩となる女性ジャズピアニストのCDリリースも増えていますけど、Sayaさんの世界は独特の心地よさがあって今も変わらず愛聴しています。

「せい」さん、はじめまして、松和のマスターです

「せい」さんもそうでしたか・・・。先の「のむのむ」さんもそうでしたし、
他にも、Sayaさんのファンは結構いるのでは無いでしょうか。
 
これだけ、Sayaさんのピアニストとして本質を愛でていたファンが
いるのですから、Sayaさん、もしかして、これを読んでいらっしゃるの
でしたら、是非とも、カムバックして貰いたいなあ、と思いますね。
 
 

マスター初めまして。新幹線の中だけで聴けるラジオ放送でsayaを知り、少ないお小遣いからCDをコツコツ集めました。待望のトワイライトが発売され、ぜひ生の演奏を聴きたいと思っていたのに全くの音信不通。webサイトも閉鎖され、検索しても新しい情報は皆無で、思いだけが残っています。そんな中、この書き込みを見つけ、同じ思いをしている方がほかにもいるのだと、慰められる思いです。どうかいつの日にか復活してもらいたいものです。(ようやく手に入れたsimplepoemを聴きながら)

はじめまして、せなひろさん。松和のマスターです。
 
うむうむ、せなひろさんの思い、良く判ります。本当に、Sayaさんの
ファンの方って、結構いらっしゃるんですよね。私も含めて、これだけの
根強いファンの方々が待っているんですから、Sayaさんには是非とも、
カムバックして欲しいですね。

そういうサプライズってないでしょうか。時にはあって欲しいなあ、と
思う今日この頃です。
 

SAYAさんを知ったのは2006年にtwilightのアルバルを入手してからです。その後、Dance Your Heart からTimelessまで入手したのですが、その後全く情報が入手できなくなりました。この夏にSimple Poemを入手し手持ちの7枚をジックリ聴きました。やっぱりいいの一言です!!!!!!いろいろと検索しているとこのブログにたどり着きました。ヤッパリ? SAYAさんは消息不明は間違いないようで残念です。こんなブログがあることを知りこれからも時々検索しようとおもいます。


マスター、お久しぶりです。せなひろです。
あれから、まだ入手していない「destination faraway」をずうっと探していました。
最近、通信販売サイトで中古品が出ているのですが、価格は3万円。私にはとても買える値段ではありません。熱烈なファンなら買うだろうという事かもしれませんが、市場経済の原則でこの値段なのでしょう。
今日はdestination farawayの内、3曲入っているtimelessを聴く事にします。
復活してほしいなあ、saya.


初めまして、サワグチと申します。

その後の『SAYA』さんの情報、わかりましたならぜひお教えください!

https://www.facebook.com/sayapiano

もう判明されているようでしたらすいません。
フェイスブックをやられているようですよ。

おそらくサンフランシスコでまだ活動されているのでは?

名無しの元スタッフさん、はじめまして。松和のマスターです。
 
貴重な情報ありがとうございました。
確かに、フェイスブック上に発見しました。
https://www.facebook.com/sayapiano
 
Sayaさん、写真で見る限り、昔の雰囲気そのままで、ホッと
するやら、安心するやら。お元気そうでなによりです。
いや〜、なんだか旧友に再会した気分です。
 

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