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2012年2月14日 (火曜日)

デスモンドとマリガンの対比

ポール・デスモンドの名盤『First Place Again』とくれば、次に続くは、Gerry Mulligan & Paul Desmond Quartet『Blues in Time』(写真)である。この流れは僕にとって「定番中の定番」。

改めて、この『Blues in Time』、1957年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Gerry Mulligan (bs), Joe Benjamin (b), Dave Bailey (ds) 。フロントにサックス2本、ピアノレスでドラムとベースのリズセクション。変則的なカルテット編成。プロテュースは、Verveレーベルの総帥Norman Ganz。

この『Blues in Time』の特徴は、ウエストコースト・ジャズの最大の特徴でもある「秀逸なアレンジ」。ウエストコースト・ジャズのリーダーであったマリガンは、バリトン・サックス(略して「バリサク」)奏者としての腕前も素晴らしいが、とりわけ、アレンジの才能がずば抜けている。そのマリガンの手になるアレンジが秀逸。

ウォームで軽やかに飛翔するリリカルなフレーズ、間合いを置きながら、ストレートにスクエアにスイングするインプロビゼーション。デスモンドのアルト・サックスの個性を最大に活かすべく、マリガンはアレンジの才の粋を尽くす。クラシックの対位法なども取り入れた斬新で聴き心地の良いアレンジ。

そんな優れたアレンジに乗って、デスモンドがアルトを吹きまくる。独特なスイング感、円やかな音色、ウォームで軽やかに飛翔するリリカルなフレーズ。加えて、このアルバムでは、デスモンドは「鋭い切れ味」で、強いアルトを吹きまくる。昨日ご紹介した『First Place Again』よりも強いアルトを吹きまくる。

マリガンは、そんなデスモンドを活かすべく、自分が主役な時には、バリサクの中高音域を中心に、小粋に軽やかで円やかなブロウを披露するのであるが、ここでは、その円やかなブロウを封印。
 

Blues_in_time

 
強く吹くデスモンドであるが、それでもデスモンドのアルトはウォームで円やか。そのウォームで円やかなアルトとは正反対の、バリサクの低音を活かしてブリブリと強烈なブロウで、デスモンドのアルトに相対する。

フロントに立って吹きまくるデスモンドの伴奏に回った時のマリガンのバリサクの伴奏が素晴らしい。いや〜上手いなあ。ピアノレスな編成なので、ピアノの役割であるフロントのアルトのインプロビゼーションの底を支える伴奏を、マリガンがバリサクで敢行する。絶妙な伴奏に惚れ惚れする伴奏テクニックである。

更に、デスモンドのアルトとマリガンのバリサクの対比が凄い。双方のブロウの特色、ウォームで円やかなアルトと低音の切れ味鋭い強烈なブロウが、お互いにお互いを惹き立て合う。デスモンドはマリガンの低音の切れ味鋭い強烈なブロウに刺激されて、更に「鋭い切れ味」で、更に強いアルトを吹きまくる。サックスという同系の楽器でありながら、カバー音域が異なるが故に、音の絡み具合が「良い塩梅」である。

なぜか、日本では過小評価されている感じのアルバムですが、どうしてどうして、聴き応え十分。優れたアレンジに乗って、適度な緊張感が心地良いユニゾン&ハーモニー、手に汗握るスリリングなチェイス。デスモンドのアルトとマリガンのバリサクの相性は抜群。双方とも、実に意欲的で挑戦的。1950年代のウエストコースト・ジャズの傑作の一枚です。お勧めです。

なお、アルバム・ジャケットについては、現在、流通しているのは、写真右のものみたいですが、僕の馴染みで好きなのは、写真左のジャケット。僕はこちらの方が絶対に良いなあ。それというのも、この写真左のジャケットを見るたびに、大学時代のジャズ者初心者の頃を思い出すからです。もちろん、LPの時代でした。

 
 

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