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2012年2月23日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・8

当ブログでは、幾つかの特集シリーズがあります。右の「カテゴリー」にあるのですが、今日の「こんなアルバムあったんや」シリーズは、ジャズ者中堅〜ベテランクラスの方々向けかな。ジャズ・フュージョンの異色盤・企画盤・珍盤・迷盤の類をご紹介しています。

さて、ボブ・ジェームス(Bob James)といえば、今やフュージョン界の大御所であるが、デビュー当時は、リリカルであるが、フリーに寄ったアブストラクトな演奏が特長の新進気鋭のピアニストであった。

が、1970年代に入ると、判りやすいアレンジと底にしっかりとしたジャズの雰囲気をキープした、フュージョン・オーケストラの人気者として君臨、次々とヒット作を量産。「ミスターNY」なんて呼ばれたりして、フュージョン・ジャズの第一人者にのし上がった。

そんなボブが何を思ったのか、1995年、本格的なピアノ・トリオ・アルバムを発表した。そのアルバムが今回ご紹介する『Straight Up』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Bob James (p), Brian Blade (ds), Christian McBride (b)。1995年12月の録音。

まず、いきなり目につくのは、1曲目の「Nightcrawler」。この曲は、彼の5枚目のフュージョンアルバム『Heads』からの彼のオリジナル曲。なかなかにブルージーで落ち着いた、ちょっと小粋な作品だったのだが、ピアノ・トリオの演奏としても、原曲の雰囲気をしっかり保持していて秀逸。

ボブのピアノは出だしから、ちょっとアブストラクトな香りをしっかり漂わせる。ピアノの弦を直接、指で弾く前衛的な前奏から、「Nightcrawler」の美しい主題を少しずつ転調させながら、不協和音を少し隠し味的に織り交ぜながら、フュージョンの名曲ならではの美しい旋律をピアノで奏でながらも「不思議な緊張感」が漲る1曲目。
 
Bob_james_straightup
 
続いて2曲目の「Ambrosia」は、実にリリカルな小品。途中、クラシック的な旋律も見られて、なかなかに美しい。良い感じだ。デビッド・ベノア等、フュージョン・ジャズ系、若しくは、スムース・ジャズ系のキャッチャーでリリカルで印象的な響きを持ったピアノ。

美しいといえば、3曲目の「James」にとどめを刺す。この曲、パット・メセニーの名曲なのだが、もともとパットの演奏も美しいが、このボブのピアノの演奏は、それにも増してとりわけ美しくリリカルだ。溜息が出そうな、その美しい旋律とピアノ・タッチはこのアルバムの最大のハイライト。この1曲だけでもこのアルバムを手に入れても損はないと僕は思う。

しかしながら、どうして、美しくてリリカルなだけがこのアルバムの表情ではない。次の4曲目『The Jody Grind』は、ホレス・シルバー作で、とにかくファンキーでエネルギッシュ。他の曲も、とにかく、リリカルで、ちょっとアブストラクトで、それが適度な緊張感となっていて、とにかく優れた内容であることは間違いない。

アルバム全体を見渡すと、いろいろなスタイルが「てんこ盛り」で、ちょっと「とっちらかった」雰囲気があるのが玉に瑕ですが、まあ、ボブのアコピは、アブストラクトなデビュー当時からするとガラッと変わって、フュージョン・ジャズで得た成果を、今回、ちょっと、ピアノ・トリオで表現してみた、って感じでしょう。内容的には良いです。ピアノ・トリオの佳作でしょう。

といって、ボブ・ジェームスが以降、アコピのトリオで勝負し続けられるかと言えば、そこまででは無い。「やはり野に置けレンゲ草」という言葉があるが、「やはりフュージョンに置けボブ・ジェームス」といったところか。やはり、ボブ・ジェームスの本質はフュージョン・ジャズにあり、エレピにあり、プロデュース&アレンジの才能にある。
 
 
 

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