ジャズ喫茶で流したい・34
「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの第34回目。今日は、僕のとっておきのピアノ・トリオ盤について語りたい。
アルバム・タイトルは『Let's Play the Music of Thad Jones』(写真左)。いぶし銀ジャズ・ピアノ職人、トミー・フラナガン(略称トミフラ)がリーダーの、知る人ぞ知る、ピアノ・トリオの「隠れ名盤」である。
1993年4月の録音。トミフラの旧友サド・ジョーンズが書いた名曲の数々をプレイした「サド・ジョーンズ作品集」。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan(p)、Jesper Lundgaard(b)、Lewis Nash(ds)。実に良い雰囲気のピアノ・トリオである。絵に描いた様なピアノ・トリオである。
トミフラのタッチは端正で力強い。しかも、繊細な表現にも長ける。ほど良く抑制され、コントロールされたバップ・ピアノ。そう、トミフラの基本はバップ・ピアノ。バピッシュな演奏のスタイルは、いつの時代も全く変わらない。良い意味で「金太郎飴」的と言って良い。でも、マンネリに陥ることは決して無い。ピアノを使っての表現の幅と深さが圧倒的に備わっているのだ。
そんなピアノを使っての表現の幅と深さを駆使して、このアルバムの様な企画物をやるから、絶対にマンネリに陥らない。逆に、演奏する曲毎に、新しい響き、新しい展開を感じさせてくれたりして、トミフラは「名盤請負人」の名をほしいままにする。
これだけ歌モノを魅力的に弾き綴るジャズ・ピアニストは他にいないだろう。トミフラに美しいメロディーを持ったスタンダードをやらせたら、彼の右に出る者はいない。
この「サド・ジョーンズ名曲集」を聴くと、サド・ジョーンズ作の楽曲は、耳に馴染む、美しいメロディーを湛えているのがよく判る。そして、トミフラは、このサド・ジョーンズの手なる名曲達を、素晴らしいテクニックと歌心で弾き紡いでいく。このアルバムに収録された、そんな珠玉のサド・ジョーンズの名曲は以下の通り。
1. Let's
2. Mean What You Say
3. To You
4. Bird Song
5. Scratch
6. Thadrack
7. A Child Is Born
8. Three In One
9. Quietude
10. Zec
11. Elusive
2曲目の「Mean What You Say」や、7曲目の「A Child Is Born」などなど、収録されたどの曲も、それはそれは絶品である。そんな絶品を、トミフラをリーダーとしたトリオは、更に魅力的なピアノ・トリオ演奏へと昇華させていく。
見事である。ドラムのナッシュの至芸も見事、イエスパーの重量級のウォーキング・ベースも見事。派手さは無いが、聴き込むほどに味わいが豊かになり、味わいが深くなる。実に聴き応えのあるピアノ・トリオ盤です。
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