ピアノ・トリオの代表的名盤・26 『Groovy』
当ブログでは、幾つかの特集シリーズがあります。右の「カテゴリー」にあるのですが、今日は「ピアノ・トリオの代表的名盤」です。「ピアノ・トリオの代表的名盤」は、ジャズ初心者の方々でも十分楽しめるアルバムをご紹介しています。
「ピアノ・トリオの代表的名盤」の第26回目は、Red Garland(レッド・ガーランド)の登場です。ジャズ・ピアノの入門書には、必ずと言っていいほど出てくる、レッド・ガーランドの最有名盤。そのタイトルは『Groovy』(写真)。タイトルも良し、ジャケット・デザインも、見る度に「ジャズ」を感じるジャケットでとても良い。
ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。1956年12月、1957年5月と8月の録音。録音日が3つに別れているのは、プレスティッジ・レーベルならではのいい加減さ。ジャム・セッションよろしく撮りためた録音を、アルバムの流れや全体の雰囲気を鑑みながら、継ぎ接ぎにしてリリースする「お得意技」である(笑)。
冒頭の「C Jam Blues」を聴いてみると、ガーランドのジャズ・ピアノの特徴が良くわかる。無駄な手癖を省いた、出来るだけ音数を少なくした、シンプルな右手。そのシンプルな右手を引き立たせるかの如く、タイミング良く、合いの手を入れる様に絶妙なブロックコードを奏でる左手。
カクテル・ピアノと揶揄する人もいるが、決して、ガーランドのピアノはカクテル・ピアノでは無い。左手のブロックコードに、しっかりとしたビートが効いていて、リズム感のあるオフ・ビートが、右手のシングル・トーンにジャズ独特の粘りを与える。
どのジャンルの音楽にでも言えることだが「分かり易い」ということは、聴いてもらう方からすると非常に大切な要素であり、テクニック的に非常に難しいことだ、ということを忘れてはならない。この「分かり易い」ガーランドのピアノは、ジャズ初心者にとって、実に取っつき易いジャズ・ピアノのひとつだと言えるだろう。
さて、ガーランドのピアノの最大の特徴である、その「分かり易さ」を最大限活かした演奏が、2曲目の「Gone Again」と、3曲目「Will You Still Be Mine?」だ。シンプルな右手による印象的な、唄うように奏でられる旋律、ジャズのビートを押しだしながら、カクテル・ピアノ的解釈を戒める左手のブロックコード。印象的な佳曲ほど、ガーランドのピアノは良く似合う。
ピアノ・トリオに大切な要素は、相棒のベース、ドラムのサポートであるが、このアルバムでの、ベースのポール・チェンバース、ドラムのアート・テイラーは申し分ない。全曲に渡って、アート・テイラーのドラムは、柔軟、堅実、かつドラマチックなドラムを繰り広げ、ベースのチェンバースのウォーキング・ベースはガーランドの左手のビートを強烈にサポートする。あまり評判の良くないチェンバースのボーイングも、このアルバムでは控えめで好ましい。
プレスティッジに残されたレッド・ガーランドの素晴らしい一枚。ハードバップ時代のピアノ・トリオの代表的名盤の一枚です。
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