シナトラの歌は小粋でダンディ
男性ジャズ・ボーカルで、代表的なボーカリストをひとり選べと言われたら、僕は、迷わずに、フランク・シナトラの名を挙げる。とにかく、シナトラの歌唱は別格。今日、僕たちが、ジャズ・スタンダードとして知られている曲の歌唱は、シナトラの歌い方をベースにしながら、それぞれのボーカリストの個性を付加していると言っても過言ではない。
そして、バレンタインデーが近づくと聴きたくなるアルバムが、Frank Sinatra『Songs for Young Lovers』(写真左)。1954年のリリース。録音は、1953年の11月5〜6日。
フランク・シナトラの歌声は、ダンディズムの極地。どこまでも男らしく、優しく語り掛ける。その歌声は男性ジャズ・ボーカリストの源と言える。どの曲をとっても、その素晴らしさには、変わりが無いんだけど、とりわけ、ラストの『Violets for Your Furs』は絶品。
この曲、トミー・ドーシー楽団の専属アレンジャーだったマット・デニスが、1941年に作曲した冬の定番ラヴソング。日本では「コートにすみれを」の邦題でも知られていますが、ここでのシナトラの歌は絶品。男らしく、優しく、語りかけるように、しっかりと小細工なしに、この曲の想いをストレートに伝えます。とにかく「格好いい」んですよ。これが・・・。
シナトラのドカッと安定した、王道を行く歌声は、男と女の「幸せなスチュエーション」に花を添えます。
そして、バレンタインデーが近づくと聴きたくなる理由が、冒頭の「My funny Valentine」。このシナトラの歌は、この歌の決定的名唱のひとつ。とりわけダンディな歌声で、このラブソングを小粋にサラリと歌い上げていきます。
「私の可笑しなバレンタイン、愛しく面白いバレンタイン、貴男は私を心の底から笑わせてくれる。貴男の顔は吹きだしそう。写真写りも良くない。けど、あなたは私にとってお気に入りの芸術品なのよ」と、ケチョンケチョンに、けなしておいて、それでもそういうあなたが好きなのよ、という「女性から男性へのラブソング」となっています。
もう一度言いますが、この「マイ・ファニー・バレンタイン」というラブソングは、女性から男性へのラブソングです。これが逆のシチュエーションだったら、大変なことになります(笑)。まあ、歌詞通りに女性から男性へのラブソングだとしても、この歌詞を添えて、バレンタインデーにチョコレートを貰っても、ちょっと気持ちは複雑ですが・・・(笑)。
でも、このシナトラの様に「クール&ダンディ」な歌声で、この歌詞を囁くように歌われたら、男性から女性という、逆のシチュエーションでも「OK」かも・・・(笑)。とにかく、シナトラの歌はダンディで小粋で実に渋い。
ちなみに、この『Songs for Young Lovers』ってアルバム、LPが存在しなかった時代の10インチ(25センチ)盤としてリリースされたもので、現在は同じく10インチ盤の『Swing Easy!』とカップリングされてCD化されています。
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