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2012年1月12日 (木曜日)

パット&メイズの決定的名演

我が千葉県北西部地方は昨晩から寒いこと寒いこと。夕方には雪がちらつくわ、にわか雨がどわっと降るわ、それから北風が吹き始めて、夜中には「ゴーゴー」と音を立てて吹く始末。今朝は冷えたのなんのって・・・・。

これだけ寒くなると、なぜかパット・メセニーが聴きたくなる。ライル・メイズのキーボードとパット・メセニーのギターが聴きたくなる。ファンキーやアーシーという雰囲気とは全く対極にある、牧歌的でフォーキーな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音世界。これがまた「冬の厳しい寒さ」に合うんやなあ。

ということで、CD棚を眺めていたら、そう言えば、このアルバムについて、ブログで語ったことが無かったことに気が付いた。Pat Metheny & with Lyle Mays『As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls』(写真)である。1980年9月の録音。1981年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Lyle Mays (p,syn,org), Pat Metheny (g), Nana Vasconcelos (per,ds,vo)。

冒頭のタイトル曲は、20分を超える大作。ベトナム反戦をテーマにしたと言われる、「破壊〜再生」をテーマに様々なモチーフが次々と現れる。パットとメイズが、ジャズ・フォーマットの上で織りなす「アンビエント・ミュージック」。Nanaの多彩なパーカッションとボイスが素晴らしい。ジャジーなリズム&ビートの効いた「アンビエント・ミュージック」。

2曲目の「Ozark」では、ライル・メイズのアコピのソロが乱舞する。メイズのアコピのソロ・フレーズは独特。メイズのアコピのソロが、フォーキーでクリーンな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音風景を現出する。そのメイズのアコピにパットのフォーキーで煌めく様なギターが絡む。パット&メイズの独特の音世界がブワッ〜と広がる。
 

As_fall_wichita

 
3曲目の「September Fifteenth」は、ピアノ・トリオの祖、1980年9月15日に逝去したビル・エバンスへの鎮魂歌。限りなくフリーで幽玄な「アンビエント・ジャズ」の世界。間の活かし方、幽玄な音の響き。ビル・エバンスへのオマージュ。

そして、4曲目「It's for You」は絶品。牧歌的でフォーキーな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音風景は、パット&メイズならではの音世界。この「It's for You」は、パット&メイズの決定的名演のひとつとして良いだろう。

素晴らしい出来である。途中、挿入されるメイズのオルガンの音には、レトロな想い出に浸って胸が締め付けられるような郷愁を感じ、飛翔するように疾走するように弾き上げられるパットのギターの音には、限りない爽快感を感じる。

ラストの「Estupenda Graca」は、Nanaのボーカルが印象的。後のパット・メセニー・グループで表現される、ボーカルを活かした「ワールド・ミュージック的なアプローチ」とアメリカン・アフリカンの音の原風景の様な「アフリカン・ネイティブな音のイメージ」、双方の萌芽を聴くことが出来る。賛美歌の様な、ゴスペルの様な響きは敬虔ですらある。

パットとメイズ、異常なまでに呼吸が合い、ユニゾン&ハーモニーは完璧。そして、何より二人とも表現する音世界が同じ。牧歌的でフォーキーな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音世界。この音世界こそが、パットとメイズの個性である。

このアルバムを聴けば、何故、パットとメイズは、パット・メセニー・グループとして、長年に渡って共演し続けているかが良く判る。

 
 

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