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2012年1月20日 (金曜日)

いつもチックには「やられる」

1970年代チック・コリア主宰の伝説的グループ、Return To Foreverの黄金期を支えた主要メンバー3人。Chick Corea (p,key), Stanley Clarke (b), Lenny White (ds)。この3人の再会を記録した2枚組がある。

2010年8月リリースの『Forever』(写真左)。1枚目がトリオでのアコースティックな純ジャズ路線。世界各地で繰り広げた、超絶技巧・白熱のステージからベスト・テイクを収録したものです。2枚目がゲストを迎えて、第2期Return To Foreverライクなエレクトリック・ジャズの演奏。チックのホームグラウンド的スタジオで名高い、マッド・ハッター・スタジオでのスタジオ・セッション。

30年以上前の伝説のグループの主要な3人。「昔の名前で出ています」的な単なる再会セッションに陥っているのでは、とチック参加のアルバムとは言え、直ぐには触手は伸びなかった。それもそのはずで、スタンリー・クラークは単調なエレベ、レニー・ホワイトはジャズの路線からは離れた音楽性。チックは僕の大のお気に入りではあるが、この時期に何も、この2人と再会セッションしなくったって、という気分だった。

リリースから1年以上経って「チック参加のアルバムだし、まあ聴かなあかんかな」てな、実に消極的な動機で、このアルバムを手にした。が、聴いてビックリ玉手箱(笑)。単なる再会セッションでは、この2枚組には、実に新しい、今の時代の純ジャズがあり、懐古趣味に陥らない、趣味の良い落ち着いたエレクトリックなジャズがあった。
 
特に、1枚目のアコースティックな純ジャズが良い。収録曲は、スタンダード曲とコリアのオリジナル曲がズラリと並ぶ。スタンダード曲の切れ味の良いチック のピアノも良いが、ここでは、なんと言っても、チックのオリジナル曲の演奏が抜群。
 
Chick_corea_forever_2
 
チックのオリジナル曲がこんなにピアノ・トリオで映えるとは思わなかった。特に「Bud Powell」「No Mystery」「Senor Mouse」が良い。チック者必聴の名演である。とにかくチックの個性が全開で、チック者の僕は、聴いていて楽しくて楽しくて仕方が無い。

そして、面白いのはスタンリー・クラークのベース。素晴らしい。スタンリー・クラークは、チックのバックになると、たちまち素晴らしいベースを弾くのだ。不思議なベーシストである(笑)。

逆に、自分がリーダー、若しくは、他の一流ミュージシャン、若しくは、一流以下の格下ミュージシャンと演奏する時は、派手な割に単調で地味の薄いベースになりがちなのだ。良く判らないベーシストである。このアルバムのみならず、チックのバックに回った時のスタンリー・クラークは実に良いベースを弾く。

レニー・ホワイトのドラムも良い。意外と言えばレニー・ホワイトに悪いが、実に良い、今風の純ジャズ・ドラミングで、ちょっとビックリした。しかも、経験の豊富さから来るのであろう、余裕があって懐の深いドラミングは、本当に聴き応えがある。レニー・ホワイトがこれだけ純ジャズなドラミングを演じるとは思わなかった。

2枚目の第2期Return To Foreverライクなエレクトリック・ジャズの演奏には、曲によって、Return To Forever初代ギタリストのBill Conners (g)が、そして、Jean-Luc Ponty (vln)が、Chaka Khan (vo)がゲスト参加している。
 
こちらは、スタジオ録音ということもあってか、往年の力強さが薄れて、懐古趣味に陥らない、趣味の良い落ち着いたエレクトリック・ジャズに仕上がっている。この往年の力強さや荒っぽさが薄れているところをどう評価するか、というところになるだろう。ちなみに僕はこれはこれで「あり」だと思っています。

懐古趣味の臭いがプンプンするので、直ぐには触手は伸びなかったアルバムではあるが、手にして聴いてみれば、これがなかなかの内容で、水準以上のクオリティをバッチリ保っていて、頼もしい限りです。どうもいつもチックには「やられて」しまいますね(笑)。 

 
 

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