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2012年1月30日 (月曜日)

フュージョン時代のマイニエリ

1970年代のフュージョン・シーンの中で、一番、訳が判らんミュージシャンの一人が、マイク・マイニエリ(Mike Mainieri)。フュージョン・シーンでの、この人の存在自体が良く判らないまま、今に至っている。

マイク・マイニエリの紹介フレーズは「フージョンの仕掛け人」、若しくは「フュージョンの陰の立て役者」。といって、マイニエリは、フュージョン・シーンにおいて、他のリーダー作にサイドメンとしての参加は多いが、自らのリーダー作は数が少なく、フュージョンの名盤として、真っ先にその名が挙がるアルバムは無い。なのになんで「フュージョンの仕掛け人」なんや?

恐らく、1972年録音の、Mike Mainieri & Friends名義の『White Elephant』(2006年12月12日のブログ参照・左をクリック)の存在がそういう紹介フレーズを引き出すのかもしれない。『White Elephant』は、当時のクロスオーバー・ジャズの腕利きスタジオ・ミュージシャン中心に集まって、様々なジャンルの音楽を融合させて、新しい演奏スタイルを模索したセッションの寄せ集め集。

収録された演奏は、どれもが実験的というか、未完成なパーツというか、様々な演奏スタイルのショーケースの様な演奏がズラリ。同業者にとっては良いかもしれないが、聴く側からすると、とにかく中途半端な演奏ばかりで、純粋な鑑賞に耐える内容ではない。これをマイニエリの代表作とするには、あまりに乱暴すぎる。

マイニエリのフュージョン時代のアルバムを挙げろと言われて、思い浮かぶのはこれしかない。『Love Play』(写真)である。1977年のリリース。基本メンバーは、マイク・マイニエリ(vib)、スティーヴ・ガッド(ds)、デヴィッド・スピノザ(g)、ウォーレン・バーンハート(key)、トニー・レヴィン(b)。当時、NYのフュージョン・シーンでの腕利きが参加。

しかし、このアルバムがである、どう聴いても、当時のフュージョン・ジャズとは、ちょっと外れたところにあるから厄介である。冒頭の「High Life」はトロピカルな雰囲気ただようAORな楽曲。ジャジーな雰囲気が希薄でソフト&メロウで俗っぽいAOR。この1曲目でちょっとズッ転ける(笑)。

Mike_mainieri_loveplay

2曲目「Magic Carpet」とラストの「Love Play」は、演奏の雰囲気は殆ど「プログレッシブ・ロック」。シンセの使い方はあからさまにシンセっぽく、どう聴いてもジャジーでは無く、ファンキーな雰囲気は殆ど無く、フュージョン・ジャズっぽくもない。フュージョン・ジャズとして聴くより、プログレとして聴いた方が据わりが良い。

そんなちょっと混沌としたアルバムの中、4曲目の「I'm Sorry」でのマイケル・ブレッカーのテナーソロは最高。加えて、7曲目のホール&オーツのヒット曲のカバー「Sara Smile」でのデビッド・サンボーンのアルトも凄い。この2曲のテナーとアルトのソロは絶対の聴きもの。でも、これってマイニエリのヴァイブとは関係無い(笑)。

おやっと思ったのは、6曲目「Easy to Please」でのマイニエリのヴァイブのアドリブ・ソロ。このマイニエリのアドリブ・フレーズって、ボブ・ジェームスの『Heads』の2曲目「We Are All Alone」の後半のマイニエリのアドリブ・フレーズと同じ。

おいおい、アドリブ・フレーズを使い回しているのかい(笑)。確かに、フュージョン・ジャズにおけるマイニエリのアドリブ・フレーズはパターン化される傾向にあって、マイニエリと直ぐに判る良さはあるが、逆にワンパターンに近く、何回か聴くと飽きてくる。

このマイニエリの『Love Play』はフュージョン・ジャズとして聴くと、ちょっとズッ転けます。ソフト&メロウなインスト中心のAORとして聴くと、それなりに楽しめる内容ではありますが・・・。この『Love Play』を聴いていて、僕はどうしても、マイク・マイニエリの「フージョンの仕掛け人」、若しくは「フュージョンの陰の立て役者」という紹介フレーズが理解出来ません。

そんな「ちゃら男」的なマイク・マイニエリ。最近は、コンテンポラリー・ジャズのジャンルで、なかなかに魅力的なリーダー作を連発するようになったんで良かったです(2011年12月9日のブログ参照・左をクリック)。マイク・マイニエリの本質を感じるには、最近のリーダー作に絞って聴き込んだ方が良いと思います。この『Love Play』は、フュージョン者のコレクターの対象でしょう。

 
 

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