MJQの音は寒い冬に良く似合う
Modern Jazz Quartet(以降「MJQ」と略す) って、改めて聴き直してみると、本当に良いなあ。
寒い冬の朝にはMJQの音が良く似合う。冬に聴くMJQ。ミルトのヴァイブは透明感抜群。ルイスのピアノも凛として良し。ヒースのベースはその野太さに少しの温もりを感じさせ、コニー・ケイのドラミングは切れ味良く潔い。
今日は久し振りに、MJQの『Django』(写真左)を聴く。ドラムがケニー・クラークからコニー・ケイに代わった後のMJQのフルアルバムになる。1953年6月、1954年12月、1955年1月の3つの録音に分かれる。もう一度、パーソネルをおさらいすると、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)の4人。
この『Django』、とにかく傑作である。MJQの追求する音楽性がほぼ固まった感のある内容。まだ、ちょっと「とっちらかった」感も無きにしも非ずだが、MJQが求める「室内楽」的な典雅な音作りが見事に表現されている。クラシックの作曲手法も取り込み、ジャズをアーティスティックな音楽として昇華させる、そんなMJQのメンバーの心意気が十分に感じられる。
MJQのジャズは、アーティスティックなジャズである。ジャズと言えば、ファンキーでブルージーな雰囲気が濃く漂う大衆音楽という解釈が強い。簡単に言ってしまうと「俗っぽい」音楽である。しかし、MJQはこの「俗っぽい」音楽であるジャズを、アーティスティックな音楽にしようと考えた節が、この『Django』というアルバムのあちらこちらに見え隠れする。
欧州趣味というか、バロック好きというか、クラシック音楽の弦楽四重奏曲的な要素をジャズの世界に持ち込んだというか、そんなアーティスティックな雰囲気が、収録された曲のそこかしこに感じる事が出来る。ファンキーな雰囲気や煙草と汗の臭いがするジャズの俗っぽい熱気は極力抑えられている(全く感じないということでは無い)。
とにかく、メンバー4人の演奏の力量が並外れている。しかも、かなり練習を積んでいるということがとても良く判る。息もピッタリ、個々のソロも抜群のテクニックを駆使して、結構難しいフレーズやリズムを難なくこなす。MJQと言えば、「室内楽」的な典雅な音作りばかりがクローズアップされるが、メンバーそれぞれの演奏家として力量たるや、それはそれは素晴らしいものがある。
MJQの、ジャズをアーティスティックな音楽として昇華させる試みは、ジャズを芸術としての音楽ジャンルにステップアップさせた。クラシックの殿堂、カーネギー・ホールでの単独コンサートは伝説である。ある意味、音楽芸術としての、ジャズの地位の向上に貢献したと言える。
僕は、このMJQがジャズ者になって、最初のお気に入りだった。このアーティステックなジャズは、聴き易く、その響きがとても美しく感じられた。このMJQの『Django』は、当時、本当に良く聴いた。ジャズ者初心者にとって入り易くて聴き易い、大のお勧め盤、大のお勧めグループです。
MJQの音は寒い冬に良く似合う。本当に冬に良く聴いたよな〜。
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