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2012年1月 7日 (土曜日)

MJQの「スタイル確立の名盤」

MJQ(The Modern Jazz Quartet)のジャズは、アーティスティックなジャズである。ジャズと言えば、ファンキーでブルージーな雰囲気が濃く漂う大衆音楽という解釈が強い。簡単に言ってしまうと、良い意味で「俗っぽい」音楽である。

しかし、僕が思うに、MJQは、この「俗っぽい」大衆音楽であるジャズをアーティスティックな音楽にしようと考えたのではないか。「ジャズの社会的地位の向上」大作戦である。

クラシック音楽の弦楽四重奏曲的な要素をジャズの世界に持ち込んだというか、宮廷音楽=サロンミュージックというか、欧州趣味というか、バロック好きというか、室内楽的な典雅な音作り。クラシックの作曲手法も取り込み、ジャズをアーティスティックな音楽として昇華させている。

そんなMJQがそのスタイルを確立したアルバムが『Concorde(コンコルド)』(写真左)。1955年7月の録音。ちなみにパーソネルは黄金のカルテット、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds) の4人。

冒頭の「Ralph's New Blues」から、ブルースと銘打たれている曲ですが、どうしてどうして、室内楽的な典雅な音作りが全開。実にアーティスティックな雰囲気が色濃く漂います。緻密でクールなブルース。MJQの魅力がこの1曲目の演奏に凝縮されています。
 
2曲目「All Of You」では、ドラムを担当するのは、なぜコニー・ケイなのか、そして、ベースを担当するのは、なぜパーシー・ヒースなのかが良く判る演奏。
 

Mjq_concorde

 
ドラムのケイ、ベースのヒースは、MJQの室内楽的な典雅な音作りにピッタリの繊細かつ緻密なリズム・セクションです。とにかくテクニックが並外れている。そして、十分に練習も積んでいることが良く判る、繊細で超絶技巧なリズム・セクションです。

そして、このアルバム『Concorde』を更に有名にしている曲が、5曲目の「Softly, As In A Morning Sunrise」。邦題が「朝日のようにさわやかに」ですね。この「朝日のようにさわやかに」の決定的名演がこの『Concorde』に収録されています。

この「朝日のようにさわやかに」の、ちょっと哀愁を帯びた、クールで転がるような旋律に、ヴァイブの音がバッチリ合うんですね。そして、ファンキーでブルージーなジャズ本来の音より、このMJQの室内楽的な典雅な音にアレンジされた方が、曲の持つ本来の雰囲気がより効果的に引き出される。この名スタンダード曲がMJQの十八番となった理由が良く判ります。

「Softly, As In A Morning Sunrise」はMJQのライブ盤では必ずといって良いほど、収録されています。そんなMJQの室内楽的な典雅な音作りを惹き立たせる為に作られた、MJQの為のオリジナル曲の様に良く出来ています。

それぞれの曲のアレンジも完成度が高く、MJQの音作りを十分に感じることの出来る良いアルバムです。MJQ入門盤として、昨日ご紹介した『Django』と併せて、この『Cncorde』は必須アイテムです。

ジャケットのデザインは、さすがプレスティッジ・レーベルという感じで、かなり「イマイチ」なんですが、これにはちょっと目を瞑りましょう(笑)。

 
 

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コメント

はじめまして。
わたしも長くジャズを伴にしています。
コニーケイって、他ではあまり目立たない人ですが、好きですね。
ジャズ喫茶は学生時代はほぼ毎日のようにかよってました。
福岡のコンボやリバーサイド。
懐かしい。

はじめまして、donnkiiさん。松和のマスターです。
 
コニー・ケイって、聴けば聴くほどに、その彼の至芸に惚れ惚れしますよね。
スティックさばき、シンバル・ワーク、それぞれの神業的な至芸が繰り広げ
られるMJQの諸作品はかけがえのないものです。
 

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