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2012年1月の記事

2012年1月31日 (火曜日)

フリー・ジャズなドルフィーである

フリーキーなフレーズを連発する割に、意外とオーソドックスで限りなくフリーなモード系ジャズ、アブストラクトで唯一無二の個性が、エリック・ドルフィーの身上。

ドルフィーはほどんどの演奏で、決してフリー・ジャズの領域には入らない。伝統的なジャズの境界線ギリギリのところで留まりながら、限りなくフリーキーにアルトをフルートをバスクラを吹き回していくドルフィーは凄い。純ジャズの中で、一番フリー寄りに位置するジャズメンである。

そんなドルフィーがフリーの領域に入ったアルバムがある。『Other Aspects』(写真左)。このアルバムには、ドルフィーのフリー・ジャズな演奏が満載である。このアルバムは、3つの録音年月に分かれる。

まず、1960年7月の録音は、5曲目(ラスト)に収録されている「Improvisations And Tukras」で、パーソネルは、Eric Dolphy (fl) Roger Mson (tambura) Gina Lalli (tabla)。

1960年11月の録音は、2曲目「Inner Flight, #1」、4曲目「Inner Flight, #2」、3曲目「Dolphy-N」で、パーソネルは、Eric Dolphy (as, fl) Ron Carter (b -3曲目のみ)。

そして、1964年3月の録音は、1曲目「Jim Crow」で、パーソネルは、Eric Dolphy (as, bcl, fl) Bob James (p) Ron Brooks (b) Bob Pozar (ds, per) David Schwartz (vo)。

1曲目の「Jim Crow」は、フリー・ジャズのとても良い演奏である。ユニークなのは、人間の肉声とドルフィーのアルトとのコラボ。人間のボーカルを楽器に見立て、ドルフィーのアルトのフリーキーなフレーズに絡む。
 

Other_aspects

 
演奏の中間部分と後半の終わり部分に突如として出てくるピアノ・トリオの演奏は、伝統的なジャズの範疇内ではあるが、かなりアブストラクトな響き。なんと、フュージョン・ジャズの大御所ボブ・ジェームスの若き日のピアノである。

そして、ラストの「Improvisations And Tukras」は、アフリカン・ネイティブなパーカッションのリズム&ビートと、アフリカン・ネイティブな民謡の響き。アーシーでフォーキーでネイティブなバックに乗って、ドルフィーがフリーキーにフルートを吹きまくる。フリーキーではあるがアブストラクトでは無い。ドルフィーのフルートは、限りなくアーシーで限りなくアフリカン・ネイティブである。とても聴き易く、とても心地良い、ドルフィーのフリーキーなフルート。

アルトのソロも良い、ベースとのデュオも良い。どの演奏も限りなくフリーキーであるが、決して、激情にまかせるままのアブストラクトな演奏では無い。ほど良く抑制され、知性と理性にコントロールされた、理知的なフリー・ジャズがこのアルバムにはある。限りなくフリーキーなインプロビゼーションではあるが、決して、アブストラクトな演奏には陥らない。

このアルバム『Other Aspects』は、良心的なフリー・ジャズを体験できる好盤である。フリー・ジャズの入門盤としても格好の内容である。あまりジャズ本で採り上げられることは少ないが、どうして、この『Other Aspects』は、フリー・ジャズの名盤だと僕は思う。

ドルフィーの、フリー・ジャズに対する才能とセンスをビンビンに感じる事ができる、この『Other Aspects』というアルバムには、ドルフィーの「奇才」と呼ばれるべき才能がぎっしりと詰まっている。

エリック・ドルフィーは、1曲目「Jim Crow」の録音の3ヶ月後の1964年6月、糖尿病による心臓発作の為、38歳という若さで、ベルリンにて他界した。実に惜しい才能であった。

 
 

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2012年1月30日 (月曜日)

フュージョン時代のマイニエリ

1970年代のフュージョン・シーンの中で、一番、訳が判らんミュージシャンの一人が、マイク・マイニエリ(Mike Mainieri)。フュージョン・シーンでの、この人の存在自体が良く判らないまま、今に至っている。

マイク・マイニエリの紹介フレーズは「フージョンの仕掛け人」、若しくは「フュージョンの陰の立て役者」。といって、マイニエリは、フュージョン・シーンにおいて、他のリーダー作にサイドメンとしての参加は多いが、自らのリーダー作は数が少なく、フュージョンの名盤として、真っ先にその名が挙がるアルバムは無い。なのになんで「フュージョンの仕掛け人」なんや?

恐らく、1972年録音の、Mike Mainieri & Friends名義の『White Elephant』(2006年12月12日のブログ参照・左をクリック)の存在がそういう紹介フレーズを引き出すのかもしれない。『White Elephant』は、当時のクロスオーバー・ジャズの腕利きスタジオ・ミュージシャン中心に集まって、様々なジャンルの音楽を融合させて、新しい演奏スタイルを模索したセッションの寄せ集め集。

収録された演奏は、どれもが実験的というか、未完成なパーツというか、様々な演奏スタイルのショーケースの様な演奏がズラリ。同業者にとっては良いかもしれないが、聴く側からすると、とにかく中途半端な演奏ばかりで、純粋な鑑賞に耐える内容ではない。これをマイニエリの代表作とするには、あまりに乱暴すぎる。

マイニエリのフュージョン時代のアルバムを挙げろと言われて、思い浮かぶのはこれしかない。『Love Play』(写真)である。1977年のリリース。基本メンバーは、マイク・マイニエリ(vib)、スティーヴ・ガッド(ds)、デヴィッド・スピノザ(g)、ウォーレン・バーンハート(key)、トニー・レヴィン(b)。当時、NYのフュージョン・シーンでの腕利きが参加。

しかし、このアルバムがである、どう聴いても、当時のフュージョン・ジャズとは、ちょっと外れたところにあるから厄介である。冒頭の「High Life」はトロピカルな雰囲気ただようAORな楽曲。ジャジーな雰囲気が希薄でソフト&メロウで俗っぽいAOR。この1曲目でちょっとズッ転ける(笑)。
 
 
Mike_mainieri_loveplay
 
 
2曲目「Magic Carpet」とラストの「Love Play」は、演奏の雰囲気は殆ど「プログレッシブ・ロック」。シンセの使い方はあからさまにシンセっぽく、どう聴いてもジャジーでは無く、ファンキーな雰囲気は殆ど無く、フュージョン・ジャズっぽくもない。フュージョン・ジャズとして聴くより、プログレとして聴いた方が据わりが良い。

そんなちょっと混沌としたアルバムの中、4曲目の「I'm Sorry」でのマイケル・ブレッカーのテナーソロは最高。加えて、7曲目のホール&オーツのヒット曲のカバー「Sara Smile」でのデビッド・サンボーンのアルトも凄い。この2曲のテナーとアルトのソロは絶対の聴きもの。でも、これってマイニエリのヴァイブとは関係無い(笑)。

おやっと思ったのは、6曲目「Easy to Please」でのマイニエリのヴァイブのアドリブ・ソロ。このマイニエリのアドリブ・フレーズって、ボブ・ジェームスの『Heads』の2曲目「We Are All Alone」の後半のマイニエリのアドリブ・フレーズと同じ。

おいおい、アドリブ・フレーズを使い回しているのかい(笑)。確かに、フュージョン・ジャズにおけるマイニエリのアドリブ・フレーズはパターン化される傾向にあって、マイニエリと直ぐに判る良さはあるが、逆にワンパターンに近く、何回か聴くと飽きてくる。

このマイニエリの『Love Play』はフュージョン・ジャズとして聴くと、ちょっとズッ転けます。ソフト&メロウなインスト中心のAORとして聴くと、それなりに楽しめる内容ではありますが・・・。この『Love Play』を聴いていて、僕はどうしても、マイク・マイニエリの「フージョンの仕掛け人」、若しくは「フュージョンの陰の立て役者」という紹介フレーズが理解出来ません。

そんな「ちゃら男」的なマイク・マイニエリ。最近は、コンテンポラリー・ジャズのジャンルで、なかなかに魅力的なリーダー作を連発するようになったんで良かったです(2011年12月9日のブログ参照・左をクリック)。マイク・マイニエリの本質を感じるには、最近のリーダー作に絞って聴き込んだ方が良いと思います。この『Love Play』は、フュージョン者のコレクターの対象でしょう。
 
 
 
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2012年1月29日 (日曜日)

チューリップ・マニアの「踏み絵」

デビューアルバム『魔法の黄色い靴』から、僅か半年後に発売されたセカンドアルバム『君のために生れかわろう』(写真左)。1972年12月20日のことであった。といっても、僕はこのアルバムはさすがにリアルタイムには聴いていない。耳にしたのは、その3年後、高校2年の冬であった。

このセカンド・アルバムは、全13曲でありながら、トータルの収録時間は30分弱。LPのA面、B面それぞれで15分弱とかなり短い。デビューアルバムから僅か半年での制作が故、曲のアレンジや構成に時間をかけることが出来なかったと思われる。しかし、今では考えられない制作スパンである。

かなりの「急造アルバム」ではあるが、それぞれの曲については、チューリップの「音」を構成する様々な個性のパーツが、宝石の原石の様に加工されないそのままのイメージで、そこかしこに転がっている。チューリップというバンドの個性、特徴を感じ取るには、格好のオリジナル・アルバムとなっている。

でも、当時はなかなか手を出せなかったなあ。このアルバム・ジャケットがなあ。なにか「こっ恥ずかしくて」、レコード屋のカウンターになかなか持っていけなかった(笑)。

まあ、タイトルが「君のために生まれかわろう」やからなあ。高校時代の僕には、大変勇気がいることでした、このアルバムを購入するのは・・・。いつも通っていたレコード屋では無くて、となり駅のレコード屋まで、わざわざ買いに出かけたなあ(笑)。

さて、デビューアルバム『魔法の黄色い靴』では、当時の様々な洋楽の要素がごった煮で入っていたが、このセカンドアルバム『君のために生れかわろう』では、ビートルズの要素に的を絞って、チューリップの個性に昇華させている。練られていない部分もあるにはあるが、概ね、成功裡にチューリップの個性として反映されている。見事である。
 
Kiminotameni_umarekawarou
 
チューリップマニアからすると、このセカンドアルバムは、絶対に外せない「キー・アルバム」であるが、当時、このセカンドアルバムのセールスは全く芳しく無かった。
 
加えて、このアルバムからシングル・カットされた『一人の部屋』についても同様。特に、このシングル・カットされた「一人の部屋」は、今の耳で聴いても傑作だと思うんですがね〜。曲全体がちょっとシンプル過ぎるのが「玉に瑕」ですが・・・。

このセカンドアルバムのリリースは、1972年。日本の音楽界は、歌謡曲とフォーク・ソングの時代。このビートルズ基調のフォーク・ロック若しくは、ポップ・ロックな感覚は「新しすぎた」のかもしれない。

少なくとも、微妙にビートルズと距離を置きつつ、洋楽中心に音楽に親しんでいる輩でないと理解しにくかったかもしれない。ビートルズ・マニアからすると、チューリップを聴くと、直接的に「ビートルズのパクリやん」で終わる。そうやないんやけどな〜。ビートルズの要素に的を絞って、チューリップの個性に昇華させているんやけどなあ。

このアルバムは、チューリップ・マニアにとっては「原点」の様なアルバムである。いつかきっと、チューリップ・マニアを自認するからには、どこかでこのアルバムを手に入れ、このアルバムを聴き込む時期が必ず来る。

そして、このアルバムが良ければ、チューリップ・マニアとして、以降ずっと、チューリップを聴き続けるだろうし、このアルバムが気に入らなければ、チューリップから離れていく。そういう意味では、この『君のために生れかわろう』というアルバムは、チューリップ・マニアとしての「踏み絵」の様なアルバムである。

 
 

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2012年1月28日 (土曜日)

チューリップのデビュー盤である

最近のことであるが、NHKの「SONGS」のスペシャルに財津和夫さんが登場した。財津和夫さんと言えば、伝説のフォーク・ロック・グループ「チューリップ」のリーダーであり、Jポップ界を代表するメロディーメーカーの一人でもある。

僕は高校時代から、尊敬する日本のミュージシャンとして、吉田拓郎、財津和夫、小田和正の3人が絶対的存在。その一人が出演している。元気そうで安心したのと、やはり、「財津者」の僕としては、財津さんの音世界はしっくりくる。良い番組でした。

そして、久し振りに「チューリップ」のアルバムを聴き直したくなった。なにを隠そう、松和のマスターこと私は「チューリップ」のマニアである。1973年の大ヒット「心の旅」を耳にして以来、チューリップはずっと好きなバンドのひとつ。特に、高校時代から大学時代にかけては、密かにチューリップ者として、アルバムを買い続け、聴き続けた。

しかし、僕の周りには、チューリップ者はいなかったなあ。「心の旅」のヒットくらいしか認知度が無く、よってアルバムを愛で、アルバムの魅力を語る友人は皆無。後に「サボテンの花」がドラマのタイアップ曲として、リバイバル・ヒットした時は、大いに溜飲が下がった思いがしたものだ(笑)。

そんなチューリップのデビューアルバムが『魔法の黄色い靴』(写真左)。当時、フォーク・ロック・バンドのデビュー・アルバムとしては、なかなかに金のかかったもので、ダブル・ジャケット仕様に、ポスターなどが同梱されており、当時のレコード会社の期待度の高さが窺い知れる。確かに、このデビュー・アルバム、チューリップの個性がぎっしり詰まった、当時のJポップ・シーンには無かった、斬新でハイレベルなロック・ポップなアルバムであった。

兎にも角にも、タイトル曲であり、デビュー・シングルでもあった「魔法の黄色い靴」が素晴らしい。この曲をFMで耳にしたのは、1974年。荒井由実の ポップな曲が流れ始めている中で、この「魔法の黄色い靴」も流れていた。聴いたことが無い「コード進行」、それまでのフォーク・ソングには無い「歌い 方」、全く新しい響きを湛えた「コーラス」。今の耳で聴いても、この曲は斬新。フォーク・ロックの名曲である。

Tulip_yellow_magical_shoes

そして、2曲目の「あいつが去った日」より、「千鳥橋渋滞」「ハーモニー」「おいらの気楽な商売」「私の小さな人生」と、LP時代のA面を飾る、素晴らしいフォーク・ロックの名演がズラリと並ぶ。どの曲も、当時のJポップ・シーンには無かった、洒落ていて、かつ、ポップ度の高い曲で、1970年代前半のフォーク・ソング全盛時代においては、ちょっと浮いた存在だった。でも、この洒落たところが良いんですよね。

まだ、1970年代前半は、録音の機材や録音方法も発展途上の時代、アレンジなどもまだまだテクニック不足で、演奏全体の雰囲気は地味で洗練されておらず、完成度は低いのですが、それをカバーして余りある曲のユニークさと斬新さが素晴らしい。

これらの曲を今の録音環境とアレンジのテクニックで、完全リメイクして欲しいですね〜。曲それぞれの内容が良いので、その出来はかなり期待できるのでは無いかと思います。

LPのB面の「もう笑わなくっちゃ」「言葉が出ない」「思えば遠くへきたものだ」「どうして僕は淋しいんだ」「風」の流れも、チューリップ・マニアには堪えられない内容なんですが、A面に比べると、ちょっと「力尽きた」感はあるかな。アレンジにやっつけ感があって、演奏自体も荒さが目立ちます。実に惜しい。曲自体は良いんですよ。

でも、ラストの「大魔法の黄色い靴」には聴く度に感心する。このアルバムのタイトル曲「魔法の黄色い靴」にオーケストラのアレンジを施して、チューリップのメンバー、そして、スタッフも交えての「大合唱曲」としてリプライズしているんだが、これが素晴らしい出来なのだ。これだけ、ストリングスのアレンジに耐える楽曲もなかなか無い。やっぱりこの「魔法の黄色い靴」は名曲なんだと痛く感心したのを昨日のことの様に覚えている。 

一般万民にお勧めする内容のアルバムでは無いんですが、Jポップ、フォーク・ロックのマニアの方には一度聴いて頂きたいアルバムではあります。勿論、チューリップ・マニアの方々にはマスト・アイテムでしょう。

デビュー・アルバムだから、出来はイマイチなのではと懸念しているのであれば、全く心配はいりません。チューリップのメンバーの個性がキラキラ煌めいていて、チューリップ・マニアであれば、かなり楽しめる内容です。

 
 

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2012年1月27日 (金曜日)

とてもポップな「泣きのギター」

泣きのギター「エリック・ゲイル(Eric Gale)」。この人のギターは、ファンキーでメロウ、ブルージーで「むせび泣く」ように音が伸びる「泣きのギター」が個性。

エリック・ゲイルのソロアルバムは、この「泣きのギター」と「ポップでソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」の両方が楽しめる。そんなゲイルの6枚目のリーダー作、1981年リリースの『Blue Horizon』(写真左)。この『Blue Horizon』は、「ポップでソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」に一番振れたアルバムである。

冒頭のタイトル曲のイントロから、もう既に「ポップ度全開」である。しかし、ゲイルの泣きのギターは健在。ポップなアレンジに乗って、ちょっとトロピカルな雰囲気で、ゲイルのギターが「泣く」。アレンジと言えば、ゲイルのアルバムには珍しく、アレンジの担当が「ボブ・ジェームス」では無い。このアルバムはゲイルのセルフ・プロデュース。

2曲目「Wait Until The City Sleeps」はボーカル曲であるが、ここまで来ると「ポップ化」も度が過ぎているんではないか、と言いたくなる。間奏のゲイルのギターは、ファンキーに「泣いている」んだが、ボーカルがなあ。上手くない。ちょっと単調過ぎる。

で、3曲目の「When Tokyo? 」は打って変わって、ファンキーかつブルージーな、そして、スパニッシュな雰囲気がご愛嬌の、ゲイルがキターを弾きまくるインスト・ナンバーに、前曲への怒りも治まる。ゲイルの泣きのギターは独特の音色。少し霞んでくすんだファンクネス漂う音色は独特の個性。

そして、4曲目の「Mako D'Amour」のコテコテのラテン調の演奏に、再び怒りがこみ上げてくる(笑)。ここまでくると、やり過ぎである。これって、もはやジャズではない。ラテン調の軽音楽である。でも、ゲイルのギターは「泣いている」。こんな泣き方せんでもええのになあ(笑)。とにかくアレンジがチープである。

Gale_blue_horizon

そう言えば、5曲目「Clock-A-Pa」、6曲目の「Call Me At The Same Number」のレゲエ調のナンバーも明らかにアレンジがチープ。このアルバムの中で、イマイチの響きの演奏は、どれもがアレンジがチープ。

どうも、ゲイル自身のセルフ・プロデュースに問題があるようだ。 ジャズメン自らのセルフ・プロデュースが如何に難しいかを、このアルバムを聴いて再認識した。やはり、プロデュースとアレンジは才能に負うところが大きい。

4曲目でずっこけ、5曲目、6曲目の不完全燃焼的なチープでレゲエな演奏に落胆し、やけっぱちになりながら、ラストの「97th & Columbus」のイントロの部分を耳にして、「んっ」と身体を乗り出す。そして、快調に飛ばすが如くゲイルのギター・ソロが泣きまくり、バックのリズム・セクションは、ファンキーな縦ノリに揺れる。これって、スタッフやん。

ラストの「97th & Columbus」は凄い。疾走感溢れる、縦ノリのファンクネス。往年のスタッフ的演奏の再現である。このナンバーは素晴らしい。この『Blue Horizon』というアルバム、このラストの「97th & Columbus」の素晴らしい演奏に救われる。

でも、このゲイルの『Blue Horizon』って、1981年のリリース当時には、結構、聴いた盤なんですよね(笑)。やはり、時代がソフト&メロウの時代で、アレンジの出来も、当時としては平均点的な出来なので、リリース当時は「あら」が見えなかったんでしょうね。

今の耳には、このアルバムを全編通して聴くのはちょっと辛い。1曲目の「Blue Horizon」、3曲目の「When Tokyo? 」、そして、ラストの「97th & Columbus」、この3曲は絶対お勧めなんですがね〜。でも、ポップでソフト&メロウなフュージョン・ジャズがお好きな方には良いかも。僕にはちょっと甘すぎます(笑)。

 
 

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2012年1月26日 (木曜日)

泣きのギターが炸裂しまくり

1975年のソロ・デビュー作は『Forecast』(2010年7月11日のブログ参照・左をクリック)、翌1976年の『Ginseng Woman』はセカンド・アルバム(2011年1月11日のブログ参照・左をクリック)。その『Ginseng Woman』に続く、Eric Gale(エリック・ゲイル)自身3枚目となるリーダー・アルバム『Multiplication』(写真左)。

この『Multiplication』は、ゲイルのR&B志向が存分に反映されたアルバムだろう。ファンクネスの香り芳しく、ソフト&メロウなフュージョン炸裂なゲイルの代表作の一枚。

冒頭の「Morning Glory」はソフト&メロウで、落ち着きのあるジャジーなナンバー。ちょっとトロピカルな雰囲気漂い、ゲイルの官能的なギターが乱舞する。アレンジは「丸判りのボブ・ジェームス」。どっから聴いても、ボブ・ジェームスのアレンジ。弦の使い方、ブラスの重ね方、キーボードの手癖、どれを取っても「ボブ・ジェームスのアレンジ」。

ボブ・ジェームスのアレンジ満載なので、一瞬、これって「ボブ・ジェームスのアルバム?」って思ってしまいますが大丈夫です。Grover Washington Jr.のテナーも、存在感があって凄い威力です。一瞬、これって「グローバー・ワシントンJr.のアルバム?」って思ってしまいますが大丈夫です。エリック・ゲイルのソロはふんだんに入っています。

2曲目の「Gypsy Jello」は、1970年代のフュージョン・マニアであれば外せない名曲。Stuffのメンバー、Richard Teeのアルバムに収録されたり、あの伝説のN.Y.All Starsの来日公演でも演奏されていましたね。ゲイルの泣きのギターは炸裂しまくりです。聴き応え十分。ゲイルのファンクネス芳しいジャジーなギターは絶品。
 

Gale_multiplication_3  

 
3曲目の「Sometimes I Feel Like A Motherless Child」は、トラディショナルな「黒人霊歌」。ホーンやストリングスの仰々しいアレンジも大変好ましく、ブルージーな泣きのギターには、コッテコテのデコレーショナルなアレンジが必須なのだ。

そして、4曲目の「Oh! Mary Don't You Weep」。コーラスをフィーチャーしたゴスペルな雰囲気抜群で、米国ルーツ・ミュージック好きならば、この演奏には「痺れる」こと請け合い。

アレンジが、コッテコテにファンキーで、コッテコテにゴスペルチックで格好良い。ゲイルのギターは泣きまくり、ティーのハモンド&ピアノのファンキーな響きは絶品中の絶品。まるで教会の残響を思わせるような録音と相まって、このゴスペルチックな演奏は、このアルバムのベストトラックだろう。

他の曲もどれもが良い内容です。とにかく、ギブソンのフル・アコースティック・ギターの鳴りや響きを活かしたゲイルの泣きのギターは唯一無二の個性。その抜群のタイム感覚と歌心のあるプレイは他の追従を許さない。1970年代のフュージョン・ジャズの中で、ゲイルの泣きのギターは「宝」である。

しかし、この『Multiplication』のアルバム・ジャケットは酷いなあ。どうやったら、こんなデザインが思い浮かぶのやら(笑)。
 
『Ginseng Woman』も酷かったが、この訳が判らない酷いジャケット二つをわざわざ併せて、新しいアルバム・ジャケットのデザインとしている『Ginseng Woman』と『Multiplication』のカップリング盤(写真右)は、酷いを通り超して凄いです(笑)。

 
 

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2012年1月25日 (水曜日)

MJQの演奏は決まって「典雅」

「典雅」という言葉がある。辞書を紐解くと「正しく整っていて上品なさま」とある。僕は、この「典雅」という言葉を聞くと、決まって、Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット、略してMJQ)を思い出す。

MJQの演奏は決まって「典雅」。対位法を用いた、ハイテクニックなグループサウンズ。しかし、単に上品なだけであれば、単なる「クラシックかぶれのスノッブ達」なのだが、これが違う。

典雅な演奏の底に、しっかりとファンキーな芳しい香りとジャジーな雰囲気が横たわっている。それをMJQの演奏の全てに、そこはかとなく感じるので、MJQは絶対に「ジャズ」だし、ど真ん中、メインストリームなジャズとして、僕は長年愛でているのだ。

宮廷音楽の様に典雅な演奏を、ハイテクニックなグループサウンズとシンプルで音数を選んだクールなアレンジメントで、どこまで、冷静に抑制を効かせたジャズが演奏出来るのか。アーティスティックなジャズの追求。しかし、その底に、しっかりとファンキーな芳しい香りとジャジーな雰囲気が見え隠れする。

そんなMJQの個性が満載なアルバムが1956年にリリースされた『Fontessa』(写真左)。1956年1月と2月の2階に分けた録音。Prestigeレーベルを離れ、Atlanticレーベルでのファースト・アルバム。
 
Mjq_fontessa
 
MJQのパーソネルを改めてここに記しておく。John Lewis (p), Milt Jackson (vib), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。黄金の4人。

冒頭の「Versailles」から、典雅さが全開。4人4様にハイテクニックを駆使して、クールに冷静に、それでいてしっかりとしたスピード感も維持しつつ、抑制されたモダン・ジャズを聴かせる。躍動感を感じる。演奏の底によこたわるファンキーな香り。ルイスのピアノとミルトのヴァイブが尖っている。

続く「Angel Eyes」そして「Fontessa」は、静謐でクールなピアノとヴァイヴのハーモニーが美しい。抑制と静謐の極み。どっぷりとブルージーで乾いたジャジーさが「コク」を生み出している。ルイスのピアノとミルトのヴァイブが目立つ目立つ。

4曲目の「Over The Rainbow」と6曲目の「Willow Weep For Me」はキャッチャーなテーマを持ったジャズ・スタンダード。こういうベッタベタなスタンダードを演奏させると、MJQは実に見事にアレンジメントしつつ、抑制されたファンクネスを振りまきながら、抑制された躍動感のある、楽しげな演奏を繰り広げてくれるのだ。

知性溢れる典雅なジャズ、アーティスティックなジャズを体感出来る良いアルバムです。ファンクネス全開、熱気溢れるジャズばかりがジャズじゃない。MJQを聴くと、ジャズって奥が深いな〜って改めて思います。

 
 

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2012年1月24日 (火曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・15

さて、「ビッグバンド・ジャズは楽し」シリーズの第15回目。今回は、日本のビッグバンド・ジャズの最近の新譜をピックアップ。 

MALTA(マルタ・写真右)は、日本のコンテンポラリー・ジャズ系のサックス奏者。僕のマルタに対する印象は、バブル時代のデジタル・フュージョンの寵児。なんだか今でもバブリーなサックス奏者という印象があって、どうも良くない(笑)。

マルタの名誉のために言っておくと、マルタは素性正しい、正統派ジャズ・ミュージシャン、サックス奏者なのだ。1973年、東京芸術大学音楽学部器楽科卒業。同年、バークリー音楽大学に留学し、1976年(昭和51年)卒業。同校の講師を務めている(Wikipediaより)。

そして、マルタには、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターであった(約4年間)という、日本人として胸が空くような歴史がある。日本での、ジャズ・ミュージシャンとしてのデビューは1983年。

そんなマルタが、昨年7月、突如、ビッグバンド・ジャズのアルバムをリリースした。そのタイトルは『MALTA JAZZ BIG BAND~TOKYO LiVE~』(写真左)。

最初は、あのサックス奏者のマルタが、なんでビッグバンド・ジャズを、と一瞬思ったんだが、そう言えば、マルタは、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターであったことを思い出して、合点がいった次第。

Malta_jazz_bb

一言で言うと「シンプル」なビッグバンド・ジャズである。アレンジで変に捻らず、難度の高いフレーズを駆使した小難しさも無い。アレンジは判り易く、フレーズはキャッチャーで親しみ易い。しかし、決して安易な演奏では無い。判り易く親しみ易い演奏の底に、しっかりと、プロフェッショナルなテクニックと歌心が潜んでいる。

メンバーを列挙すると、MALTA (sax,cond), 佐藤達哉 (ts,fl,cl), 近藤和彦,萱生昌樹 (as,fl,cl), 吉田治 (ts,ss,fl), つづらのあつし (bs,as), エリック宮城,岡崎好朗,中野勇介,小林太 (tp), Fred Simmons,池田雅明,Pat Hallaran (tb), 朝里勝久 (b-tb), 則竹裕之 (ds), 鳥越啓介 (b), 宮之上貴昭 (g), 三木成能 (p)。日本ジャズ界を代表する精鋭ミュージシャンを中心に構成されている。

「シンプル」なビッグバンド故に、演奏の内容が判りやすく、エンタテインメント性に優れる。シンプルが故に、ビッグバンドの「熱気」の部分が表現し易く、一体感、ドライブ感に優れ、ビッグバンド・ジャズの楽しさがダイレクトに伝わってくる。

この「シンプル」さが、もしかしたら、ビッグバンド・ファンのベテランの方々からすると、物足りないかもしれない、とも思ったりもする。逆に、ジャズ者初心者の方々にも判り易いビッグバンド・ジャズだということが言える。ジャズ者初心者の方々にはお勧めのアルバムである。

コテコテ正統派なビッグバンド・ジャズも良いが、このMALTA JAZZ BIG BANDの様な、コンテンポラリーなビッグバンド・ジャズも良い。ライブ録音としての「熱気」も聴きどころ満載。なかなか良いビッグバンド・ジャズのアルバムではないでしょうか。

 
 

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2012年1月23日 (月曜日)

シナトラの歌は小粋でダンディ

男性ジャズ・ボーカルで、代表的なボーカリストをひとり選べと言われたら、僕は、迷わずに、フランク・シナトラの名を挙げる。とにかく、シナトラの歌唱は別格。今日、僕たちが、ジャズ・スタンダードとして知られている曲の歌唱は、シナトラの歌い方をベースにしながら、それぞれのボーカリストの個性を付加していると言っても過言ではない。

そして、バレンタインデーが近づくと聴きたくなるアルバムが、Frank Sinatra『Songs for Young Lovers』(写真左)。1954年のリリース。録音は、1953年の11月5〜6日。

フランク・シナトラの歌声は、ダンディズムの極地。どこまでも男らしく、優しく語り掛ける。その歌声は男性ジャズ・ボーカリストの源と言える。どの曲をとっても、その素晴らしさには、変わりが無いんだけど、とりわけ、ラストの『Violets for Your Furs』は絶品。

この曲、トミー・ドーシー楽団の専属アレンジャーだったマット・デニスが、1941年に作曲した冬の定番ラヴソング。日本では「コートにすみれを」の邦題でも知られていますが、ここでのシナトラの歌は絶品。男らしく、優しく、語りかけるように、しっかりと小細工なしに、この曲の想いをストレートに伝えます。とにかく「格好いい」んですよ。これが・・・。

シナトラのドカッと安定した、王道を行く歌声は、男と女の「幸せなスチュエーション」に花を添えます。
 
Song_for_young_lovers
  
そして、バレンタインデーが近づくと聴きたくなる理由が、冒頭の「My funny Valentine」。このシナトラの歌は、この歌の決定的名唱のひとつ。とりわけダンディな歌声で、このラブソングを小粋にサラリと歌い上げていきます。

「私の可笑しなバレンタイン、愛しく面白いバレンタイン、貴男は私を心の底から笑わせてくれる。貴男の顔は吹きだしそう。写真写りも良くない。けど、あなたは私にとってお気に入りの芸術品なのよ」と、ケチョンケチョンに、けなしておいて、それでもそういうあなたが好きなのよ、という「女性から男性へのラブソング」となっています。

もう一度言いますが、この「マイ・ファニー・バレンタイン」というラブソングは、女性から男性へのラブソングです。これが逆のシチュエーションだったら、大変なことになります(笑)。まあ、歌詞通りに女性から男性へのラブソングだとしても、この歌詞を添えて、バレンタインデーにチョコレートを貰っても、ちょっと気持ちは複雑ですが・・・(笑)。

でも、このシナトラの様に「クール&ダンディ」な歌声で、この歌詞を囁くように歌われたら、男性から女性という、逆のシチュエーションでも「OK」かも・・・(笑)。とにかく、シナトラの歌はダンディで小粋で実に渋い。

ちなみに、この『Songs for Young Lovers』ってアルバム、LPが存在しなかった時代の10インチ(25センチ)盤としてリリースされたもので、現在は同じく10インチ盤の『Swing Easy!』とカップリングされてCD化されています。

 
 

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2012年1月22日 (日曜日)

財津さんのセルフカバー集

NHKーBSの人気音楽番組「SONGS」を観た。出演は財津和夫。いや〜、お懐かしいやら嬉しいやら。僕は、財津さんとチューリップの大ファンなのですよ。

僕は高校時代から、尊敬する日本のミュージシャンとして、吉田拓郎、財津和夫、小田和正の3人が絶対的存在。その一人が出演している。元気そうで安心したのと、やはり、「財津者」の僕としては、財津さんの音世界はしっくりくる。良い番組でした。

財津さんによる、チューリップ時代の曲のセルフカバーにはなかなかの味わいがあって、僕はとても好きだ。既に、何枚か、セルフカバー集が出ているが、どれも聴き応えのある出来になっている。

前々から、結構、良く聴くセルフカバー集が、1992年12月にリリースされた『CALL』(写真左)。これももう20年前になるのか。ということは、この財津さんのセルフカバー集を20年間もの間、聴き続けていることになるのか。なんだか、感無量やなあ(笑)。

全11曲中、10曲がセルフカバーで、懐かしのチューリップの名曲がきら星のごとく並んでいます。チューリップ者としては、どのアルバムの何曲目に入っているか、暗記している位の名曲です。

特に1曲目の『銀の指輪』、3曲目の『ぼくがつくった愛のうた』、そして、みんなが知っている10曲目『心の旅』。チューリップ時代は財津さんがメインボーカルを取らずに、姫野さんがメインボーカルを取った名曲で、このアルバムでは、財津さんがメインボーカルを取ったバージョンが聴けるので、とても有り難いやら嬉しいやら(笑)。
 
Zaitsu_call
 
そして、8曲目の『魔法の黄色い靴』は、もう、涙無しには聴けません。この「魔法の黄色い靴」は、何を隠そう僕がチューリップの並み居る名曲の中で、最高傑作と信じて疑わない曲なんですね。

今、聴いても、斬新なコード進行・洗練された曲想・ユニークな歌詞。こんな曲が、1972年に作られていたとは今での驚きです。この「魔法の黄色い靴」との出会いは、未だにショッキングな出来事として記憶しています。

このアルバム『CALL』は、チューリップのリーダーであった財津和夫さんがセルフカバーしているだけあって、原曲のイメージを尊重しつつ、しっかりとしたリニューアル感覚が感じ取れるアレンジが秀逸で、チューリップの名曲達が、全く、新しい面もちで生まれ変わっています。

チューリップ者の方で、まだ、この財津さんのアルバムを聴いていない方は、ぜひ、ご一聴を。昔のアレンジと録音状態をしっているチューリップ者の方でしたら、結構、万感の想いを込めて、耳を傾けられるのではないかと思います。
 
とりわけ、チューリップ者の方は、2曲目の『ハーモニー』、6曲目の『一人の部屋』などは、涙涙涙ではないでしょうか(笑)。

ちなみにラストの「誰が許すの君のわがままを」は当時の新曲です。シングルカットもされましたね。チューリップのセルフカバー曲の中に、ぽつんと浮いた感じの存在ですが、「財津節」が心ゆくまで堪能できて、この新曲も良い出来だと思います。

 
 

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2012年1月21日 (土曜日)

EW&Fの音楽的頂点『太陽神』

1975 年の『Gratitude』でのファンキーかつR&Bなブラス・ロックを基調としたフュージョン・ジャズに、1970年代後半のトレンドであったAORの要素を加えて、フュージョン・ジャズ寄りから、ファンキーでソフト&メロウなR&Bバンドの様相を色濃くしていったEarth Wind & Fire。

そんな「ファンキーでソフト&メロウなR&Bバンド」として、Earth Wind & Fireというバンドとして、そして、音楽的に頂点を極めたアルバムが『All 'N All(太陽神)』(写真)。1977年のリリース。全米アルバム・チャート最高3位。

トータル・アルバムとしても秀逸な内容を誇っており、コンセプト・アルバムじゃないのか、と思わせてしまうくらい、アルバム収録曲の流れが実に良い。それぞれの曲についても、曲想、演奏共に実にクリエイティブな内容。エンジニア、ジョージ・マッセンバーグの奥行き感とワイド感の双方を併せ持つ、三次元的で録音・ミックスも相まって、タイト&シャープなEW&Fの演奏が際立っている。

何と言っても、LP時代のA面を占める、「Serpentine Fire (太陽の戦士)」「Fantasy (宇宙のファンタジー)」「In the Marketplace (市のたつ広場)」「Jupiter" (銀河の覇者)」「Love's Holiday" (ラヴズ・ホリデー)」「Brazilian Rhyme (ブラジルの余韻)」の6曲の流れは無敵である(笑)。
 
この『All 'N All』というアルバムは、アルバムタイトルは「太陽神」、曲名も「太陽の戦士」や「銀河の覇者」など、邦題の方が印象的で、今でも記憶にしっかりと残っている。
 
All_n_all
 
僕は、この『All 'N All(太陽神)』というアルバムがとても好きである。最初は、ジャズのアルバムではないので、FMでバラバラに曲をエアチェックしていた。が、どうしてもオン・エアされない曲がある。遂には、ジャズのアルバムのコレクションだけでも資金的に苦しいのに、この『All 'N All(太陽神)』は身銭を切って、LPを手に入れている。それほど、このアルバムは魅力的な内容だったし、当時、大学では、ハイソなグループ中心に流行に流行っていた。

今でも、「Serpentine Fire (太陽の戦士)」の前奏を聴くと、思わず、勝手に足拍子を取り出し、ボーカルが入ることには立ち上がって、クラップ・ハンドしながら踊ってしまうくらいで、とにかく官能的でファンクな演奏が「大のお気に入り」だった。「Fantasy (宇宙のファンタジー)」は、当時の第一次ディスコブームの煽りで、街中、そこかしこに流れていたので「耳タコ」状態だったが、今の耳で聴き直して見ると、実に出来の良い曲である。演奏もかなり高度なもので、単なる流行歌で終わる曲では無い。

そして、LPのB面の1曲目「I'll Write a Song for You (聖なる愛の歌)」は素晴らしいファンキー・バラードだ。このLPのB面は、ファンキーなソフト&メロウ路線まっしぐらなR&B的な曲がズラリと並んでいて、キャッチャーで盛り上がり抜群のA面と比べると、どちらかと言えば、ファンキーに聴かせる玄人好みの曲の流れとなっている。A面はA面の良さがあり、B面はB面の良さがある。実にこの『All 'N All(太陽神)』というアルバムは、コストパフォーマンスが良い(笑)。

ちなみに、カバー・ジャケットのイラストは長岡秀星の手のよるもの。ラッセン若しくはヤマガタの様なテイストのイラストで、ピラミッド、神殿と宇宙というコンセプトで描かれている。LPジャケット・サイズでとても映えるイラストだった。ちなみに、Wikipediaの解説によると、ラメセス王の像の台座のヒエログリフの中に風林火山の文字が隠されている、とのこと。改めて、探してみるか・・・(笑)。

 
 

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2012年1月20日 (金曜日)

いつもチックには「やられる」

1970年代チック・コリア主宰の伝説的グループ、Return To Foreverの黄金期を支えた主要メンバー3人。Chick Corea (p,key), Stanley Clarke (b), Lenny White (ds)。この3人の再会を記録した2枚組がある。

2010年8月リリースの『Forever』(写真左)。1枚目がトリオでのアコースティックな純ジャズ路線。世界各地で繰り広げた、超絶技巧・白熱のステージからベスト・テイクを収録したものです。2枚目がゲストを迎えて、第2期Return To Foreverライクなエレクトリック・ジャズの演奏。チックのホームグラウンド的スタジオで名高い、マッド・ハッター・スタジオでのスタジオ・セッション。

30年以上前の伝説のグループの主要な3人。「昔の名前で出ています」的な単なる再会セッションに陥っているのでは、とチック参加のアルバムとは言え、直ぐには触手は伸びなかった。それもそのはずで、スタンリー・クラークは単調なエレベ、レニー・ホワイトはジャズの路線からは離れた音楽性。チックは僕の大のお気に入りではあるが、この時期に何も、この2人と再会セッションしなくったって、という気分だった。

リリースから1年以上経って「チック参加のアルバムだし、まあ聴かなあかんかな」てな、実に消極的な動機で、このアルバムを手にした。が、聴いてビックリ玉手箱(笑)。単なる再会セッションでは、この2枚組には、実に新しい、今の時代の純ジャズがあり、懐古趣味に陥らない、趣味の良い落ち着いたエレクトリックなジャズがあった。
 
特に、1枚目のアコースティックな純ジャズが良い。収録曲は、スタンダード曲とコリアのオリジナル曲がズラリと並ぶ。スタンダード曲の切れ味の良いチック のピアノも良いが、ここでは、なんと言っても、チックのオリジナル曲の演奏が抜群。
 
Chick_corea_forever_2
 
チックのオリジナル曲がこんなにピアノ・トリオで映えるとは思わなかった。特に「Bud Powell」「No Mystery」「Senor Mouse」が良い。チック者必聴の名演である。とにかくチックの個性が全開で、チック者の僕は、聴いていて楽しくて楽しくて仕方が無い。

そして、面白いのはスタンリー・クラークのベース。素晴らしい。スタンリー・クラークは、チックのバックになると、たちまち素晴らしいベースを弾くのだ。不思議なベーシストである(笑)。

逆に、自分がリーダー、若しくは、他の一流ミュージシャン、若しくは、一流以下の格下ミュージシャンと演奏する時は、派手な割に単調で地味の薄いベースになりがちなのだ。良く判らないベーシストである。このアルバムのみならず、チックのバックに回った時のスタンリー・クラークは実に良いベースを弾く。

レニー・ホワイトのドラムも良い。意外と言えばレニー・ホワイトに悪いが、実に良い、今風の純ジャズ・ドラミングで、ちょっとビックリした。しかも、経験の豊富さから来るのであろう、余裕があって懐の深いドラミングは、本当に聴き応えがある。レニー・ホワイトがこれだけ純ジャズなドラミングを演じるとは思わなかった。

2枚目の第2期Return To Foreverライクなエレクトリック・ジャズの演奏には、曲によって、Return To Forever初代ギタリストのBill Conners (g)が、そして、Jean-Luc Ponty (vln)が、Chaka Khan (vo)がゲスト参加している。
 
こちらは、スタジオ録音ということもあってか、往年の力強さが薄れて、懐古趣味に陥らない、趣味の良い落ち着いたエレクトリック・ジャズに仕上がっている。この往年の力強さや荒っぽさが薄れているところをどう評価するか、というところになるだろう。ちなみに僕はこれはこれで「あり」だと思っています。

懐古趣味の臭いがプンプンするので、直ぐには触手は伸びなかったアルバムではあるが、手にして聴いてみれば、これがなかなかの内容で、水準以上のクオリティをバッチリ保っていて、頼もしい限りです。どうもいつもチックには「やられて」しまいますね(笑)。 

 
 

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2012年1月19日 (木曜日)

RCA最後の『The Standard』

1961年11月、2度目の雲隠れからのカムバック後、満を持してRCAと契約、RCAもロリンズの売上に期待した。そして、かの名盤『橋』を録音する。この『橋』から、『ホワッツニュー』『アワ・マン・イン・ジャズ』『3イン・ジャズ』『ソニー・ミーツ・ホーク』『ナウズ・ザ・タイム』と続くのであるが、レコード会社が思ったほど売れなかったらしい。

時代は、1962年頃、ジャズは、ハード・バップのピークの時代を経て、フリー・ジャズやモード・ジャズが台頭し始めた頃。マイルスの薫陶を受けた、モード・ジャズを核とした「新主流派」が新しい響きのジャズを推進し始めた頃である。徐々にジャズは複雑化、長時間化し、ジュークボックスやFMでのリクエストをベースとした娯楽音楽としての役割を負えなくなっていた。

そして、1964年、『ナウズ・ザ・タイム』の次作で、RCA最後の作品『The Standard』(写真左)をリリースする。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Herbie Hancock (p), Jim Hall (g), David Izenzon, Teddy Smith (b), Stu Martin (ds)。目を惹くのは、ピアノにハービー・ハンコックを起用していること。逆に、ベースとドラムはほぼ無名(リズムキープはまずまずだけど)。

収録曲を見渡すと、バリバリのスタンダード集。前作の 『ナウズ・ザ・タイム』の路線を踏襲している。ジュークボックスやFMでのリクエストのニーズに応える為、1曲の所要時間は約3〜4分程度。4曲目の「My One And Only Love」のみが長尺6分。LP全部で10曲(初出LP)。

収録されたのがスタンダード曲なので、テーマ部がなかなかにキャッチャーな旋律があしらわれている。そのキャッチャーなテーマを吹いて、ロリンズの豪快で奔放なアドリブが展開され、そして、再びキャッチャーな旋律で終わる。それが3〜4分の短時間の中に詰め詰めに詰め込まれているのだ。それが10曲続く。

しかも、ロリンズのソロがかなり充実していて素晴らしいが故に、ロリンズのブロウだけが延々と続くイメージで、何気なく聴いていると、何の曲を演奏されているのか判別に苦労する。素晴らしいロリンズのソロが延々と続く感じで、アルバム全編聴き終えた後、ロリンズのブロウでお腹が一杯になる。とにかく、ロリンズのブロウが耳につき過ぎるのだ。
 
Rollins_standard
 
やはり、ジャズには「間」と「チェンジ」が必要だと感じる。確かに、この『The Standard』では、曲毎に、ロリンズが歌っている感じの建て付けなんだが、テナー・サックスは肉声に近い響きで、しかも音が大きいとくる。どうしても耳に付く。LPとして10曲聴き続けることがちとしんどい。フロントのテナーだけ2〜3分の間、聴き続けるのは辛いし、これが10曲続くとやはり辛い。

しかし、4曲目の唯一の長尺演奏である「My One And Only Love」は絶品。ジム・ホールが抜けて、代わりにハービー・ハンコックのピアノが入ったカルテット構成の演奏なのだが、これが実に良い。ロリンズは心ゆくまでテナーを吹きまくり、ハービーのピアノは実に美しい。新主流派の響きが実に理知的で流麗。このロリンズとハービーとの共演は聴きもの。

ロリンズのインプロビゼーションは、一つのテーマから、バリエーションを重ね繰り返して、徐々にその内容を高めていくタイプなので、演奏時間はいきおい延びる。つまり、ロリンズは、ハード・バップやモード・ジャズに向いている訳で、そもそも、ビ・バップのような瞬間芸で、判りやすい旋律をまとめるような、ポップスライクな演奏スタイルでは無い。

RCA時代のロリンズは素晴らしい。2度目の雲隠れからのカムバック後のロリンズはあらゆる面でグレードアップしている。吹きっぷり、テクニック、イマージネーション、どれを取っても、他の追従を許さない「孤高のテナー」。しかし、レコード会社の意向とその意向に沿ったプロデュースのミスで、その素晴らしさが半減しているのは実に残念。

しかし、この残念さを払拭してくれるアルバムがある。ビジネス的に恵まれなかったRCA時代のロリンズが、何の気兼ねもなく、スタンダード中心に、テナーを吹きまくった未発表の演奏を集めた『After The Bridge』(2008年11月3日のブログ参照・左を来リック)という未発表音源集がある。是非ともこの『After The Bridge』を入手し聴いて欲しい。RCA時代のロリンズが如何に素晴らしかったかを実感できる。

 
 

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2012年1月18日 (水曜日)

ロリンズ者には「マストアイテム」

2008年10月に突如リリースされた、Sonny Rollins の『Road Shows vol.1』。このライブ盤が、1980年から2007年までのライヴを上手く編集している、なかなかの優れものだった(2008年11月4日のブログ参照・左をクリック)。「vol.1」と銘打たれているので、早々に「vol.2」が出るか、と待ち構えていたら、これが「出ない」。

まあ、「vol.1」と銘打った割に「vol.2」が出ないというケースも無きにしも非ずなので、仕方が無いか、と思っていたら、昨年の9月の終わりに、突如として『Road Shows Vol.2』(写真左)がリリースされた。全く期待していなかったので、気が付いたのが、10月の終わりの頃だった。

さて、この『Road Shows Vol.2』は、「vol.1」の様に、各々の年の優れたライブ録音をチョイスして編集して、一枚のライブ盤に仕立て上げるという、所謂「ライブのベスト盤」の様な編集を踏襲していない。とりあえず、収録曲は以下の通り。

1. They Say It's Wonderful
2. In a Sentimental Mood
3. Sonnymoon For Two
4. I Can't Get Started
5. Raincheck
6. St. Thomas

1曲目と6曲目が、2010年の日本ツアーでのライブ収録。6曲目の「St. Thomas」は、テーマだけを吹いて、ロリンズが日本語で「ありがとうございました」云々と閉演の挨拶をしているだけの、約3分弱の短い音源なので、過度な期待をしてはいけない。逆に、1曲目の「They Say It's Wonderful」は実にロリンズらしい、豪快なブロウが聴けて、なかなかの内容。
 
Rollins_road_shows_2
 
2〜5曲目は、2010年9月、NYのビーコンシアターでの収録。こちらのライブは、3曲目の「Sonnymoon For Two」が話題曲。演奏途中で、伝説のアルト奏者、フリーの伝道者オーネット・コールマンが登場し、相も変わらずの抽象的でフリーキーなアルトを聴かせてくれます。なんと、これがロリンズとコールマンの初共演とのこと。へ〜。

そして、パーソネルが凄い。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins(ts), Ornette Coleman(as on 3), Roy Hargrove(tp on 4-5), Jim Hall(g on 2), Russell Malone(g on 1, 4-6), Christian McBride(b on 3), Bob Cranshaw(b except 3), Roy Haynes(ds on 3), Kobie Watkins(ds except 3), Sammy Figueroa(per)。

オーネット・コールマンは先に述べたように3曲目の「Sonnymoon For Two」のみに客演。ちなみにこの3曲目の「Sonnymoon For Two」のみ、大ベテラン、大御所のロイ・ヘインズがドラムを担当している。そして、ベースには、中堅ファースト・コール・ベーシストであるクリスチャン・マクブライドが担当。これって、凄いメンバーではないでしょうか。

2曲目の「In a Sentimental Mood」のみ、ギターにジム・ホールが客演。他の曲のギターは、中堅の年齢となった純ジャズ・ギターの雄、ラッセル・マローンが担当。ジム・ホールのバッキングは素晴らしいの一言。ロリンズには、やはりジム・ホールが良く似合う。そして、今回の注目株、ラッセル・マローンのギターのバッキングは、なかなか味があって良い出来です。

と、話題満載のライブ盤ですが、アルバム全体の雰囲気としては、ところどころ、ロリンズのMCがちょっと長めに入っていたり、ロリンズのソロが少し単調になったりで、冗長で散漫な部分があって、ロリンズのライブ盤として「太鼓判」という訳にはいかないところが、ちょっと悩ましいですね。

ロリンズ者には「マストアイテム」。でなければ、必須という訳では無い、ちょっと悩ましい評価のアルバムです。
 
 
 

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2012年1月17日 (火曜日)

二人の捻れギターの聴き比べ

ビル・エヴァンス・トリオの最後のベーシスト、マーク・ジョンソン(Marc Johnson)。このマーク・ジョンソンが結成したスーパー・グループが「Bass Desires(ベース・デザイア)」。

そのスーパー・グループの2枚目にしてラストのアルバムが『Second Sight』(写真左)。1987年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Marc Johnson (b), Bill Frisell (g), John Scofield (g), Peter Erskine (ds)。

恐らく、こんな大物四人、二度と揃わないだろうと思われる凄いメンバー構成。捻れギターの代表的な二人が加入しているところがこれまた凄い。そして、ドラム担当として、あのウエザー・リポートの最強のドラマーであったピーター・アースキンが参加している。捻れギター二人を迎え撃つドラマーとしては最強の布陣。

選曲については、全曲各メンバーのオリジナルで構成されている。1曲目「Crossing the Corpus Callosum」から、ビル・フリーゼルとジョン・スコフィールドの二人の捻れギターが、とことん捻れまくって、それはそれはもう、気持ち悪さを通り越して、快感に早変わり。凄い捻れ方。そんな二人の捻れを更に煽るように、ドラムのピーター・アースキンが叩きまくる。

Second_sight

2曲目のフリーゼル作「Small Hands」。フリーゼルのルーツのひとつ、カントリー・ミュージック調の曲が心地良い。フリーゼルののスティール・ギターのような響きのギターが実に特徴的。

そして、ECMレーベルのアルバムらしからぬ、単純なツイスト・ロックンロール・ナンバー、その名もずばり「Twister」。ジョンスコのポップなギターが素敵で、かなりのロック調で「ノリノリ」です。かえすがえすも、ECMレーベルとしては実に珍しいロックンロール調の楽曲。

他の楽曲についても、ジャズやフュージョンの枠に留まらず、様々なジャンルの音の要素を盛り込んで、メンバー一同、全編、実に楽しそうに演奏しています。ちなみに、6曲目の「Prayer Beads」で、リーダーのマーク・ジョンソンのベースの妙技が堪能出来ます。これってなかなかの名演です。マーク・ジョンソンのベースの個性をしっかりと感じ取ることが出来ます。

何と言っても、二人の捻れギターの聴き比べが、このアルバムの「いの一番」の楽しみ。その二人の捻れギターをしっかりとバッキングする、マーク・ジョンソンとピーター・アースキンのリズムセクションも、これまた聴きもの。良いアルバムだと思います。ECM独特のエコーも実に心地良く響きます。 

 
 

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2012年1月16日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・6

約2ヶ月ぶりになるが、「こんなアルバムあったんや」シリーズの第6話である。

クラシックや1970年代のロックからジャズに入ると、ジャズならではの独特な習わしや特徴があって、戸惑うことが多々ある。

まず、ロックの様に、固定したメンバーでグループを組んで活動することが、ジャズでは少ないこと。アルバムを作成する毎に、メンバーを募ってセッションを組むこと。同じミュージシャンのリーダー作に、同じタイトルのアルバムが複数存在すること。ジャズは同じ曲を他のミュージシャンそれぞれが演奏しても良いこと。などなど、ジャズならではの習わしや特徴があって、ジャズを聴き始めた頃、この習わしや特徴に思いっきり戸惑うのだ。

今回のアルバムは、このジャズならではの独特な習わしや特徴の内の、「同じミュージシャンのリーダー作に、同じタイトルのアルバムが複数存在すること」にあたる。Art Blakey & The Jazz Messengersの『Night in Tunisia』。有名なBlueNote盤では無く、Bluebird盤である(写真)。

遠く昔々、30年以上前、ジャズ者初心者の頃のことである。ジャズ入門本を貪るように読み、少ない購入資金を元手に、月に3〜4枚はアルバムは購入していた。当時のジャズ入門本は、アルバム・ジャケットの写真が少ない。タイトルだけが文章に混じって並んでいる。アート・ブレイキーはジャズ・ドラマーの雄であることを知り、ブレイキーのアルバムが欲しいと思った。

代表作のひとつの『Night in Tunisia』があった。『Night in Tunisia』の後に「(BN)」とあったが、当時はまだジャズ者初心者、なんのこっちゃら、さっぱり判らんかった。なんとなくエキゾチックな雰囲気漂うタイトル『Night in Tunisia』、邦題「チュニジアの夜」。僕は、アート・ブレイキーの「チュニジアの夜」を購入することに決めた。

レコード屋に行って、アート・ブレイキーの棚に手をかけて、LPを一枚一枚、見て確認していく。あったあった、「チュニジアの夜」である。アート・ブレイキーがリーダーの「チュニジアの夜」。ジャケットはちょっと幼稚っぽいんだが、これはこれで味があると思い込んだ(僕が手に入れたものは「写真右」のデザインのもの。Bluebird盤にも最低2種類のジャケット・デザインがある)。

Art_tunisia_bluebird

この『Night in Tunisia』のBluebird盤、1957年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Hardman (tp) Jackie McLean (as) Johnny Griffin (ts) Sam Dockery (p) Spanky DeBrest (b) Art Blakey (ds)。フロントの3管はバリバリの名うてのメンバー。打って変わって、バックのリズム・セクション、ドラムのブレイキーは別格として、ベースとピアノはほぼ無名。

聴いて見て、ちょっと感動した。アルバムに収録された演奏全てが、完璧にハードバップしているのだ。フロントの管のユニゾン&ハーモニー、リズム・セクションが叩き出すリズム&ビート、どれもが完璧にハードバップしている。ちょっと緩くてラフなところがあるが、締めるところはきちっと締める、絵に描いた様なハードバップがぎっしりと詰まっている。

そして、主役のアート・ブレイキーのドラミングが良い。きっちりとタイトに締まってチューニングされたドラムの弾けるような音が気持ち良い。そして、ブレイキーの十八番の「ナイアガラ・ロール」やお得意の手癖である「カカカカカ」がしっかり聴ける。とにかく、アルバム全編に渡って、ブレイキーが心地良く叩きまくっている。

いや〜、良いアルバムやな〜、ジャズ入門本の紹介文は嘘つかへんな〜、なんて感じ入って、夜な夜な聴いて悦に入っていた。で、それから、数ヶ月後。ジャズ喫茶でだったか、ジャズ雑誌のアート・ブレイキーのディスコグラフィーを読む機会があった。
 
そして、『Night in Tunisia』というタイトルのアルバムは2枚存在することが判った。え〜、同じミュージシャンのリーダー作に、同じタイトルのアルバムが複数存在するんか〜。そう、僕はその事実をその時初めて理解した。

なんとジャズ入門本に載っていたアート・ブレイキーの『Night in Tunisia』は、BlueNote盤だったのだ。え〜っ、じゃあ、この『Night in Tunisia』はなんなんだ〜、と思った。ディスコグラフィーを見ると、Bluebird盤とある。え〜っ、こんなアルバムあったんや〜、と思わず、その場で叫んだ(笑)。 

でも、良かった。Bluebird盤もなかなかの内容で、なかなか聴き応えのある、ハードバップの優秀盤。しかし、「同じミュージシャンのリーダー作に、同じタイトルのアルバムが複数存在する」とは、なんとまあ紛らわしいことであろう。まあ、ほとんどがリリースされたレーベルは異なるんで、まだ「良し」とするか。まあ、ジャズの世界では良くある話なんで・・・(笑)。

 
 

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2012年1月15日 (日曜日)

ECMレーベルらしい前衛ジャズ

マリオン・ブラウン(Marion Brown)は、1931年9月、ジョージア州アトランタの生まれ(2010年10月没)。John Coltraneの問題作「Ascension」、Archie Sheppの「Fire Music」に参加という経歴を持つアルト奏者。基本的にはフリー・ジャズ系のミュージシャンになります。

とは言っても、通常「フリー・ジャズ系のミュージシャン」と聞けば、フリーキーなトーンで、感情の赴くまま、バリバリに吹きまくるスタイルを思い浮かべますが、マリオン・ブラウンのスタイルはちょっと違います。線の細い澄んだ音色で叙情的なメロディを朗々と訥々と吹くスタイルが基本。フリー・ジャズ系のミュージシャンとしては、なかなかユニークなスタイルで、「アルトの詩人」と呼ばれています。

そんなマリオン・ブラウンのユニークなスタイルを感じる事が出来るアルバムの一枚が『Afternoon of a Georgia Faun』(写真左)。現代の前衛音楽の雰囲気が色濃い、静謐感漂う澄んだ音色が美しいマリオン・ブラウンのアルトが、クールにフリーキーに大活躍します。録音時の深いエコーが実に心地良く、実に「ECMレーベル」らしいアルバムです。

1970年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Marion Brown (as), Anthony Braxton (as, ss, cl, bcl, fl, etc), Bennie Maupin (ts, afl, bcl, etc), Chick Corea (p), Andrew Cyrille (per), Jeanne Lee (vo, per), Jack Gregg (b, per), Gayle Palmore (vo, p, per), William Green (per), Billy Malone (ds), Larry Curtis (per)の11人構成。有名どころでは、アンソニー・ブラックストン、ベニー・モウピン、チック・コリアあたりが目を惹きます。
 

Marion_brown_afternoon

 
収録された曲は「Afternoon of a Georgia Faun」「Djinji's Corner」の2曲のみ。どちらの曲も、前衛的なムードが色濃いのですが、訥々とした、繊細で澄んだ音色のフリーキーなトーンのバックに、微かにジャジーなリズム&ビートが息づいており、この楽曲はジャズのジャンルの演奏なんだな、ということを確信します。

冒頭の「Afternoon of a Georgia Faun」の木訥とした、繊細で澄んだ音色は「音の美しさ」を感じることが出来るもので、かなり前衛的で、かなりフリーキーな演奏にも関わらず、独特の「美しさ」を強く感じます。ずっと集中して聴いていると、不思議な爽快感を感じることが出来ます。

グループ・サウンズ的には、十分に間を活かしたフリーな演奏が特徴です。フリーな演奏らしからぬ、個々のソロは二の次、グループ全体のバランスの取れたサウンドを優先、フリーキーな演奏にありがちなアグレッシヴなブロウは、この曲の中にはありません。

逆に、2曲目の「Djinji's Corner」は、いわゆるオーソドックスなフリー・ジャズ的な演奏です。違和感無く聴けますが、通常のフリーな演奏みたいに、心のおもむくままに吹き上げていくというわけではなくて、演奏全体の統制と抑制は良くとれています。オーソドックスなフリー・ジャズ的な演奏にも関わらず、どこか静謐感が漂う、クールで不思議なフリー・ジャズです。

実にマリオン・ブラウンらしく、実にECMレーベルらしい前衛ジャズだと思います。こんなフリーで前衛的なアルバムは、ECMレーベル以外では制作されることは無いのではないでしょうか。それほどまでに、徹頭徹尾、ECMレーベルらしいアルバムです。

 
 

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2012年1月14日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・33

「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの第33回目。ありそうでなかなか無い、ジャズ・ピアノとジャズ・ベースのデュオをご紹介したい。

ケニー・ドリュー(Kenny Drew)のピアノは、黒くブルージーでありながら、クラシック的な優雅さを底に湛えた、端正でテクニック豊かなピアノである。底に漂うそこはかとないファンキーな雰囲気が無ければ、どちらかと言えば、欧州ジャズ系のピアニストの音である。

ニールス・ペデルセン( Niels-Henning Orsted Pedersen)のベースは驚異的なテクニックの塊。ギターの様に、歌うように、アコースティック・ベースを弾く。流れるようなフレーズ。凄いテクニックと歌心。ペデルセンのベースはピッチが合っていて気持ちが良い。ボウイングのテクニックもクラシックの演奏家のそれとひけを取らない素晴らしさである。

ドリューは1961年に渡仏、1964年にデンマークのコペンハーゲンを活動の拠点とし、盟友のベーシスト、ペデルセンと出会っている。恐らく、ジャズを芸術として愛してくれる欧州の聴衆とこのペデルセンとの出会いが、ドリューの心の中の「何か」を変えたのだろう。ニューヨーク時代の苦しさから解き放たれたかのように、端正なタッチ、明快で判り易いフレーズ、ポジティヴで典雅な演奏になって、一躍、人気ピアニストの仲間入りをした。

このドリューとペデルセンがガッチリとデュオを組んで、オリジナルからジョビンのナンバーまで心ゆくまで演奏しまくった記録が、この『DUO』(写真 左)。1972年4月2日、デンマークはコペンハーゲンでの録音。ちなみにパーソネルは、言うまでも無く、Kenny Drew (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b)。1曲だけ、Ole Molin (g) が入る。
 

Drew_pedersen_duo

 
さすがに、盟友同士のデュオである。素晴らしい演奏が繰り広げられている。ドリューの個性、ペデルセンの個性、奏法の個性の良いところが全て出尽くした、一期一会の名演がずらりと並ぶ。そう、どの演奏も素晴らしい。これ1曲っていうものは無い。全てが素晴らしい。

そんな素晴らしい演奏の中でも特に素晴らしい演奏が、10曲目の「ハッシャ・バイ」。このドリューとペデルソンとのデュオ演奏は極めて完成度が高い。至高の名演である。

特に、ここでのペデルセンの会心のパフォーマンスは凄い。ちなみに、このアルバムのレコードミキサーが興奮してボリュームを上げすぎて、音が思いっきり歪んでいる。それでも良い演奏は多少歪んでも良い。良い演奏の全てをしっかり記録して貰った方が聴き甲斐がある。

優れたジャズ・ベースはどんな演奏を言うのか、と問われれば、僕はこのアルバム『DUO』のペデルセンを聴いて貰うことにしている。音程の合っているジャズ・ベースとはどんな音なのか、そして、音程の合っているボウイング奏法とはどんな音なのか。そして、リズム&ビートとメロディの奏法を担当できるベースの演奏とはいかなるものか。このアルバムのベデルセンのベースが的確に教えてくれる。

互いにでしゃばらず、それぞれの個性を尊重し、良い意味で譲り合うような、ドリューとペデルセンの至芸がここに記録されている。ジャズのデュオという演奏フォーマットの中でも、最高峰に位置づけられる名盤である。ジャケット・デザインも落ち着いていて良い。ジャズ者の方々全てにお勧めしたい。

 
 

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2012年1月13日 (金曜日)

久し振りにスイング・ジャズ

ふと思い立って、久し振りにスイング・ジャズが聴きたくなった。と言っても、1958年11月、ハードバップ時代のど真ん中に録音された、スイング・ジャズを振り返ったハードバップ・ジャズである。

Benny Carter(ベニー・カーター)の『Swingin' The '20s』(写真左)である。ベニー・カーターは、スイング時代に大活躍した、米国NY生まれのアルト・サックス、クラリネット、トランペット、トロンボーン、そしてピアノと多くの楽器を演奏するマルチ・プレイヤー兼、作曲家兼、バンドリーダーである。

そのベニー・カーターが、1920年代のスイング・ジャズ時代の名曲を、1958年というハードバップ全盛期に再演したアルバムが、この『Swingin' The '20s』。ちなみにパーソネルは、Benny Carter (as,tp), Earl Hines (p), Leroy Vinnegar (b), Shelly Manne (ds)。なかなか豪華なメンバーである。

ベニー・カーターとアール・ハインズがスイング時代を駆け抜けたベテラン、そして、ベースのリロイ・ビネガーとドラムのシェリー・マンはハードバップど真ん中な人。このなかなか考えた人選で、スイング・ジャズ時代の名曲を、ハードバップの流儀に乗りながら、スイング・ジャズの雰囲気をそこはかとなく漂わせる、これまたなかなか「粋な」ジャズを聴かせてくれる。

演奏される「音」そのものは新しい。1958年の「ハードバップな音」である。しかし、演奏される雰囲気はスイング・ジャズ。このアルバムの良さはそこにある。古くない、溌剌とした「覇気」が感じられる、結構尖ったスイング・ジャズの演奏集である。

Swingin_the20

ベニー・カーターはアルトもペットもガンガンに吹きまくっていて、ちょっと五月蠅いくらい。もう少し優しく、もう少し緩く演奏して欲しい、なんて思うんだが、このガンガンに吹くカーターが、このアルバムの「溌剌さ」を現出しているので、あんまり文句も言えない。

併せて、ピアノのハインズも結構ガンガンに弾きまくっている。これはこれで、やっぱり、もう少し優しく、もう少し緩く演奏して欲しい、なんて思うんだが、思いっきり吹くカーターに対抗するには、ガンガン弾きまくるしかない訳で、これはこれで、あんまり文句も言えない。

そんな、ガンガンに吹いたり弾いたりする、スイング時代を駆け抜けたベテランのバックで、ベースのリロイ・ビネガーとドラムのシェリー・マンは、実に趣味の良い、実に小洒落たバッキングを展開してみせる。さすが、西海岸ハードバップの中核ジャズメンの二人である。

1958年の最新の「ハードバップな音」を駆使して、1920年代のスイング・ジャズをバッキングする。このハードバップとスイング・ジャズの融合がこのアルバム『Swingin' The '20s』の良いところ。
 
確かに、ベニー・カーターのアルトとペットは、ちょっと五月蠅いですが、カーターのソロのそこかしこに漂うスイングの香りは捨てがたい魅力があります。

たまには、スイング・ジャズも良いなあ。リラックスできて心地良し。

 
 

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2012年1月12日 (木曜日)

パット&メイズの決定的名演

我が千葉県北西部地方は昨晩から寒いこと寒いこと。夕方には雪がちらつくわ、にわか雨がどわっと降るわ、それから北風が吹き始めて、夜中には「ゴーゴー」と音を立てて吹く始末。今朝は冷えたのなんのって・・・・。

これだけ寒くなると、なぜかパット・メセニーが聴きたくなる。ライル・メイズのキーボードとパット・メセニーのギターが聴きたくなる。ファンキーやアーシーという雰囲気とは全く対極にある、牧歌的でフォーキーな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音世界。これがまた「冬の厳しい寒さ」に合うんやなあ。

ということで、CD棚を眺めていたら、そう言えば、このアルバムについて、ブログで語ったことが無かったことに気が付いた。Pat Metheny & with Lyle Mays『As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls』(写真)である。1980年9月の録音。1981年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Lyle Mays (p,syn,org), Pat Metheny (g), Nana Vasconcelos (per,ds,vo)。

冒頭のタイトル曲は、20分を超える大作。ベトナム反戦をテーマにしたと言われる、「破壊〜再生」をテーマに様々なモチーフが次々と現れる。パットとメイズが、ジャズ・フォーマットの上で織りなす「アンビエント・ミュージック」。Nanaの多彩なパーカッションとボイスが素晴らしい。ジャジーなリズム&ビートの効いた「アンビエント・ミュージック」。

2曲目の「Ozark」では、ライル・メイズのアコピのソロが乱舞する。メイズのアコピのソロ・フレーズは独特。メイズのアコピのソロが、フォーキーでクリーンな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音風景を現出する。そのメイズのアコピにパットのフォーキーで煌めく様なギターが絡む。パット&メイズの独特の音世界がブワッ〜と広がる。
 

As_fall_wichita

 
3曲目の「September Fifteenth」は、ピアノ・トリオの祖、1980年9月15日に逝去したビル・エバンスへの鎮魂歌。限りなくフリーで幽玄な「アンビエント・ジャズ」の世界。間の活かし方、幽玄な音の響き。ビル・エバンスへのオマージュ。

そして、4曲目「It's for You」は絶品。牧歌的でフォーキーな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音風景は、パット&メイズならではの音世界。この「It's for You」は、パット&メイズの決定的名演のひとつとして良いだろう。

素晴らしい出来である。途中、挿入されるメイズのオルガンの音には、レトロな想い出に浸って胸が締め付けられるような郷愁を感じ、飛翔するように疾走するように弾き上げられるパットのギターの音には、限りない爽快感を感じる。

ラストの「Estupenda Graca」は、Nanaのボーカルが印象的。後のパット・メセニー・グループで表現される、ボーカルを活かした「ワールド・ミュージック的なアプローチ」とアメリカン・アフリカンの音の原風景の様な「アフリカン・ネイティブな音のイメージ」、双方の萌芽を聴くことが出来る。賛美歌の様な、ゴスペルの様な響きは敬虔ですらある。

パットとメイズ、異常なまでに呼吸が合い、ユニゾン&ハーモニーは完璧。そして、何より二人とも表現する音世界が同じ。牧歌的でフォーキーな、自然の原風景が目の前に広がる様な、爽やかに雄大に広がる音世界。この音世界こそが、パットとメイズの個性である。

このアルバムを聴けば、何故、パットとメイズは、パット・メセニー・グループとして、長年に渡って共演し続けているかが良く判る。

 
 

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2012年1月11日 (水曜日)

弾きまくる「泣きのギター」

あの伝説のフュージョン・バンド「Stuff」が好きなフュージョン者の方であれば、この辺の「Stuff」のメンバーのソロアルバムに触手を伸ばしていた筈である。いや、手を伸ばしていなければ、「Stuff」マニアでは無い(笑)。

泣きのギター「エリック・ゲイル(Eric Gale)」。この人のギターは、ファンキーでメロウ、ブルージーで「むせび泣く」ように音が伸びる「泣きのギター」が個性。エリック・ゲイルのソロアルバムは、この「泣きのギター」と「ポップなソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」の両方が楽しめる。

1976年の作品『Ginseng Woman』(写真)。エリック・ゲイルのセカンド・アルバムになる(ファースト・アルバムは『Forecast』: 2010年7月11日のブログ参照・左をクリック)。CTI時代から頻繁にエリック・ゲイルを起用してきたBob James(ボブ・ジェームス)がプロデュース・編曲・キーボード担当と八面六臂のバックアップ。

やけど、これはあかんやろう(笑)。冒頭の「Ginseng Woman」の前奏のアレンジから、ボブ・ジェームス編曲が「もろ判り」の、思いっきり「ボブ・ジェームズ節」が炸裂した、どう聴いても「ボブ・ジェームスがリーダー」の演奏(笑)。当のゲイルも、ボブ・ジェームスのリーダー作で客演した時の同じ雰囲気で「泣きのギター」を紡ぎ上げている(笑)。

ブラスやストリングスの音の重ね方、ボブ・ジェームスの手癖のように良く出てくる「お決まりのフレーズ」、伴奏の入り方、入れ方、どれをとっても、どれを聴いても、どこから聴いても「ボブ・ジェームス」である。ちょっと、この『Ginseng Woman』は、ボブ・ジェームスの色が出過ぎていると言えば、出過ぎている。

確かに、この『Ginseng Woman』というアルバム、ボブ・ジェームスの音が色濃く反映されていて、エリック・ゲイルのみならず、ボブ・ジェームスのファンの方々にもお勧めな内容なんですね、これが(笑)。でも、2曲目以降、確かに、ボブ・ジェームスの色は相変わらず濃いですが、エリック・ゲイルの「泣きのギター」も存分に楽しめる演奏がズラリと並んでいます。ご安心を(笑)。 
 
Ginseng_woman
 
2曲目の「Red Ground」なんぞは、実に良い雰囲気。明るい爽快感溢れる海を連想させる、ゆったりとしたカリビアンな演奏は、実に良い。リラックス感満載のトロピカル・ミュージックとでも表現したら良いでしょうか。この曲でも、ボブ・ジェームスのアレンジが光ります。

3曲目の「Sara Smile」は、ホール&オーツの名曲のカバー。そこはかとなく、レゲエ感覚のリズムを巧く取り入れたこの演奏もなかなかの好演。女性コーラスの入り方も、なかなか「アーバン」かつ、ブルージーな雰囲気で、ゲイルの「泣きのギター」が映える。このトラックは、ボブ・ジェームス臭さも希薄で、ゲイル色満開と言ったところか。

4曲目の「De Rabbit」以降、5曲目「She Is My Lady」、ラストの6曲目「East End, West End」まで、エリック・ゲイルが弾きまくる。「泣きのギター」満載のトラックが3曲連続、エリック・ゲイルの「泣きのギター」が心ゆくまで堪能できる。

それもそのはず、Steve Gadd(ds)〜Richard Tee(key)をフィーチャーしており、これってもう「Stuff」です。その「Stuff」の演奏に、独特のリズム&ビートと派手なブラスの効いた、ボブ・ジェームスのアレンジを組み合わせた、これはもう「無敵」の演奏です(笑)。

特に、5曲目のバラード「She Is My Lady」は絶品。リチャード・ティー独特の個性的なストロークの効いたアコピのバッキング。これって、「Stuff」のバラード・ナンバーのアプローチを想起させますね。そして、官能的で素晴らしいソロを聴かせているHank Crawfordの「泣きのアルト」が実に良い。ゲイルの「泣きのギター」と相まって、「泣きの相乗効果」抜群のジャジーなバラードです。

ボブ・ジェームス色が強かったり、ゲイルが所属していた伝説のフュージョン・バンド「Stuff」の色が強かったり、ゲイルのソロアルバムとしての、ゲイルならではの音作りを感じることは出来ませんが、ゲイルの好きなアレンジやリズム・セクションに乗って、弾きまくる「泣きのギター」は結構圧巻で、結構聴き物です。フュージョン・ジャズの佳作として、気軽に楽しめる一枚です。
 
 
 

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2012年1月10日 (火曜日)

「赤ペト」の想い出

「赤ペト」とは、ジャズ・ピアノのミューズ、ミシェル・ペトルチアーニ(以降、ペトと呼ぶ)の18歳のときの公式デビュー盤。その名もズバリ『Michel Petrucciani』(写真左)。

ジャケット写真を見て頂くとお判りの通り、あざやかな赤が基調の、ペトの顔のアップがドーンとど真ん中。このジャケットのイメージから、このアルバムは「赤ペト」と呼ばれている。1981年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Michel Petrucciani (p), J.F. Jenny Clark (b), Aldo Romano (ds)。

確か、銀座の山野楽器で聴いたのが最初かと思う。冒頭の「Hommage A Enelram Atsenig」。速い演奏でも、上手く「間」を活かした展開。ビル・エバンスの流儀の踏襲。確かなテクニック。加えて、アフリカン・アメリカンのルーツ的個性であるファンキーな雰囲気、アーシーな雰囲気は基本的に希薄。
 
これはアフリカン・アメリカンのピアニストでは無い。実にヨーロピアンなピアニスト的雰囲気でありながら、そこはかとなくジャジー。初めて聴いた時は、チック・コリアかと思った。
 

Michel_petrucciani

 
が、少し聴き進めると、チックよりもタッチが強くて太い。電光石火の力強さでは無く、重量級の太いタッチ。そして、チックの場合、アブストラクトにフリーキーにインプロビゼーションが展開する傾向があるんだが、それが全く無い。不協和音を敢えて避けている様に、クラシック音楽の様に端正で整然としたインプロビゼーション。

2曲目のスタンダード曲「Days Of Wine And Roses」の優しくロマンティシズム溢れるフレーズ。しかし、その優しいフレーズを紡ぐタッチも強くて太い。しかも、チックにありがちな「スパニッシュ・フレーズ」の手癖が全く無い(笑)。

じゃあ、このピアノは誰なんだ。ということで、ジャズ・コーナーのカウンターに走って、このアルバムを手にとって、初めて知った名前がミシェル・ペトルチアーニ。名前からフランス人だと想像した。フランス人がこんなに端正で整然としたジャズ・ピアノを弾くんや、と妙に感心した。

この公式デビュー盤『Michel Petrucciani』、いわゆる「赤ペト」には、ペトの個性の全てが詰め込まれている。ペトの紡ぎ出す色彩豊かなフレーズは実に魅力的であり個性的。強くて太いタッチで紡ぎ出すダンディーなロマンティシズムも魅力。

ペトを感じ、ペトを理解するには、まず、この「赤ペト」から入ることをお勧めする。

 
 

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2012年1月 9日 (月曜日)

Tower of Powerの真骨頂

Tower of Powerは、70年代初頭のオークランドをベースにしたさまざまなバンドで構成された、ロック・ホーン・バンド、若しくはR&Bのバンド。僕は、このTower of Powerというバンドが大好きだった。というか、今も好きである。

Tower of Powerって本当に良い。ブラス・ロック+R&B+クロスオーバー=Tower of Power。Tower of Powerって、その音楽性が楽しい。 ファンキー、ブラス、ソウル、ジャズ、ロック、それぞれの音楽の要素がごった煮になった個性は唯一無二。Tower of Powerならではのものである。

そんなTower of Powerをとことん感じることが出来るアルバムが、1973年発表の彼らのサード・アルバムである『Tower of Power』(写真左)。自らのバンド名をシンプルにタイトルにあしらったアルバムであるが故に、Tower of Powerの個性が全開のR&B+ブラスバンドの秀作である。

一糸乱れぬ高度な演奏テクニックを誇るホーンセクションとR&B風なコーラス、音数が多くタイトで超絶技巧なリズムセクション。基本はファンクネス。とことんファンキーなリズム&ビートが最大の魅力。
 

Tower_of_power

 
この「どファンク」っぽさを聴けば、R&Bが基調と思いきや、ロック寄りのアプローチやゴスペルチックなハーモニーも入って、ファンキー、ブラス、ソウル、ジャズ、ロック、それぞれの音楽の要素がごった煮になっているところがTower of Powerの真骨頂。

「どファンク」で楽しい楽曲の合間を繋ぐように配置されているバラード系の楽曲も凄く出来が良い。R&Bの良いところをパクッて、キャッチャーなフレーズを散りばめたムード満点なバラード曲。これがまた実に「良い」のだ。

この彼らのサード・アルバムである『Tower of Power』、このアルバムで彼らはその音楽性をを明確にした。ブルースからファンクへの転身。ブラスアレンジの確立。音数が多くタイトで超絶技巧なリズム&ビート。後のAORの到来を予知した様な、甘めのR&Bばりのボーカル。「これぞTower of Power」的な音がぎっしりと詰まっていて、聴いていてとても楽しい。

日本ではジャンル不詳のバンドとして、レコード屋では、ある時は「R&B」、ある時は「ソウル」、ある時は「ロック」、ある時は「ブラコン」、ある時は「ジャズ」と、Tower of Powerは様々な音楽ジャンルにたらい回しにされた不幸なバンドではあるが、この個性的なファンクネスは癖になる。

 
 

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2012年1月 8日 (日曜日)

ジャズロックからEW&Fを聴く

もともと、高校時代から米国ルーツ・ミュージックが好きだった。カントリー&ウエスタン(C&W)、ゴスペル、リズム&ブルース(R&B)、ジャズ、どれも大好きで、NHK-FMの番組をピックアップしては良く聴いた。

そんな米国ルーツ・ミュージックのお気に入りのジャンル、R&B系の特集番組で流れてきたライブ演奏があった。強烈なファンクネス、官能的なファルセット・ボイス、強烈なカッティングで迫るギター・リフ、ブラスセクションの熱気溢れるユニゾン&ハーモニー、キャチャーでエネルギッシュな楽曲。

ジャズのようでもあり、R&Bのようでもあり、ロックのようでもあり、今までに全く聴いたことの音世界がそこにあった。このライブ盤に収録されている曲が、R&B系のFM番組で何曲かセレクションされ、放送されていた。丁寧にエアチェックして、ジックリと繰り返し聴いた。そのライブ盤とは、Earth Wind & Fire(以降、EW&Fと略す)の『Gratitude』(写真左)。ちなみに邦題は『灼熱の饗宴』。今改めて見てみると凄い邦題ですね〜(笑)。

EW&Fとは、1941年生まれ、1960年代にはセッション・ドラマーになり、1967年からラムゼイ・ルイスのバンドでドラムを叩いていた元ジャズマンであったモーリス・ホワイトが結成したバンド。1970年にデビュー・アルバムをリリース。当初、Warner Bros.時代はあまり売れなかったが、もっともジャズの片鱗を残しているのは、このWarner Bros.時代。その後、Columbiaへ移籍し、同時に大幅にメンバー・チェンジ、真のEW&Fサウンドが確立した。

さて、この『Gratitude』は、EW&Fの通算7枚目にあたるアルバムで1975年の作品。リリース当時は2枚組LPでしたが現在では1CDとコンパクトになっていて、連続して聴きやすくなっています。
 
1〜8曲目までが「ライブ録音」、9〜13曲目が「スタジオ録音」となっています。全編全てがライブトラックじゃあないんですね。それぞれの演 奏の熱気が凄くて、LP時代、アルバム入手したての頃は、全編全てがライブ録音だと思っていました。まあ、ライブ録音での観衆の歓声や拍手の入り方が、そ こかしこで「わざとらしく」、どこまでが本当のライブ演奏か、判りませんけどね〜(笑)。ちなみに、収録曲は以下の通り。
 
Ewf_ratitude
 
1.Africano/Power Medley
2.Yearnin' Learnin'
3.Devotion
4.Sun Goddess
5.Reasons
6.Sing A Message To You
7.Shining Star
8.New World Symphony
9.Sunshine
10.Sing A Song
11.Gratitude
12.Celebrate
13.You Can't Hide Love
 
高速なファンキー曲も黒いムード満点のバラード曲についても、グルーヴの強烈さ、演奏力の高さは特筆もの。強烈なファンクネス、官能的なファルセット・ボイス、強烈なカッティングで迫るギター・リフ、ブラスセクションの熱気溢れるユニゾン&ハーモニー、キャチャーでエネルギッシュな楽曲。今の耳で聴いても凄い。迫力満点です。

そして、この頃のEW&Fの演奏には、演奏の底に、そこはかとなく、ジャズの雰囲気が漂っているところ。1975年当時、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの要素が見え隠れするところが魅力で、特にリズム&ビートにその傾向が強い。EW&Fの諸作の中では、この『Gratitude』が一番、ジャズ・ロック的な色合いが濃い盤だと言える。

その代表的な楽曲が、冒頭の「Africano/Power」。銅鑼の音と熱狂的なMCに導かれるように、疾走感溢れ、ファンクネス溢れる、リズム楽器を前面に押し出した、強烈なドライヴ感溢れるビートが実にジャジー。冒頭のソプラノ・ソロ、途中のテナー・ソロ、ホーン・セクションの演奏の展開は、クロスオーバー・ジャズ〜フュージョン・ジャズ的な音作りと言って良いでしょう。

この『Gratitude』のサウンドは、EW&Fがディスコナンバーをシングルヒットとして連発する前の、本来のEW&Fの特色を色濃く出した、そこはかとなくジャズの雰囲気漂う「ジャズ・ロック」的なサウンドが特徴の優秀盤です。ディスコ調のナンバーを期待すると、ちょっと肩すかしを食うかも・・・。

しかし、ファンクネスを前面に押し出した「ジャズ・ロック」的なサウンドを期待する向きには、決して期待を裏切ることはありません。強烈なファンクネス、官能的なファルセット・ボイス、強烈なカッティングで迫るギター・リフ、ブラスセクションの熱気溢れるユニゾン&ハーモニー、キャチャーでエネルギッシュな楽曲。とにかく、強烈です。

 
 

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2012年1月 7日 (土曜日)

MJQの「スタイル確立の名盤」

MJQ(The Modern Jazz Quartet)のジャズは、アーティスティックなジャズである。ジャズと言えば、ファンキーでブルージーな雰囲気が濃く漂う大衆音楽という解釈が強い。簡単に言ってしまうと、良い意味で「俗っぽい」音楽である。
 
しかし、僕が思うに、MJQは、この「俗っぽい」大衆音楽であるジャズをアーティスティックな音楽にしようと考えたのではないか。「ジャズの社会的地位の向上」大作戦である。

クラシック音楽の弦楽四重奏曲的な要素をジャズの世界に持ち込んだというか、宮廷音楽=サロンミュージックというか、欧州趣味というか、バロック好きというか、室内楽的な典雅な音作り。クラシックの作曲手法も取り込み、ジャズをアーティスティックな音楽として昇華させている。

そんなMJQがそのスタイルを確立したアルバムが『Concorde(コンコルド)』(写真左)。1955年7月の録音。ちなみにパーソネルは黄金のカルテット、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds) の4人。
 
冒頭の「Ralph's New Blues」から、ブルースと銘打たれている曲ですが、どうしてどうして、室内楽的な典雅な音作りが全開。実にアーティスティックな雰囲気が色濃く漂います。緻密でクールなブルース。MJQの魅力がこの1曲目の演奏に凝縮されています。
 
2曲目「All Of You」では、ドラムを担当するのは、なぜコニー・ケイなのか、そして、ベースを担当するのは、なぜパーシー・ヒースなのかが良く判る演奏。
 
Mjq_concorde
 
ドラムのケイ、ベースのヒースは、MJQの室内楽的な典雅な音作りにピッタリの繊細かつ緻密なリズム・セクションです。とにかくテクニックが並外れている。そして、十分に練習も積んでいることが良く判る、繊細で超絶技巧なリズム・セクションです。

そして、このアルバム『Concorde』を更に有名にしている曲が、5曲目の「Softly, As In A Morning Sunrise」。邦題が「朝日のようにさわやかに」ですね。この「朝日のようにさわやかに」の決定的名演がこの『Concorde』に収録されています。

この「朝日のようにさわやかに」の、ちょっと哀愁を帯びた、クールで転がるような旋律に、ヴァイブの音がバッチリ合うんですね。そして、ファンキーでブルージーなジャズ本来の音より、このMJQの室内楽的な典雅な音にアレンジされた方が、曲の持つ本来の雰囲気がより効果的に引き出される。この名スタンダード曲がMJQの十八番となった理由が良く判ります。

「Softly, As In A Morning Sunrise」はMJQのライブ盤では必ずといって良いほど、収録されています。そんなMJQの室内楽的な典雅な音作りを惹き立たせる為に作られた、MJQの為のオリジナル曲の様に良く出来ています。

それぞれの曲のアレンジも完成度が高く、MJQの音作りを十分に感じることの出来る良いアルバムです。MJQ入門盤として、昨日ご紹介した『Django』と併せて、この『Cncorde』は必須アイテムです。
  
ジャケットのデザインは、さすがプレスティッジ・レーベルという感じで、かなり「イマイチ」なんですが、これにはちょっと目を瞑りましょう(笑)。

 
 

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2012年1月 6日 (金曜日)

MJQの音は寒い冬に良く似合う

Modern Jazz Quartet(以降「MJQ」と略す) って、改めて聴き直してみると、本当に良いなあ。

寒い冬の朝にはMJQの音が良く似合う。冬に聴くMJQ。ミルトのヴァイブは透明感抜群。ルイスのピアノも凛として良し。ヒースのベースはその野太さに少しの温もりを感じさせ、コニー・ケイのドラミングは切れ味良く潔い。

今日は久し振りに、MJQの『Django』(写真左)を聴く。ドラムがケニー・クラークからコニー・ケイに代わった後のMJQのフルアルバムになる。1953年6月、1954年12月、1955年1月の3つの録音に分かれる。もう一度、パーソネルをおさらいすると、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)の4人。

この『Django』、とにかく傑作である。MJQの追求する音楽性がほぼ固まった感のある内容。まだ、ちょっと「とっちらかった」感も無きにしも非ずだが、MJQが求める「室内楽」的な典雅な音作りが見事に表現されている。クラシックの作曲手法も取り込み、ジャズをアーティスティックな音楽として昇華させる、そんなMJQのメンバーの心意気が十分に感じられる。

MJQのジャズは、アーティスティックなジャズである。ジャズと言えば、ファンキーでブルージーな雰囲気が濃く漂う大衆音楽という解釈が強い。簡単に言ってしまうと「俗っぽい」音楽である。しかし、MJQはこの「俗っぽい」音楽であるジャズを、アーティスティックな音楽にしようと考えた節が、この『Django』というアルバムのあちらこちらに見え隠れする。
 
Mjq_django
 
欧州趣味というか、バロック好きというか、クラシック音楽の弦楽四重奏曲的な要素をジャズの世界に持ち込んだというか、そんなアーティスティックな雰囲気が、収録された曲のそこかしこに感じる事が出来る。ファンキーな雰囲気や煙草と汗の臭いがするジャズの俗っぽい熱気は極力抑えられている(全く感じないということでは無い)。

とにかく、メンバー4人の演奏の力量が並外れている。しかも、かなり練習を積んでいるということがとても良く判る。息もピッタリ、個々のソロも抜群のテクニックを駆使して、結構難しいフレーズやリズムを難なくこなす。MJQと言えば、「室内楽」的な典雅な音作りばかりがクローズアップされるが、メンバーそれぞれの演奏家として力量たるや、それはそれは素晴らしいものがある。

MJQの、ジャズをアーティスティックな音楽として昇華させる試みは、ジャズを芸術としての音楽ジャンルにステップアップさせた。クラシックの殿堂、カーネギー・ホールでの単独コンサートは伝説である。ある意味、音楽芸術としての、ジャズの地位の向上に貢献したと言える。

僕は、このMJQがジャズ者になって、最初のお気に入りだった。このアーティステックなジャズは、聴き易く、その響きがとても美しく感じられた。このMJQの『Django』は、当時、本当に良く聴いた。ジャズ者初心者にとって入り易くて聴き易い、大のお勧め盤、大のお勧めグループです。

MJQの音は寒い冬に良く似合う。本当に冬に良く聴いたよな〜。

 
 

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2012年1月 5日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・32

今年最初の「ジャズ喫茶で流したい」シリーズ。今回は第32回目。今回ご紹介するアルバムについては、このシリーズで採り上げて良いものかどうか、ちょっと迷った。

というのも、かなりの数のジャズ評論家の方々が、そして、かなりの数のジャズ喫茶のマスターが、ジャズ本でジャズ雑誌で、このアルバムを「隠れ名盤」として挙げ、このアルバムを褒め讃える。これだけ皆が「隠れ名盤」として挙げるんなら、このアルバムって「隠れ名盤」とちゃうやん、と悪態をつきたくなる。

皆が「隠れ名盤」なんていうから、後から後からジャズ評論家の方々が、ジャズ喫茶のマスターが、あまり深く考えずに右にならえをしているだけやないんか〜、このアルバムってほんまに「隠れ名盤」なんか〜、と意地悪に思って、たまにCDプレーヤーのトレイに載せるんだが、いや〜、これがまあ、ええんですな〜。

そのアルバムとは、Charlie Rouse(チャーリー・ラウズ)の『Yeah!』(写真左)。1961年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Rouse (ts), Billy Gardner (p), Peck Morrison (b), Dave Bailey (ds)。

チャーリー・ラウズと言えば、セロニアス・モンクの恋人みたいなテナー奏者で、長年セロニアス・モンクの下で、テナーを担当した。モンクの陰にラウズあり、ラウズの前にモンクあり、てな感じで、モンクのリーダー作には必ずといって良いほど、名前を連ねている。が、チャーリー・ラウズ自身のリーダー作で有名どころというのはあまり数が多くない。

しかも、この『Yeah!』のパーソネルを見渡すと、ラウズ以外、全く知らない面子ばかり。この『Yeah!』って、パーソネルだけを見ると、絶対に触手が伸びない。ラウズのリーダー作、しかもワン・ホーン作なので、思い切って手に入れてしまうか〜、というところか。
 
Rouse_yeah
 
でも、このアルバム、素晴らしい内容のアルバムなんですよね。選曲もスタンダード曲中心で親しみ易く、スローなバラードからミッド・テンポの曲での、ラウズの余裕あるテナーが凄く良い雰囲気。唯一アップテンポの「Rouse's Point」でのラウズの覇気溢れる熱いブロウも魅力的。とにかく、このアルバム、ラウズのテナーが実に良い雰囲気で鳴っているんですね。ラウズのテナーをとことん愛でることの出来るアルバムと言えます。

バックのリズム・セクションもほとんど無名に近い面子なんだが、これがまあ、良い仕事しているんです。特に、ペック・モリソンのベースが良い音を出している。ブンブン、ゴリゴリッと、ウッド・ベースらしい、野太い弾けるような音が実に心地良い。

ドラムのデイブ・ベイリーは淡々と黙々とリズム・キープにのみ徹していて、ちょっと面白みに欠けるが堅実と言えば堅実。そして、意外なのは、ビリー・ガードナーのピアノが伴奏にソロになかなかに健闘していて、良い雰囲気を醸し出しているところ。ラウズのテナーに対するバッキングはなかなかのセンスです。

なるほど、かなりの数のジャズ評論家の方々が、そして、かなりの数のジャズ喫茶のマスターが、ジャズ本でジャズ雑誌で、このアルバムを「隠れ名盤」として挙げ、このアルバムを褒め称えるはずですね。実に良い内容の、絵に描いた様なハードバップ演奏、ジャズ・テナーのワン・ホーン・カルテットの推薦盤です。

でもなあ、かなりの数のジャズ評論家の方々が、そして、かなりの数のジャズ喫茶のマスターが、ジャズ本でジャズ雑誌で、このアルバムを「隠れ名盤」として挙げ、このアルバムを褒め讃えてんねんな。だから「隠れ名盤」やないんやけどな〜。でも、時々、「ジャズ喫茶で流したい」アルバムではあります。

ジャケット・デザインもエピック・レーベルとしては珍しく良い。このアルバムはジャケット・デザインとしても、演奏のリアルな音を楽しむとしても、LPで手に入れ、LPで聴き込みたいアルバムですね。

 
 

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2012年1月 4日 (水曜日)

超有名曲に惑わされずに・・・

ジャズ・ミュージシャンのリーダー作には、後に巷で有名になってしまった収録曲がクローズアップされ過ぎて、そのアルバムの本質とは全く外れたところに評価が定着してしまった「不幸なアルバム」が結構ある。

最近、聴いたアルバムでは、Mal Waldronの『Left Alone』(写真左)がそんな、ちょっと「不幸なアルバム」に当たる。冒頭に収録されている、タイトル曲「Left Alone」があまりにクローズアップされ過ぎて、このMal Waldronの『Left Alone』というアルバムは、タイトル曲「Left Alone」さえ聴けばそれでOKみたいな評論が多々あって閉口する。

そして、その的外れは評論は、このタイトル曲「Left Alone」という悲しみのバラードにおける、ジャキー・マクリーンが綿々と吹き綴る「泣きのアルト」を湛えるものばかり。ビリー・ホリディが晩年に好んで歌ったと言われる悲しみのバラード「Left Alone」をマクリーンが印象的な泣きのアルトで歌い上げる。その一点のみを褒め称え、このアルバムは名盤であると言い切る。

困ったもんやなあ。この『Left Alone』というアルバム、元を正せば、マル・ウォルドロンのリーダー作なんですけどねえ。

しかし、この『Left Alone』は、マル・ウォルドロンの代表作としても良い内容の演奏が詰まっているのでご安心を。と言っても、冒頭のタイトル曲以外の2曲目以降の演奏に、マル・ウォルドロンの代表的演奏が詰まっている。
 
Mal_left_alone
  
この『Left Alone』、1959年2月の録音になる。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Julian Euell (b), Al Dreares (ds)。マル以外のベース、ドラムはほぼ無名だと思う(僕は知らない)。1曲目の「Left Alone」のみJackie McLean (as)が加入。ベツレヘム・レーベルに録音された異色盤ではある。
 
ブルージーでミッドテンポな、2曲目「Cat Walk」の前奏部分のゴツゴツ感豊かで、ちょっとアブストラクトなピアノは、マルのピアノの特徴が溢れている。3曲目の有名なバラード曲「You Don't Know What Love Is」ですら、マルのゴツゴツ感豊かなピアノのフレーズで、パキパキ硬質な黒さが演奏の底に漂います。4曲目以降「Minor Pulsation」からラストの「Airegin」などは、お得意の速いテンポの曲で、マルの硬質なタッチのピアノが縦横無尽に展開されています。

マル・ウォルドロンのタッチは硬質で端正。しかし、硬質なタッチの底に、もやっとした黒いブルージーな雰囲気が横たわっている。そして、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。この「黒い情感と適度なラフさ」がマルの特徴。

クローズアップされ過ぎて、後に巷で有名になってしまった冒頭のタイトル曲以外の2曲目以降の演奏に、マルの特徴的なピアノがぎっしりと詰まっている。この『Left Alone』の2曲目以降にマルのピアノの真骨頂がある。マルのピアノを感じ、マルのピアノを愛でるのであれば、この『Left Alone』の2曲目以降を聴け、である。
 
余談にはなるが、CDでのラストトラックである「The Way He Remembers Billy Holiday」は、マルのインタビューでの談話である。これは蛇足だろう。
 
 
 

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2012年1月 3日 (火曜日)

久し振りの「自分へのお年玉」

昨年はさんざんな年だったこともあって、この年末年始には久し振りに「自分へのお年玉」を張り込んで、心をポジティブにしようと思い立った。

12月半ば、音楽雑誌を読んでいて「ええっ〜」と思ったのが、Queenの「USBボックス」の発売に関する記事。正式名称は「クイーン・オーブ 〜 コンプリート・スタジオ・アルバムズ(USBエディション)」(写真)。金色の球体の金属ケースの上に取っ手のように着いている「クイーンの紋章」部分がUSBメモリーになっている限定発売もの。

「バンド結成40周年記念イヤーを飾る、究極のコレクターズ・アイテム!スタジオ・アルバム全15枚他をUSBに収録!現行CDのスペックを上回る、WAVフォーマット(24bit 48kHz)音源も収録」

とあるではないか。どうして、こんな大事な情報を落としたのか、と思いを巡らしたら、そうか、昨年の11月は大量下血で緊急入院して1ヶ月休んだ出来事のせいで、音楽系の情報が全く途絶えたのが原因と思い立った。しまった、と思ったが後の祭り。どのオンラインショップを探してみても在庫が無い。一度は完全に諦めた。

USBボックスのハイレゾの音については、ビートルズのUSBボックスで体験済み。その音の素晴らしさには完全に参った。CDでは聴けない音の広がりと分離の良さがある。ダイナミックレンジと音の分解能が一段から二段上がったとでも表現したら良いのか。僕の持っているちょっとチープなD/Aコンバータでも、その音の違いは歴然とある。このハイレゾな音がクイーンのアルバムでも体験できるのだ。そりゃ〜借金してでも買いでしょう。

あ〜あ、失敗したなあ、と思っていたら、ある日、突然、とあるオンラインショップのサイトに在庫が出た。しかも、日本版である(日本坂はUS版より安い)。ほんまかいな、と思って色々と調べたが、どうも本当らしい。半信半疑で発注したら、3日で手元に来た。あ〜、なんて俺はついているんだ、と思った。その時点では・・・。

僕はMacユーザーである。家のデジタル音楽環境もパソコンの環境も全てMacである。今回のクイーンのUSBボックスのハイレゾフォーマットは「WAV形式」。もともとWINDOWS環境の音楽ファイル形式ではあるが、USBボックスのメーカーの解説には、「WAVフォーマットはiTunesで再生可能です」とあるので安心して購入した。

が、どうやっても再生出来ない。iTunesに取り込めないどころか、USBメモリからMacのハードディスクにコピー出来ない。正確に言うと、一部数曲は出来たりするが、大多数の楽曲ファイルがMac環境に取り込めない。ユニバーサル・ミュージックのホームページにリンクされている英語のホームページの解説通りにやっても取り込めない。
 
Queen_orb
 
これには困った。数万円払って購入した代物なのに、しかも、WAV形式のハイレゾ音楽ファイルの再生に大きな意味があるので、他に梱包されているmp3のファイルを再生しても意味が無い。
 
ネットで解決策を必死で検索した。すると、WINDOWS環境だとハードディスクにコピー出来て、このコピーしたファイルをMac環境に持って行くと、iTunesなど、Mac環境での取り扱いが可能になるとのこと。はぁ〜?WINDOWS環境やと〜。僕はMacユーザーである。WINDOWSの環境なんてあるはずが無い。

まあ、他のPCユーザーとのファイルのやり取りや文書ファイルの内容確認、はたまた、ホームページの運営上、WINDOWS環境での確認をしたかったり、WINDOWS環境でしか出来ない音楽ファイルのダウンロードなどがある関係上、確かに、チープなもので良いので、WINDOWS環境は欲しいなあ、とは思っていた。

で、ダメ元で嫁はんに確認したら「安いものであれば」というお許しがでたので、数万円程度で調達できる必要最低限のWINDOWS環境を今回入手しました。まあ、他にも使用目的があるものなんで、良いタイミングだったということにしておきましょう。

さて、ネットでの情報通り、WINDOWS環境だとハードディスクにコピー出来て、このコピーしたファイルをMac環境に持って行くと、iTunesなど、Mac環境での取り扱いが可能になりました。そして、早速試聴してみましたが、これがまあ、凄い音です。ファーストアルバムの『戦慄の王女』を聴いたんですが、音の輪郭がハッキリクッキリ、音の分解能が良く、エコーなど音の広がりが、最近発売された最新の日本盤CDに比べても圧倒的に広い。

クイーンの音は様々な楽器の音を重ねているので、音の広がりと分離の良さは絶対に良い方向に効くと踏んでいたのですが、これほどまでとは・・・。これから数ヶ月間はクイーンのスタジオ盤の全てを聴き直しです。

USBボックス本体含めて、安いとは言え「WINDOWSーPC」まで手に入れてしまったので、かなりの散財にはなりました。当然、CDのコレクションは最低4ヶ月はストップです。節制しなくてはなりません。でも、クイーンのアルバム盤は全部で15枚ありますから、聴き直すのに2〜3ヶ月はかかると思いますし、散財分はしっかり穴埋めしないと、単なる「放蕩行為」になってしまいます。

このUSBボックスのハイレゾなクイーンの音を聴くと、かなりのストレス解消になりますね〜。久し振りの「自分へのお年玉」でした。

 
 

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2012年1月 2日 (月曜日)

今年の「アルバム鑑賞始め」

やはり年の始めは、一番好きなジャズ・ピアニストのアルバムを聴くのが一番良い。一番好きなジャズ・ピアニストと言えば、当然、Chick Corea(チック・コリア)である。チック・コリアの他に無い。

で、どのアルバムを聴くか。最近聴いて、なかなかに感心したアルバムを選択。Chick Corea & Gary Burton『The New Crystal Silence』(写真左)。Chick Corea & Gary Burtonの、最初の大傑作デュオ『Crystal silence』のリリースから35周年の記念アルバム。CD2枚組の構成になります。

CD1が、2007年5月10日と12日、 The Sydney Opera House Consert Hallでのライブ録音。オーケストラとの共演で、新たなアレンジが施されており、なかなかに聴き応えがあります。そう言えば、このChick Corea & Gary Burtonのデュオにはオーケストラとの共演盤がありませんでしたね。

この二人のデュオの音からすると、確かにオーケストラの音との相性は良いです。往年の名曲「Love Castle」と「La Fiesta」については特に絶品。「La Fiesta」などは大迫力です。まあ、基本はジャズですから、このオーケストラとの共演は好き嫌いが分かれるとは思いますが・・・。

CD2は、2007年7月17日、ノルウェーのMolde Bjornsonhusetでのライブ録音(Senor Mouseのみ、2007月7月13日、カナリア諸島のAuditorio de Tenerifeでのライブ録音)。こちらは、完全にChick Corea & Gary Burtonとのデュオ演奏。もともと、チックのピアノの音とバートンのヴァイブの音との「響きの相性」が良く、デュオ演奏での二人の呼吸もピッタリ。35周年ということで、その「二人の呼吸」にも磨きがかかっており、素晴らしい演奏になっています。
 
New_crystal_silence
 
このCD2では、チックのピアノ、バートンのヴァイブと共に、現在でも進化し続けていることが十分に確認できます。チックのピアノは更に切れ味を増し、バートンのマレット捌きのテクニックは更なる高みに至っている。凄いですよね。惚れ惚れとします。「円熟味」なんていう安易な言葉は相応しくない、まだまだ演奏家としての技術そのものが進化しているという感じです。

CD2の収録曲も実に魅力的な選曲で、改めて並べてみると、それはもう「壮観」ですね。ちょっと以下に並べ直してみましょう。

1. Bud Powell
2. Waltz For Debby
3. Alegria
4. No Mystery
5. Senor Mouse
6. Sweet and Lovely
7. I Love You Porgy
8. La Fiesta

特に、2曲目の「Waltz For Debby」から7曲目の「I Love You Porgy」は初出に近い感覚の選曲。これが実に美しい演奏に仕上がっていて惚れ惚れ。そして、RTF時代の名曲、4曲目の「No Mystery」は絶品。そして、今までのアルバムに収録されてきた「Bud Powell」「Senor Mouse」「La Fiesta」については磨きがかかって、切れ味良く、それはもう圧巻の一言です。

素晴らしいデュオ演奏です。ジャズな演奏もここまでくると実にアーティスティック。正月早々、良い演奏を聴きました。 

 
 

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2012年1月 1日 (日曜日)

明けましておめでとう!

2012年が始まりました。明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。

ちょっと寒い元旦です。曇り空でちょっくら鬱陶しい感じの元旦の朝。でも、いくつになっても、元旦というのは、新年を迎えて、新たな気持ちになるものです。今年こそは良い年にしたいなあ、と心から思います。

今日は嫁はんの実家(栃木)に日帰りで帰ってきました。帰りの高速道路の電光掲示板に「地震発生、走行注意」の文字が浮かんでいました。高速道路の制限速度も「50キロ」に制限されていて「そんなに大きな地震があったのかなあ」とボンヤリ思っていました。

途中のサービスエリアで、地震の発生を知りました。「午後2時28分頃東北や関東地方の広い範囲で震度4を観測する地震がありました。震源は鳥島近海。深さ370キロ。マグチュード7.0と推定されています」とのこと。嫁はんは、途中、高速道路の標識が揺れているのを見ながら、普通こんなに揺れるかな、と思っていたそうです。

Hinode

家に帰ると、やっぱり、ちょっとだけ影響がありました。台所ではフライパンが落っこちていて、書庫では積み上げていた本が一部崩れ、書庫のステレオのスピーカーの台座がちょっとずれていました。ちなみに、我が千葉県北西部地方の震度は正式発表で「4」。久し振りに、ちょっとだけ大きな地震だったみたいです。

今日の地震は「年が変わっても、東日本大震災のことは忘れてはならない。まだ被災の状況は変わっていないぞ。まだまだだぞ。勝手に皆が忘れてはならない」という天からの戒めの声と感じました。そう、年は変わっても、東日本大震災から1年も経っていない。決して、忘れてはいけないし、忘れようとしてもいけない。ちょっと心が引き締まりました。

さて、今日は音楽の話は「お休み」。今日の夜はゆっくりテレビでも観ようかと思っています。元旦の夜はノンビリ、ユッタリ。昨年入院して以来、普通の生活、普通の時間の有り難さが身に沁みて判るようになりました。

普通の生活、普通の時間、そして、音楽に触れる時間、どれもが尊いものです。音楽も聴くほうから、久々に自分でも演奏する方に回ろうかな、と思い始めています。意外と残されている時間は短いですから・・・。

それでは、今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。

 
 

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