EW&Fの音楽的頂点『太陽神』
1975 年の『Gratitude』でのファンキーかつR&Bなブラス・ロックを基調としたフュージョン・ジャズに、1970年代後半のトレンドであったAORの要素を加えて、フュージョン・ジャズ寄りから、ファンキーでソフト&メロウなR&Bバンドの様相を色濃くしていったEarth Wind & Fire。
そんな「ファンキーでソフト&メロウなR&Bバンド」として、Earth Wind & Fireというバンドとして、そして、音楽的に頂点を極めたアルバムが『All 'N All(太陽神)』(写真)。1977年のリリース。全米アルバム・チャート最高3位。
トータル・アルバムとしても秀逸な内容を誇っており、コンセプト・アルバムじゃないのか、と思わせてしまうくらい、アルバム収録曲の流れが実に良い。それぞれの曲についても、曲想、演奏共に実にクリエイティブな内容。エンジニア、ジョージ・マッセンバーグの奥行き感とワイド感の双方を併せ持つ、三次元的で録音・ミックスも相まって、タイト&シャープなEW&Fの演奏が際立っている。
何と言っても、LP時代のA面を占める、「Serpentine Fire (太陽の戦士)」「Fantasy (宇宙のファンタジー)」「In the Marketplace (市のたつ広場)」「Jupiter" (銀河の覇者)」「Love's Holiday" (ラヴズ・ホリデー)」「Brazilian Rhyme (ブラジルの余韻)」の6曲の流れは無敵である(笑)。
この『All 'N All』というアルバムは、アルバムタイトルは「太陽神」、曲名も「太陽の戦士」や「銀河の覇者」など、邦題の方が印象的で、今でも記憶にしっかりと残っている。
僕は、この『All 'N All(太陽神)』というアルバムがとても好きである。最初は、ジャズのアルバムではないので、FMでバラバラに曲をエアチェックしていた。が、どうしてもオン・エアされない曲がある。遂には、ジャズのアルバムのコレクションだけでも資金的に苦しいのに、この『All 'N All(太陽神)』は身銭を切って、LPを手に入れている。それほど、このアルバムは魅力的な内容だったし、当時、大学では、ハイソなグループ中心に流行に流行っていた。
今でも、「Serpentine Fire (太陽の戦士)」の前奏を聴くと、思わず、勝手に足拍子を取り出し、ボーカルが入ることには立ち上がって、クラップ・ハンドしながら踊ってしまうくらいで、とにかく官能的でファンクな演奏が「大のお気に入り」だった。「Fantasy (宇宙のファンタジー)」は、当時の第一次ディスコブームの煽りで、街中、そこかしこに流れていたので「耳タコ」状態だったが、今の耳で聴き直して見ると、実に出来の良い曲である。演奏もかなり高度なもので、単なる流行歌で終わる曲では無い。
そして、LPのB面の1曲目「I'll Write a Song for You (聖なる愛の歌)」は素晴らしいファンキー・バラードだ。このLPのB面は、ファンキーなソフト&メロウ路線まっしぐらなR&B的な曲がズラリと並んでいて、キャッチャーで盛り上がり抜群のA面と比べると、どちらかと言えば、ファンキーに聴かせる玄人好みの曲の流れとなっている。A面はA面の良さがあり、B面はB面の良さがある。実にこの『All 'N All(太陽神)』というアルバムは、コストパフォーマンスが良い(笑)。
ちなみに、カバー・ジャケットのイラストは長岡秀星の手のよるもの。ラッセン若しくはヤマガタの様なテイストのイラストで、ピラミッド、神殿と宇宙というコンセプトで描かれている。LPジャケット・サイズでとても映えるイラストだった。ちなみに、Wikipediaの解説によると、ラメセス王の像の台座のヒエログリフの中に風林火山の文字が隠されている、とのこと。改めて、探してみるか・・・(笑)。
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