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2012年1月14日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・33

「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの第33回目。ありそうでなかなか無い、ジャズ・ピアノとジャズ・ベースのデュオをご紹介したい。

ケニー・ドリュー(Kenny Drew)のピアノは、黒くブルージーでありながら、クラシック的な優雅さを底に湛えた、端正でテクニック豊かなピアノである。底に漂うそこはかとないファンキーな雰囲気が無ければ、どちらかと言えば、欧州ジャズ系のピアニストの音である。

ニールス・ペデルセン( Niels-Henning Orsted Pedersen)のベースは驚異的なテクニックの塊。ギターの様に、歌うように、アコースティック・ベースを弾く。流れるようなフレーズ。凄いテクニックと歌心。ペデルセンのベースはピッチが合っていて気持ちが良い。ボウイングのテクニックもクラシックの演奏家のそれとひけを取らない素晴らしさである。

ドリューは1961年に渡仏、1964年にデンマークのコペンハーゲンを活動の拠点とし、盟友のベーシスト、ペデルセンと出会っている。恐らく、ジャズを芸術として愛してくれる欧州の聴衆とこのペデルセンとの出会いが、ドリューの心の中の「何か」を変えたのだろう。ニューヨーク時代の苦しさから解き放たれたかのように、端正なタッチ、明快で判り易いフレーズ、ポジティヴで典雅な演奏になって、一躍、人気ピアニストの仲間入りをした。

このドリューとペデルセンがガッチリとデュオを組んで、オリジナルからジョビンのナンバーまで心ゆくまで演奏しまくった記録が、この『DUO』(写真 左)。1972年4月2日、デンマークはコペンハーゲンでの録音。ちなみにパーソネルは、言うまでも無く、Kenny Drew (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b)。1曲だけ、Ole Molin (g) が入る。
 

Drew_pedersen_duo

 
さすがに、盟友同士のデュオである。素晴らしい演奏が繰り広げられている。ドリューの個性、ペデルセンの個性、奏法の個性の良いところが全て出尽くした、一期一会の名演がずらりと並ぶ。そう、どの演奏も素晴らしい。これ1曲っていうものは無い。全てが素晴らしい。

そんな素晴らしい演奏の中でも特に素晴らしい演奏が、10曲目の「ハッシャ・バイ」。このドリューとペデルソンとのデュオ演奏は極めて完成度が高い。至高の名演である。

特に、ここでのペデルセンの会心のパフォーマンスは凄い。ちなみに、このアルバムのレコードミキサーが興奮してボリュームを上げすぎて、音が思いっきり歪んでいる。それでも良い演奏は多少歪んでも良い。良い演奏の全てをしっかり記録して貰った方が聴き甲斐がある。

優れたジャズ・ベースはどんな演奏を言うのか、と問われれば、僕はこのアルバム『DUO』のペデルセンを聴いて貰うことにしている。音程の合っているジャズ・ベースとはどんな音なのか、そして、音程の合っているボウイング奏法とはどんな音なのか。そして、リズム&ビートとメロディの奏法を担当できるベースの演奏とはいかなるものか。このアルバムのベデルセンのベースが的確に教えてくれる。

互いにでしゃばらず、それぞれの個性を尊重し、良い意味で譲り合うような、ドリューとペデルセンの至芸がここに記録されている。ジャズのデュオという演奏フォーマットの中でも、最高峰に位置づけられる名盤である。ジャケット・デザインも落ち着いていて良い。ジャズ者の方々全てにお勧めしたい。

 
 

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