泣きのギターが炸裂しまくり
1975年のソロ・デビュー作は『Forecast』(2010年7月11日のブログ参照・左をクリック)、翌1976年の『Ginseng Woman』はセカンド・アルバム(2011年1月11日のブログ参照・左をクリック)。その『Ginseng Woman』に続く、Eric Gale(エリック・ゲイル)自身3枚目となるリーダー・アルバム『Multiplication』(写真左)。
この『Multiplication』は、ゲイルのR&B志向が存分に反映されたアルバムだろう。ファンクネスの香り芳しく、ソフト&メロウなフュージョン炸裂なゲイルの代表作の一枚。
冒頭の「Morning Glory」はソフト&メロウで、落ち着きのあるジャジーなナンバー。ちょっとトロピカルな雰囲気漂い、ゲイルの官能的なギターが乱舞する。アレンジは「丸判りのボブ・ジェームス」。どっから聴いても、ボブ・ジェームスのアレンジ。弦の使い方、ブラスの重ね方、キーボードの手癖、どれを取っても「ボブ・ジェームスのアレンジ」。
ボブ・ジェームスのアレンジ満載なので、一瞬、これって「ボブ・ジェームスのアルバム?」って思ってしまいますが大丈夫です。Grover Washington Jr.のテナーも、存在感があって凄い威力です。一瞬、これって「グローバー・ワシントンJr.のアルバム?」って思ってしまいますが大丈夫です。エリック・ゲイルのソロはふんだんに入っています。
2曲目の「Gypsy Jello」は、1970年代のフュージョン・マニアであれば外せない名曲。Stuffのメンバー、Richard Teeのアルバムに収録されたり、あの伝説のN.Y.All Starsの来日公演でも演奏されていましたね。ゲイルの泣きのギターは炸裂しまくりです。聴き応え十分。ゲイルのファンクネス芳しいジャジーなギターは絶品。
3曲目の「Sometimes I Feel Like A Motherless Child」は、トラディショナルな「黒人霊歌」。ホーンやストリングスの仰々しいアレンジも大変好ましく、ブルージーな泣きのギターには、コッテコテのデコレーショナルなアレンジが必須なのだ。
そして、4曲目の「Oh! Mary Don't You Weep」。コーラスをフィーチャーしたゴスペルな雰囲気抜群で、米国ルーツ・ミュージック好きならば、この演奏には「痺れる」こと請け合い。
アレンジが、コッテコテにファンキーで、コッテコテにゴスペルチックで格好良い。ゲイルのギターは泣きまくり、ティーのハモンド&ピアノのファンキーな響きは絶品中の絶品。まるで教会の残響を思わせるような録音と相まって、このゴスペルチックな演奏は、このアルバムのベストトラックだろう。
他の曲もどれもが良い内容です。とにかく、ギブソンのフル・アコースティック・ギターの鳴りや響きを活かしたゲイルの泣きのギターは唯一無二の個性。その抜群のタイム感覚と歌心のあるプレイは他の追従を許さない。1970年代のフュージョン・ジャズの中で、ゲイルの泣きのギターは「宝」である。
しかし、この『Multiplication』のアルバム・ジャケットは酷いなあ。どうやったら、こんなデザインが思い浮かぶのやら(笑)。
『Ginseng Woman』も酷かったが、この訳が判らない酷いジャケット二つをわざわざ併せて、新しいアルバム・ジャケットのデザインとしている『Ginseng Woman』と『Multiplication』のカップリング盤(写真右)は、酷いを通り超して凄いです(笑)。
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