ビッグバンド・ジャズは楽し・15
さて、「ビッグバンド・ジャズは楽し」シリーズの第15回目。今回は、日本のビッグバンド・ジャズの最近の新譜をピックアップ。
MALTA(マルタ・写真右)は、日本のコンテンポラリー・ジャズ系のサックス奏者。僕のマルタに対する印象は、バブル時代のデジタル・フュージョンの寵児。なんだか今でもバブリーなサックス奏者という印象があって、どうも良くない(笑)。
マルタの名誉のために言っておくと、マルタは素性正しい、正統派ジャズ・ミュージシャン、サックス奏者なのだ。1973年、東京芸術大学音楽学部器楽科卒業。同年、バークリー音楽大学に留学し、1976年(昭和51年)卒業。同校の講師を務めている(Wikipediaより)。
そして、マルタには、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターであった(約4年間)という、日本人として胸が空くような歴史がある。日本での、ジャズ・ミュージシャンとしてのデビューは1983年。
そんなマルタが、昨年7月、突如、ビッグバンド・ジャズのアルバムをリリースした。そのタイトルは『MALTA JAZZ BIG BAND~TOKYO LiVE~』(写真左)。
最初は、あのサックス奏者のマルタが、なんでビッグバンド・ジャズを、と一瞬思ったんだが、そう言えば、マルタは、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターであったことを思い出して、合点がいった次第。
一言で言うと「シンプル」なビッグバンド・ジャズである。アレンジで変に捻らず、難度の高いフレーズを駆使した小難しさも無い。アレンジは判り易く、フレーズはキャッチャーで親しみ易い。しかし、決して安易な演奏では無い。判り易く親しみ易い演奏の底に、しっかりと、プロフェッショナルなテクニックと歌心が潜んでいる。
メンバーを列挙すると、MALTA (sax,cond), 佐藤達哉 (ts,fl,cl), 近藤和彦,萱生昌樹 (as,fl,cl), 吉田治 (ts,ss,fl), つづらのあつし (bs,as), エリック宮城,岡崎好朗,中野勇介,小林太 (tp), Fred Simmons,池田雅明,Pat Hallaran (tb), 朝里勝久 (b-tb), 則竹裕之 (ds), 鳥越啓介 (b), 宮之上貴昭 (g), 三木成能 (p)。日本ジャズ界を代表する精鋭ミュージシャンを中心に構成されている。
「シンプル」なビッグバンド故に、演奏の内容が判りやすく、エンタテインメント性に優れる。シンプルが故に、ビッグバンドの「熱気」の部分が表現し易く、一体感、ドライブ感に優れ、ビッグバンド・ジャズの楽しさがダイレクトに伝わってくる。
この「シンプル」さが、もしかしたら、ビッグバンド・ファンのベテランの方々からすると、物足りないかもしれない、とも思ったりもする。逆に、ジャズ者初心者の方々にも判り易いビッグバンド・ジャズだということが言える。ジャズ者初心者の方々にはお勧めのアルバムである。
コテコテ正統派なビッグバンド・ジャズも良いが、このMALTA JAZZ BIG BANDの様な、コンテンポラリーなビッグバンド・ジャズも良い。ライブ録音としての「熱気」も聴きどころ満載。なかなか良いビッグバンド・ジャズのアルバムではないでしょうか。
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