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2011年12月13日 (火曜日)

なんとも評価に困るアルバム

評価に困る新鋭ジャズ・ピアニスト。ハクエイ・キムがその一人。トリオ・ユニットのデビュー作『トライソニーク』(写真左)を初めて聴いた時の率直な感想です。

ハクエイ・キム。韓国人の父と日韓ハーフの母のもと、京都市に生まれる。最初はロックバンドのキーボーティスト。高校卒業後、オーストラリアへ渡り、シドニー大学音楽院に入学。オーストラリアを代表する名ピアニスト、マイク・ノックに師事。2009年にピアノ・トリオ・ユニット Trisonique(トライソニーク)を、杉本智和 (b) 、大槻“KALTA”英宣 (ds) と共に結成。

その「トライソニーク」のデビューアルバム。それまでのインディーズにてリリースされた、ハクエイ・キムのリーダー作を聴いたことは無いので何とも言えないが、このトリオ・ユニットのデビュー作『トライソニーク』は、なんともはや、評価に困るアルバムに仕上がっている。

確かに日本ではピアノ・トリオがうける。それは仕方が無いとして、この『トライソニーク』は、既に売れている、既に人気の高い、ジャズ・ピアニストの「いいとこ取り」をしているように聴こえる。とにかく、ピアノ・トリオとして、ピアニストとして、ベーシストとして、ドラマーとして、本人達の個性は全く見えず、他の同業者の個性とスタイルの「ごった煮」な内容になっているように感じる。
 
上原ひろみがいるわ、山中千尋がいるわ、平林牧子がいるわ、大西順子はいるわ、ブラッド・メルドーはいるわ、キース・ジャレットはいるわ、受けの良い「個性」のごった煮。
 
Trisonique
 
そして、超絶技巧なビ・バップ・ピアノで弾きまくったかと思えば、耽美的に印象派の様な響き豊かな情緒的な演奏をしたかと思えば、アブストラクトにフリーキーなアプローチをする。挙げ句の果てには、冗談の様な、アジアン・テイストなワールド・ミュージック系のアプローチをしてみたりもする。

何をしたいのか良く判らん。加えて、リーダーのハクエイ・キムの個性が全く見えない。判るのは、ピアノのテクニックだけは素晴らしいものがあるということだけ。しかし、その高いテクニックを同業者の個性のカバーにのみ費やしているのは実に勿体ない。これって、プロデュースの責任が大きい。しかし、その傍若無人で無茶苦茶なプロデュースに従うミュージシャン側にも問題がある。

演奏する側の、ミュージシャン本人達の個性が見えず、ミュージシャン本人達が何をしたいのかが良く判らないままに、他の同業者の個性とスタイルの「ごった煮」な演奏がアルバムにズラリと並ぶ、このアルバムは聴き通していて「つまらない」。ジャズって、演奏するミュージシャンの個性とスタイルを楽しむものであって、テクニックの優秀さを愛でるものでは無い。

なぜなら、一流のジャズメンという人達は、全て優れたテクニックを既に身につけているのだから・・・。テクニックの優秀さがとりわけ評価の対象になる訳では無い。優れたテクニックとは、一流のジャズメンにとっては「当たり前」のものである。

本人達の個性が見えず、本人達が何をしたいのかが良く判らないアルバムを聴き通すのは辛い。レコード会社は凄い凄いを連呼し、職業評論家はこぞってこのアルバムを絶賛するが、僕はどうしても好きになれない。

今回はかなり「辛口の評価」になったが、この『トライソニーク』は、売らんがためのプロデュース優先の「作られたジャズ盤」という印象が強い。トリオのメンバー達は、それぞれ、もう少し、ジャズメンとしての矜持について考え直して頂きたい。
 
 
 

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Fight_3

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