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2011年12月21日 (水曜日)

今の耳で振り返ってみると...

Herbie Hancock『Future Shock』(写真左)。この盤のリリース当時は、ハービー・ハンコックがスクラッチを取り込んで、新しいコンテンポラリーなジャズを創造したと、それはまあ大騒ぎになった。。中には、エレクトリック・マイルスを越えた、なんて乱暴な評価もあった(笑)。

しかし、今の耳で振り返ってみると、どうなんだろうか。リズム&ビートは、ディスコティックなリズムとテクノ・サウンドのデジタルチックなリズムが合体したようなシンプルなもの。そこにシンセの音が乗り、スクラッチの音が彩りを添える。とにかく単純で判り易いダンサフルなノリ。

クインシー・ジョーンズになれなかったハービーが、エレ・ハービーの原点に戻り、エレクトリック・マイルスの音世界に再挑戦したような感じの音作り。ちょうど、エレクトリック・マイルスの名盤『On The Corner』のリズム&ビートを限りなく単純化して、旋律を整理して凄く判り易くした感じのアプローチ。
 
でもなあ、あまりに単純過ぎる。これだけ、リズム&ビートが単純で判り易く、メロディーもシンプルで即興性が希薄だと、この演奏はジャズとは呼び難いなあ。

しかも、この盤のリリース当時は「ハービーがスクラッチを取り込んだ」なんて驚いたり感心したりしたもんだが、今の耳で聴き直してみると、スクラッチの存在自体が、あまり効果的では無いというか、スクラッチを取り入れたが故に、新しいジャズが生み出されたのかと言えば、そうではない、と僕は思う。
 
Hh_future_shock
 
まあ、これだけ、リズム&ビートを限りなく単純化して、旋律を整理して凄く判り易くした、明るくダンサフルな楽曲が詰まったアルバムなので、米国ではバカ売れした。バカ売れしたからといって「名盤」と祭り上げることは無いだろう。このアルバムは、とにかく作りが単純なだけに、2度聴いて飽きる。

ハービー・ハンコックの先取性、実験精神には感服しますが、このスクラッチを取り込んだ『Future Shock』の音作りは、決してジャズのど真ん中を突いているのでは無く、どちらかと言えば「スクラッチ」という飛び道具を駆使した「パチモン」的響きを持つプロトタイプだと思います。

さすがに、今の耳で聴くと、かなりの「古さ」を感じてしまいます。聴き耳を立てると、どちらかと言えば「テクノ・サウンド」に近い雰囲気が見え隠れして、意外な面持ちがする。でも、これが「テクノ・サウンド」であれば、YMOの音世界の方が圧倒的に優れている。

つまりは、この『Future Shock』、ハービーが全身全霊を傾けて創作する類の音では無い、ということ。やはり、ハービーはジャズが良い。ジャズを創造するハービーこそが真の姿なんだろうなあ、と、この『Future Shock』を聴いていてつくづく思った。
 
 
 

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