今年のCDコレクションのハイライト
僕はチック・コリアが大のお気に入りである。そして、チック・コリアがスタンリー・クラークと結成した「Return To Forever」は大のお気に入りバンドである。
Return To Foreverのアルバムはほとんど所有しているが、どうしても一枚だけ入手出来ていないアルバムがあった。それは、発売当時LP4枚組、とにかく高額で手に入らない。そんな超弩級のLP4枚組ライブ盤『Live The Complete Concert』(写真左)。Return To Foreverの集大成として発表されたライブ盤です。
CDの時代になって、この『Live The Complete Concert』もリイシューされたんだが、LP4枚組がCD2枚組になっている。「あれっ?」と思った。CDの最長収録時間は、74分以上の収録時間が目安。と言うことは、CD2枚組ということは最長150分くらい。LPは両面で最長45分くらいだから、4枚組だと180分。どう考えたって、LP時代の演奏の全てがCD2枚に入らないんでは・・・。
この直感は正しくて、しっかりと調べてみたら、CD2枚組仕様では曲毎にかなり編集され、いくつかの曲がカットされている。しかし、LP時代、Side one(表面)からSide two(裏面)にまたがっていた為、「Endless Night」が曲の途中で、フェードアウト/インの処理がされている。が、このCD2枚組仕様では、この「Endless Night」がフェードアウト/インしないミックスになっている。でも、曲毎に細かい編集がなされ、演奏時間が短縮され、いくつかの曲がカットされているは問題である。これは絶対に手に入れてはいけない。
そうこうしている内に、1993年に日本限定発売で、CD3枚組仕様でリイシューされる。これは買わなきゃと思いつつ、遂に廃盤となり、買いそびれてしまった。かなり激しく後悔したんだが、CD2枚組仕様の思い出が蘇り、この日本限定のCD3枚組仕様のLP時代の再現性はどうなんだろうと調べてみたら、LPを再現するが如く、A面終わりのフェード・アウト及びB面開始のフェード・インが、ご丁寧にも忠実にCD化されている、とのこと。確かに「これぞ無意味な完全化」。この意見に激しく同意する。買いそびれてよかった、と胸をなで下ろす。
しかし、『Live The Complete Concert』が手元に無い状態は続き、なんでLP時代の収録を忠実に再現しつつ、「Endless Night」がフェードアウト/インしないミックスでリイシューされないのだろう、とイライラは募っていく。しかし、今年、遂に、そのイライラは解消された。
Return To Foreverのコロムビア作品をまとめた5枚組ボックス盤(写真右)が発売され、このボックス盤の中に、『Live The Complete Concert』がCD3枚組仕様でリイシューされたのだ。なんと今回のリイシューはLP時代の収録曲を完全収録。そして「Endless Night」がフェードアウト/インしないミックスになっている。本CDで「連続した1曲」として聴けるようになった。「これぞ真の完全化」。この意見に激しく同意する。しかも、音質が良い。 即座に、このボックス盤をゲット。
内容はもう言うまでも無い。Return To Foreverの集大成として発表されたライブ盤として、超充実した内容で、Return To Foreverの音世界を心ゆくまで堪能出来ます。ホーンセクションを導入したアコースティックな響きをもつビッグバンドをバックに、チックのムーグやアープ・オデッセイのシンセが唸りを上げ、分厚く豊かな音世界を展開します。
クラークのベースもチックのバックではなぜか絶好調。チックのバックでこそ、その実力を発揮する不思議なベーシストです。ジョー・ファレルのサックスも好調、レニー・ホワイトに代わってドラムを担当したジェリー・ブラウンも大健闘。
ライブが行われた1977年当時は、メインストリーム・ジャズ復古の兆しが見え始めた頃で、このライブでも、何曲かメンストリーム・ジャズ的な演奏アプローチをしており、4ビートな純ジャズ的な演奏もあって、いやはや、流行に敏感なチックの面目躍如ですね(笑)。しかも、そのメインストリーム・ジャズ的な演奏の出来がなかなかのものなんで、これまたチックらしい(笑)。
目出度く、やっとのことで、『Live The Complete Concert』のCDリイシュー盤を入手した。今年のCDコレクションのハイライト的な出来事の筆頭だろう。とにかく嬉しい。
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