マッコイのフュージョン・ジャズ
久し振りに、McCoy Tyner (マッコイ・タイナー) である。今日は『Fly with the wind』(写真)。1976年リリースの好盤。主要なパーソネルは、McCoy Tyner (p), Hubert Laws (fl), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds)。その他、ストリングス中心に15名位が共演。
この『Fly with the wind』は、ジャズ者初心者の頃、学生時代、ジャズ盤の紹介本を読みふけっていて、「マッコイ・タイナーのフュージョン・ジャズである」という触れ込みに感じ入って、何も考えずに即入手した。実は、マッコイ・タイナーのピアノについては、このアルバムで初めて聴いた。
確かに、「マッコイ・タイナーのフュージョン・ジャズ」という触れ込みはもっともな内容で、オーケストラをバックに従え、圧巻かつスケールの大きな展開の、疾走感と爽快感を兼ね備えた素晴らしい演奏がギッシリと詰まっています。ビートも8ビートが中心で、確かに、フュージョン的な疾走感のあるインストです。
しかし、このアルバムの面白いところは、ビートも8ビートが中心で、確かに、フュージョン的な疾走感のあるインストではありますが、アコースティック楽器のみの編成で、アコースティック楽器の音が、フュージョン的な8ビートに乗って疾走するという「音の響き」は、今の耳にもちょっと新鮮です。
オーケストラをバックに従えているので、マッコイのピアノがバックの音に埋もれるのでは、なんて心配は全く必要有りません(笑)。このアルバムでも、マッコイは「ガーン、ゴーン、ガガガガガ・・・」とハンマー奏法よろしく、ピアノを叩きまくっています。
タッチがとても強いピアノで、しかも疾走感も兼ね備えている。オーケストラの音に埋もれるどころか、オーケストラの音をバックにマッコイのピアノがクッキリ浮かび上がってくる様な雰囲気はなかなか圧巻です。
他の共演メンバーも好演していて、特に、フルートのヒューバート・ロウズは大活躍。この人、自らがリーダーのアルバムではフルートを吹きまくることはあまり無くて、なぜか、これといった代表盤はないんですが、このアルバムの様にサイドメンで入った時に素晴らしいソロを吹きまくることが多い。不思議なフルート奏者です。
リズム・セクションを担うビリー・コブハムのドラミングも絶好調。マシンガンの様に叩きまくる「千手観音的ドラミング」が心ゆくまで堪能できます。こうやって聴いていると、ビリー・コブハムって、フュージョンの申し子の様なドラムを叩くんですね。凄い迫力と凄いビートです。
そして、もう一人のリズム・セクションの担い手、ベースのロン・カーターも好演しています。この時代には珍しくロンのベースはピッチが合っていて、非常にメロディアス。しかも、ブンブン弦が震えるように鳴っていて、聴き応え十分。このアルバムでのロンのベースは聴きものです。
良いアルバムです。ストリングスがバックに入っているフュージョン的な演奏なので、硬派でベテランなジャズ者の方々は、もしかしたら眉をひそめるかもしれませんが、僕はこのアルバム、結構好きで、今でもちょくちょく聴きます。
マッコイのコンポーズ&アレンジ、そしてリーダシップについての高い能力についても十二分に確認することが出来て、マッコイ・タイナーの代表作の一枚としてもお勧めだと思います。
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ピアノのポール・ブレイ死去のニュースがありましたね。82歳ということですが残念です。
で昨晩ブレイの「ブラッド」を聴いていたら、なぜか突然マッコイが聴きたくなりました。w
で聴いたのが「アトランティス」。史劇、時代劇、ウエスタン映画に目がない(~_~;)私のマッコイ愛聴盤ベスト3は
「アトランティス」「リーチングフォース」「エコーズオブフレンド」なのですが、
中でもアトランティスはアタマの鐘の音からして「大作史劇」?を彷彿とさせる予感に満ち溢れww大好きなのでした。
リーチングフォースこそは「無冠の帝王」ロイへインズの真骨頂が楽しめる1枚ですし、エコーズ~はマッコイの「アイソメトリック奏法」?の極地だと勝手に思い込んで楽しんでいます。(~o~)
投稿: おっちゃん | 2016年1月 9日 (土曜日) 09時57分