マイク・マイニエリを見直したぞ
マイク・マイニエリ(Mike Mainieri)はジャズ・ヴァイブ奏者。1938年7月生まれ。今年73歳になる。
70年代初頭には、ブレッカー兄弟やスティーヴ・ガッドらと共に、クロスオーバー&フュージョンの先駆けとなる演奏集団「ホワイト・エレファント」を主宰したり、NYの豪華なフュージョン系のセッション・プレーヤーを集めたソロ・アルバムをリリースしたり、1979年には、マイケル・ブレッカー、ドン・グロルニック、エディ・ゴメス、スティーヴ・ガッドと「ステップス」を結成したりで、1970年代を席巻したフュージョン・ムーブメントの陰の立役者と言われる。
その割には、唯一、1970年代のソロ・アルバム『ラヴ・プレイ』も、豪華なフュージョン系のセッション・プレーヤーを集めた割には「ちゃらちゃら」した内容だったし、「ホワイト・エレファント」はデモテープ的なセッション記録を残しただけで空中分解。「ステップス」はマイケルとガッドの人気に「おんぶにだっこ」と、あまりアーティストとして成果を残している訳では無い。
そんな「ちゃら男」的なマイク・マイニエリ。すっかり、その名前を忘れていた訳だが、5年ほど前、iTunes Storeを徘徊していて、マイク・マイニエリの、実に魅力的なアルバムに邂逅した。そのアルバムとは『Northern Lights』(写真左)。
「ちゃら男」的なマイク・マイニエリだけに、実はあまり内容に期待してはいなかったが、アルバム・ジャケットのマイニエリの似顔絵が素敵で、ついつい「ジャケ買い」した。が、これがまあ、なかなかの内容なのだ。うん、「ジャケ買い」成功である。
サイドメンにニルス・ペッター・モルヴェルなど、ノルウェーのミュージシャンを起用して、北欧ジャズ的な、透明感高く切れ味の良い、印象派の様な感性に訴えるクールな演奏が詰まっています。そのクールな雰囲気に、ヴァイブの静謐感溢れるクリスタルな音がピッタリとフィットします。実にクールな響きです。響きと言えば、このアルバム、効果的に少し深めのエコーの響きが実に「北欧的」。
3曲目のビョークの「I've Seen It All」のカバー演奏などは実に優れた内容です。北欧的な音の響きと展開が実にクール。そして、旋律を奏でるヴァイブの響きが、これまた実にクール。
このアルバム、硬派で誠実なコンテンポラリー・ジャズとして、マイニエリのフュージョン時代の「ちゃら男」的な、「ど〜せ、昔のフュージョンの人でしょ」的な、あまり良くない印象を一気に払拭する位の硬派な内容です。しかも、印象派の様な感性に訴えるクールな演奏で聴き易い。北欧ジャズ、はたまた、ECMレーベルの音がお気に入りのジャズ者の方には是非ともお勧めのアルバムです。
とっても寒い冬の日、どんより鉛色の雲の合間から陽射しが少し差し込んできて、ちょっとだけ心が和む昼下がり。静かな部屋の中で一人静かに聴くのにバッチリのマイク・マイニエリの『Northern Lights』です。特に、ヴァイブの音は寒い冬の空気にピッタリですね。
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