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2011年12月の記事

2011年12月31日 (土曜日)

今年を振り返って(後編)

紅白歌合戦を見ながらのブログ更新である。小学校4年生以来、既に40年以上、ずっと欠かさず、年末の夜は紅白歌合戦である。古い奴と思われるかも知れないが、古い奴なんです。既に50歳を越えましたからね。

今年は、3月〜5月は大震災がらみで何かと身辺は忙しく、後で判ったんだが、夏から秋にかけては体調が思わしく無く、身体がかなり疲れていた。そして、11月は大量下血で緊急入院して、12月中も退院後ということで、通常の状態には、ついぞ戻らなかった。まあ、今年はかなり酷い年で、一年の3分の2は、なにかと思うようにいかなかった。

しかも、5月にはMacBook Proがいきなりぶっ壊れ、最新機種に乗り換えたら、ホームページ作成ソフトが動かない。どうにもこうにもならず、新しいソフトに乗り換えた。そして、新しいソフトにて「バーチャル音楽喫茶『松和』の再構築の作業をしていたんが、夏以来の体調の悪化と11月の入院が決定的で、今年以内のリニューアルはならなかった。

こうやって振り返ってみると、なんだか、本当に良いことが無かった一年だったなあ。ほとんど厄年に匹敵する酷さだった。まあ、こういう年もあるんだろう。来年はご免被りたい。

2011_jazz

さて、そんなこんな一年だったが、ジャズや70年ロックのアルバム蒐集だけは滞ること無く進めてきた。ただ、今年は、ジャズのアルバム蒐集の世界では、目玉となるようなリイシューが少なかったので、こぢんまりした印象が強い。

そんな中でも、長年の念願だった『RETURN TO FOREVER LIVE ; THE COMPLETE CONCERT』(上写真右)と、そして、テナーとピアノのデュオ演奏の最高峰との誉れ高い、スタン・ゲッツとケニー・バロンのデュオ『People Time』のコンプリート・ボックス盤(上写真左)を手に入れる事が出来たことは実に良かった。嬉しかった。

70年代ロックの世界も、大物リイシューはほぼ一巡した感が強く、あまり目玉となるようなリイシューが無かった。そんな中で、ピンク・フロイドのリマスター&リイシューは待望の出来事だった。僕は、思い切って『Discovery Box Set』(写真下)を手に入れた。音は申し分無い。

CDのフォーマットとしてはこれ以上の音質の向上は望めないだろう。LP時代の音にほぼ近づいた。これを凌駕するには、ハイレゾ仕様、例えば、24bit48kHzのwav形式ファイルでの配布などにならないと難しいだろう。
 
Pinkfloyddiscovery14cdboxsetpacksho
 
24bit48kHzのwav形式ファイルでの配布といえば、年の終わりになって、遅れ遅れになりながら、発売された「Queen Orb complete studio albums」も実に素晴らしいリイシューだった。
 
しかし、Macではディスクにコピー出来ないのには参った。Win-PCでディスクにコピーし、それをMacに持ってくるという、実にめんどくさいことをするしか無くなった。ということで、もともとサブ機として欲しかったのだが、遂に、小型のWin-PCを購入してしまった。年末にして、かなりの散財である。
 
そんなこんなで、ちょっとイマイチの一年だったが、「最悪や、もうあかん」と思ったら瞬間、子供の頃からの「ギリギリ土壇場にならんと来ない妙なツキ」に恵まれて、最悪の状態からは免れた感がある。この妙なツキの巡り合わせについてはそろそろ卒業したい。「最悪や」と思わんと来ないツキは、これからの人生、ちと困る。
 
来年の前半までには、バーチャル音楽喫茶『松和』のホームページのリニューアルを実現したいですね。そして、まず、この入院で衰えた身体を立て直して、暖かくなる頃には、普通の生活に戻っていたいです。とにかく、今年は大変な一年でした。来年は良い年でありますように・・・。
 
Joya02
 

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がんばろう日本、がんばろう東北。自分の出来ることから復興に協力しよう。

2011年12月30日 (金曜日)

今年を振り返って(前編)

今年を振り返ると、個人的にはあまり良いことは無かった一年だった。良いことより、悪いことの方が多い一年だった。

代表的な「悪い出来事」は2つあった。まず、3月に東日本大震災に被災したこと。帰宅難民になり、家の中は無茶苦茶で悲惨な状況だった。まだ寒い時期に計画停電に5回も遭遇した。そんな状況の中、音楽なんて聴いている場合か、と本気で思った。というか、暫く、音楽を聴く気が起こらなかった。強い喪失感に襲われた。

そして、11月には、大腸憩室出血による大量下血で緊急入院した。一瞬、生命がヤバかったし、11日間寝たきりで辛かった。1ヶ月仕事を休んだ。自分の身体のこと、寿命のことを真剣に捉えるようになった。音楽を聴くということは、自分にとってどういう意味があるのか、真剣に考えた。寂寞感に苛まれた時期もあった。

そんな悲惨な状況の中で、一番、心に残ったアルバムは、James Taylorの『Mud Slide Slim And The Blue Horizon』(写真左)。ジェームス・テイラーの1971年リリースの傑作である。2曲目のキャロル・キングが提供した大名曲「You've Got A Friend(きみの友だち)」の存在が大きいが、この「きみの友だち」のみならず、アルバムを埋めるそれぞれの曲が、今年の悲惨な状況の中で大きな心の支えになった。

シンガーソングライターブームの中、キャロル・キングとダニー・コーチマーから提供された2曲以外、ジェームス・テイラーの自作曲で占められている。いずれの曲も素晴らしい出来で、どの曲も様々な表情を見せながら、どの曲も心に響いてくる。

Jt_mud_slide_slim

加えて、バック・バンドの演奏がこれまた実に優れたもので、本当に良いバック演奏を提供してくれている。米国ルーツ・ミュージックであるフォークやカントリーだけでなく、ソウルのリズムやジャズのフレーズなども巧みに吸収しながら、アコースティック中心のシンプルでビートの効いた演奏は特筆もの。特にベースの響きが心地良い。

それでも、やっぱり、このアルバムで突出した輝きを放っている曲が「You've Got A Friend(きみの友だち)」だろう。大震災の後に強く感じた喪失感の中、緊急入院して深く人生について考えながら感じた寂寞感の中、この「You've Got A Friend(きみの友だち)」は素晴らしく心に染みた。

今年、幾度か悲惨な状況に陥りながらも、今になって、心の平静を取り戻したのは、この曲あってのことが大きい。高校時代に出会って以来、30年以上が経つが、この曲は未だに、僕の心の応援歌であり続けている。そんなこんなで、今年一番、心に残る楽曲でもあった。

When you're down and troubled
and you need a helping hand
and nothing, whoa nothing is going right.
Close your eyes and think of me
and soon I will be there
to brighten up even your darkest nights.

 
 

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2011年12月29日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・25

大震災で壊滅した書庫を片付けていて再発見された、大木俊之助さんの著書『ジャズ・ジョイフル・ストリート―神田神保町「響」流ジャズ鑑賞法』を読み直していて、あれっと思った。

『The Oscar Peterson Trio In Tokyo 1964』(LP盤)に関するのコメントに、この1964年の東京のコンサートでは、かの名曲「Hymn To Freedom」が演奏され、このライブ盤LPに収録されている、とあった。

あれっ、と思った。この『The Oscar Peterson Trio In Tokyo 1964』は、かつて日本のみで発売されたLPが故に、なかなか再発されなかったピーターソンのレア音源で、昔から欲しい欲しいと思っていたのだが、実は、ある日突然、2008年12月に『The Complete Tokyo Concert 1964』のタイトルで、CD2枚組仕立てでリイシューされた。

当然、即ゲットである。ということで、オスカー・ピーターソンの1964年の東京のコンサート音源は手元にある。で、「Hymn To Freedom」が収録されていることはすっかり忘れてしまっていて、ここ半年位、このライブ盤CD2枚組がCDプレイヤーのトレイに載ることがなかった。で、大木さんのエッセイでのコメントである。しまった、「Hymn To Freedom」の存在を失念していた(汗)。

ということで、この『The Complete Tokyo Concert 1964』(写真左)をしっかりと聴き直して、これまたビックリ。素晴らしい内容のライブ盤なのだ、これが。もう一度聴き終えて、あまりの内容の良さに、口があんぐり開いたような気分。冒頭の「Reunion Blues 」から、ラストの「Children's Tune」まで、全24曲、所要時間150分。素晴らしい内容のピアノ・トリオ演奏が展開される。

しかし、気を付けなければならないのは、CD2の6曲目以降のボーナス・トラック。こちらは1965年5月29日、チボリガーデンにおけるライブ盤『Eloquence』の全10曲のうち7曲を追加収録している。「枯葉」「モーニン」「ミスティ」などのヒット曲がズラリではあるが、1964年の東京でのコンサートとは関係が無い。東京のコンサートは、CD2の5曲目「Hymn To Freedom」まで。
 
 
Peterson_livetokyo1964
 
 
さて、『The Complete Tokyo Concert 1964』のタイトル通り、東京でのコンサートに戻る。1964年6月2日、東京のサンケイホールでの収録になる。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。「ザ・トリオ」と呼ばれるオスカー・ピーターソンのピアノ・トリオの中で、最強のメンバー構成である。そして、「ザ・トリオ」として最初で最後の来日公演である。

この東京での演奏は、通常のエンタテインメント的な要素を盛り込んだ、他のライブとはちょっと雰囲気が違う。東京のコンサートの聴衆の拍手など、聴衆のトリオ演奏に対する姿勢がCDより感じ取れるだが、東京の聴衆は、オスカー・ピーターソン・トリオの演奏を「エンターテインメント」として聴くのでは無く、「アート(芸術)」として聴いているのだ。

オスカー・ピーターソン・トリオのパフォーマンスを「芸術」として聴き込もうとする東京の聴衆に対して、演奏する側であるオスカー・ピーターソン・トリオの面々は真摯に相対し、最高のテクニックと最高のパフォーマンスを駆使して、最高の演奏を披露している。

つまり、東京の演奏は、CD2の6曲目以降のチボリガーデンのライブ演奏に比べて、相当に「アーティスティック」な演奏なのだ。このCDの音は平板でちょっと問題ではあるが、そんなことは関係無いほど、アーティステックなトリオ演奏が凄い。

この東京コンサート部分のラストの「Hymn To Freedom」は当然の如く、ダイナミックで感動の名演。その場に居合わせたかったなあ、とは思うが、1964年だとまだ幼稚園なので無理ですね。でも、一度、この「Hymn To Freedom」の生演奏を聴いてみたかった。ピーターソンの最高傑作である。

僕は、このアーティスティックなトリオ演奏の素晴らしさと「Hymn To Freedom」の感動的名演を踏まえて、謹んで、この『The Complete Tokyo Concert 1964』を、ピアノ・トリオの代表的名盤の一枚に挙げたい。
 
 
 
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Fight_3
 
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2011年12月28日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・31

「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの第31回目になる。さて、長年ジャズを聴いていると、昔の感じ方と今の感じ方が違っていて、昔、あまり好きでは無かったアルバムが、今では大のお気に入りになっていたりする。不思議なものである。

アート・テイタム(Art Tatum)。1909年生まれ、1956年11月没。ジャズ・ピアノの「神様」である。ベン・ウェブスター(Ben Webster)。テイタムと同じ1909年生まれ。オールド・スタイルではあるが、サックスをサックスらしく吹き上げる、スウィング時代の三大テナーと称されたテナーマンである。

この2人が共演して録音したアルバムがある。『Art Tatum / Ben Webster Quartet』(写真左)。1956年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Tatum (p), Ben Webster (ts), Red Callender (b), Bill Douglass (ds)。

1956年の録音なので、2人とも40代後半という円熟味を備えた年齢を迎えていたことになります。アート・テイタムにとっては、1956年11月没なので、このアルバムは、亡くなる2ヶ月前の作品である。1956年と言えば、ジャズ界はハードバップの時代。テイタムもウエブスターもスイング時代がメインではあるが、演奏の雰囲気はハードバップを踏襲している。

このアルバムがである。それはそれは素晴らしい内容なのだ。ミッドテンポからスローテンポなスタンダード曲をズラリと並べ、ゆったりと余裕のある、しみじみと味わいのあるカルテット演奏を繰り広げる。
 
どの曲もどの曲も珠玉の逸品。演奏の雰囲気はハードバップとは言え、テイタムとウエブスターの演奏スタイルは、スイング・ジャズがメインで、ビ・バップのスタイルがそこはかと無く混じる。
 
Tatum_webster
 
ミッドテンポからスローテンポの演奏ばかりなので、速弾きの演奏ではちょっとやかましい位のテイタムのピアノが、メリハリ良く、耳に心地良く響く。そして、オールド・スタイルのウエブスターのテナーが、ビブラートを効果的にかましながら、ボボボボズズ〜、ブブブウゥゥと艶やかに官能的に鳴り響く。

テイタムのピアノは絶好調。スイング・ピアノ、ブギウギ・ピアノというオールド・スタイルなジャズ・ピアノをメインにしながらの、目眩く指の捌きとその超絶技巧なテクニックは、通常のビ・バップな演奏を越える内容を誇る。ミッドテンポからスローテンポなスタンダード曲の演奏が全てだからこそ判る「テイタムのピアノの凄さ」。

遙か昔、若かりし頃、まだ僕がジャズ者初心者だった頃、このウエブスターの艶やかで官能的なテナーがどうしても苦手で、ステレオのボリュームを上げて聴くことが出来なかった。テナーの音って、ちょっとエロティックな響きがある。このエロティックな響きが、ウエブスターのオールド・スタイルな奏法で増幅されるのだ。どうしても「照れ」が入って苦手だった。

が、何時の頃からか、40歳を過ぎた辺りだろうか。この艶やかで官能的でエロティックなウエブスターのテナーが全く気にならなくなったどころか、これはこれで実に味のあるテナーだと思うようになった。180度、嗜好の転換である。

テイタムのピアノについても再認識。ミッドテンポからスローテンポなテイタムのピアノ演奏は、確実に「ジャズ・ピアノの祖」バド・パウエルを凌駕する瞬間があることを理解するようになった。ジャズ・ピアノのスタイルの中で、どのスタイルにも属さない「孤高のスタイル」の持ち主であるテイタムのピアノに、じっくりと耳を傾けることが出来る様になった。

これぞジャズ、と言い切って良い位、伸び伸びゆったりとした演奏が魅力的。テイタムもウエブスターも貫禄に溢れた余裕の演奏を繰り広げており、モダンジャズの持つ魅力を存分に発揮していると思います。このアルバム、聴き始めたら、最後までジックリと聴き込んでしまう。ジャズ喫茶で時々引っ張り出しては繰り返し聴きたい、永遠の名盤の一枚であります。
 
 
 

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2011年12月27日 (火曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・14

振り返ってみると、ジャズ者になってから、ビッグバンドを意識したのは「メイナード・ファーガソン楽団」だった。メイナード・ファーガソン(Maynard Ferguson)はトランペッター。ハイノートヒッターとして世界中で最も有名な人だろう。確か2006年8月に惜しくも逝去。

このメイナード・ファーガソンが主宰したビッグバンドを、初めて経験したアルバムが『Conquistador(邦題 : 征服者〜ロッキーのテーマ)』(写真)。1976年発売当時、FMでよくかかっていたのが「Gonna Fly Now(ロッキーのテーマ)」。映画「ロッキー」のテーマである。オリジナルでは無いのだが、このメイナード・ファーガソン楽団の「ロッキーのテーマ」は良かった。躍動感溢れ、元気の出るアレンジが魅力だった。

この「ロッキーのテーマ」の印象があって、それから1年ほど経って、1977年10月のこと、あの伝説のクイズ番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』の爽やかで躍動感のあるテーマソングが、このメイナード・ファーガソン楽団。そう「Theme From Star Trek(スター・トレックのテーマ)」である。

この爽やかで躍動感のあるビッグバンドの演奏に心動かされて、翌年、ジャズ者になって早々に、この『Conquistador』を手に入れた。僕の「ビッグバンド入門盤」である。

Mf_conquistador

という歴史的背景があって(笑)、メイナード・ファーガソン楽団と言えば、僕はこの『Conquistador』が愛聴盤。「Gonna Fly Now」や「Theme From Star Trek」など、俗っぽい曲ではあるが、その内容はとても良い。

アルバム全体の内容としては、メイナード・ファーガソン楽団がフュージョンに走った時代のもので、伝統的なビッグバンドの音の中に、エレピやエレベ、エレギの音が8ビートに乗って織り込まれており、8ビートのビッグバンド・ミュージックが「爽快感と躍動感」を現出している。加えて、ファーガソンのハイノートもバッチリ。

最近、リマスターされたCDを入手して、今ではこのリマスターCDでたまに聴き直すんだが、やっぱり「Gonna Fly Now」は良いし、「Theme From Star Trek」を聴けば、『アメリカ横断ウルトラクイズ』を思いだし、徳光アナの「米国へ行きたいか〜」の叫びが甦ってくる(笑)。そして、タイトル曲の「Conquistador(征服者)」は、伝説のボクサー具志堅用高の入場テーマに使われていたことを思い出した。

「Gonna Fly Now」や「Theme From Star Trek」、「Conquistador」以外の曲も、フュージョン・アレンジのビッグバンドとして良い出来の曲ばかりです。この『Conquistador』、ビッグバンドの入門盤として、取っ付き易くてお勧めです。

 
 

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2011年12月26日 (月曜日)

続・際物風のコルトレーン盤

12月23日のブログ(左をクリック)で、John Coltraneの『Impressions』をご紹介した。タイトルからはライブ録音の音源が含まれているなんてことは全く感じないが、アルバムに収録された全5曲中、2曲がライブ音源、残りがスタジオ録音。実に中途半端な、ちょっと「パチモン」の香りがする名盤、ちょっと際物風のコルトレーン盤である。

コルトレーン盤には、もう一枚、ライブ音源とスタジオ音源がチャンポンになった、ちょっと「パチモン」の香りがする名盤、ちょっと際物風のコルトレーン盤がある。そのタイトルは『Live at Birdland』(写真左)。この盤は、タイトルからして、バッチリとライブ盤と判るんだが、中身を聴くと、ライブ音源とスタジオ音源が混在しているのが判る。なんでこんな構成にしたのかなあ。

しかしながら、『Impressions』のライブ演奏部分は、僕にとってはイマイチなんだが、この『Live at Birdland』でのライブ演奏部分は素晴らしい。というか「凄い」。コルトレーンの黄金のカルテットの、最高のライブ演奏のサンプルがこの盤に詰まっている。

ちょっと話を整理してみよう。この『Live at Birdland』のトラックリストは以下の通り。最近のリイシューのCDでは、6曲目に「Vilia」という楽曲が追加されたりしているが、話がややこしくなるので、ここはLP時代のトラックリストを基本に話を進める。

1. Afro-Blue
2. I Want To Talk About You
3. The Promise
4. Alabama
5. Your Lady
 
1〜3曲目が、1963年10月8日、バードランドでのライブ録音。4〜5曲目が、1963年11月18日、ヴァン・ゲルダー・スタジオでの録音。
 
Jc_live_birdland
 
ちなみにパーソネルは「黄金のカルテット」と呼ばれる4人。John Coltrane (ts,ss), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds), McCoy Tyner (p)。この日のバードランドのライブ音源はまだ何曲があるらしい。よって、なんでこんなライブ音源とスタジオ録音を混在させたかが良く判らん。

でも、まず、このライブ音源の3曲が凄い。コルトレーンは迷い無く、淀みないソロを繰り広げ、そのイマジネーションは「唯一無二」の一言。凄い個性の塊のコルトレーンガここにいる。そして、エルヴィンのドラミングが凄い。疾風怒濤のドラミング。腕が4本あるかの様な、凄まじいポリリズム。そして、鋼の様にソリッドで粘りのあるベース音を響かせるギャリソン。ガーンゴーンと疾風怒濤の演奏にアクセントをつけ、音の彩りを添えるマッコイのピアノ。

ライブ音源3曲ともに甲乙付け難いほど素晴らしい出来。ソプラノ・サックスのアドリブ展開は、コルトレーンの目眩くイマジネーションを音に昇華させた様な、飛翔感抜群の音の煌めき。「I Want To Talk About You」での、テナーの高音部を使った超絶技巧なテクニック溢れるソロ。そう、この「I Want To Talk About You」の出来が素晴らしいのだ。僕のイチ押し。

4曲目「Alabama」、5曲目「Your Lady」のスタジオ録音もライブ音源と比べて見劣りするものでは無い。ライブ音源から続けて聴いていると、このスタジオ録音部分もライブ音源と間違えてしまいそうなほど、ライブ音源と比べて、甲乙付け難い内容となっている。ここでも、コルレーンは言うに及ばず、エルヴィンのドラミングが凄い。ギャリソンのベースがブンブン唸る。マッコイのピアノがガーンゴーン響き渡る。

『Live at Birdland』とは看板に偽りあり。アルバムに収録された全5曲中、3曲がライブ音源、残りがスタジオ録音。これまた、実に中途半端な、ちょっと「パチモン」の香りがする名盤、ちょっと際物風のコルトレーン盤である。しかし、これがまさに、コルトレーン・ジャズの完成期のライブ+スタジオ録音アルバムなんだから面白い。

 
 

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2011年12月25日 (日曜日)

Happy Xmas (War Is Over)

どうも僕は古いんだか、偏屈なんだか、クリスマス・シーズンになると、世の中にクリスマス・ソングが鳴り響き、クリスマスの装飾が溢れ、最近では、通常の民家までが、リースを玄関にあしらう、のみなず、イルミネーションの飾りを施し、更にはライトアップまでするという、この日本全国の異様な盛り上がり方が全くもって好きになれない。

もともと日本はキリスト教を主たる宗教とする国では無い。確かに、日本民族は、異文化を巧みに取り入れ、自らの文化の彩りにするのが上手な民族ではあるが、ここ10年位のこの一般民家を含めての盛り上がり方は異常だと思うなあ。

キリスト教徒の方々が、クリスマスを特別なイベントとして位置づけるのは十分に理解する(なんせミッション系の幼稚園と大学を出てるからね。意味・意義は十分に理解している)。でも、キリスト教徒以外の日本人が何故ここまでクリスマスで、異常に盛り上がることができるのか理解に苦しむ。

とぼやいてみても、この異様な雰囲気は変わらないし、世の中はエスカレーションすらしている。よって、この時期は音楽を聴きながら、ゆっくりと過ごすことにしている。とにかく、街に出ると、異様なクリスマスの盛り上がりと混雑した人混みで機嫌を害すること請け合いである。

クリスマス・ソングは曲自体は良い曲ばかりではあるが、どうもテレビやFMなどで押しつけがましく流されると、ついつい反発したくなって、チャンネルを変えるか、スイッチをオフってしまう(笑)。どうも僕は古いんだか、偏屈なんだか・・・。でも、この傾向は高校時代からずっとそうだから、筋金入りではある(笑)。

そんなクリスマス・ソングの中で、僕にとって「別格の存在」というものがある。John Lennonの「Happy Xmas (War Is Over)」、そう「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」である。1971年に発表された、ジョン・レノン&オノ・ヨーコの楽曲。
 
ジョンはある時、ふと考えた、「永遠に残る、意味のあるクリスマス・ソングを作りたい」。この「意味のある」という部分がジョンらしくて僕は痺れる。
 
Lennon_happy_xmas
  
欧米では、どんなミュージシャンも一定の地位を確立すると、オリジナルのクリスマス・ソングを作りたくなったり、クリスマス・アルバムを作ったりしたくなるらしい。ジョンも多分に漏れない訳ではあるが、ただのクリスマスソングにしないところが、ジョンのジョンらしいところであり、僕がジョンに惚れ込み続ける所以である。 

「Happy Xmas Kyoko, Happy Xmas Julian」のささやく声でスタートし、いきなり、ジョンのボーカルとギターが始まる。このインパクトのある出だしが良い。普通のクリスマス・ソングでは無い、ロックなビートを宿した、新しいクリスマス・ソング。この出だしを今まで何度、この季節に聴いたことだろう。

バックに子供のコーラス隊を配してのアレンジが素晴らしい。この子供のコーラス隊の存在だけで、この楽曲が「クリスマス・ソング」であることを認識させている。そして、曲の構成、展開も、従来のクリスマス・ソングのエッセンスを十分踏まえたもので、歌詞が無くとも、曲の流れと構成を聴くだけで「クリスマス・ソング」を想起させてくれる。ジョンの才能の成せる技と言える。

ちなみに1971年12月1日に、アメリカ等でリリースされた当初はチャートインしなかったとのこと。その理由は、リリースがXmasの1ヶ月も前で「時期はずれ、早すぎる」と思われたからだという(Wikipediaより)。

う〜ん、今の時代では、12月1日リリースなんて遅すぎる。11月に入ると既にクリスマスの準備を始める日本である。ともあれ、1970年代は少なくとも、クリスマスに関する季節感は正しかったということになる。逆に、ジョンの感覚は時代を先取りしていたということになる(笑)。このエピソードもジョンらしいと言えばジョンらしい。

そして、今もって、人類にとって相当に困難なテーマをこの曲は突きつけ続けている。この事実を再認識する度に僕は辛い。

WAR IS OVER "IF YOU WANT IT"
Merry Christmas from John and Yoko. 

 

  

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2011年12月24日 (土曜日)

「クリスマス・イブ」に想う

クリスマス・イブである。FMから流れてくる曲はクリスマス・ソング一色で、ちょっと呆れた溜息が出たりする。なんで、日本ってこんなにクリスマスで変に盛り上がるようになったんだろう。キリスト教国でも無いのに実に不思議なことではある。

さて、FMから流れてくる曲の中に、この20年来、定番中の定番となった曲が「また」かかっていた。山下達郎の「クリスマス・イブ」(写真右)。もう、この曲は「耳タコ」な位に聴いている、または聴かされている曲なのだが、この曲だけは不思議と飽きが来ないし、「クリスマスで変に浮かれているような」嫌な気分にならない。

とにかく、この山下達郎の「クリスマス・イブ」は凄い完成度を誇る楽曲である。元々はこの曲は、1983年6月8日に発売された山下達郎通算7作目のスタジオ・アルバム『MELODIES』(写真左)のラストに収録された楽曲である。僕は、この『MELODIES』を、1983年の暮れに、LPで入手して、このラストの「クリスマス・イブ」を初体験し、椅子から落ちんばかりに驚いた。「なんなんだこの曲は・・・」。

山下達郎本人をして「作詞・作曲・編曲・ボーカル・コーラス・プロデュースなど、すべてにおいて完璧にできた曲」と明言している 位の楽曲である。それはそれは素晴らしい出来である。とにかく、その生い立ちが凄い。

コード進行は、バロック音楽の名曲、パッヘルベルの「カノン」のコード進行を借用している。この「カノン」のコード進行の借用が、バロック的なクラシックな雰囲気と賛美歌的な響きを増幅させ、クリスマスの楽曲として感べきなアレンジとして成立している。

また、小田和正主演のTBSの番組『クリスマスの約束』にて、2001年だったか、実は、この楽曲はオフコースの楽曲の雰囲気に触発されて作った、と小田和正宛の手紙で明かしていた。なるほど、コーラスのアレンジと雰囲気、楽曲へのエコーのかけ方など、オフコース(とは言っても、二人のオフコースの時代だと僕は思うが)の音作りをかなり意識している風に感じる。
 
Merodies_christmas_ive  
 
山下達郎の楽曲としては歌詞も良い。恐らく、かなりの確率で来ないかも知れない彼女を待つ主人公。しかし、決定的に悲劇的結末でも無い、希望的な含みを持たした歌詞の展開は秀逸である。言葉も良く練られており、冒頭の「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう」なんてフレーズは出そうで出ない。凡人は後で読むと書けそうな気がするが、この自然で秀逸なフレーズはいきなりは出ないだろう。

しかも、それを支える曲の展開は、バロックの楽曲のコード進行を借用した分、コード進行が決定的にマイナー調では無く、定期的にメジャー調に転調するので、決して、悲劇的にならない。というか、最後には希望の響きが感じられる(賛美歌ってみんなそうですよね)。
 
歌詞も結論を出していないし、曲の展開もまた始めに戻った形でフェードアウトして、余韻と含みを持たしているところが実に「ニクイ」。本当に良く出来た楽曲である。クリスマス・ソングとしても決定的な出来を誇っている。

しかし、1983年の暮れ、アルバム『MELODIES』をLPとして入手し、そのラストにひっそりと収録されていた、この「クリスマス・イブ」の存在にいち早く気付いていた僕にとっては、この曲が、JR東海の東海道新幹線「ホームタウン・エクスプレス(X'mas編)」のCMソングとして全国区となり、再度、シングル・カットされて大ヒットして、皆が知っている超有名曲となったことには、ちょっと淋しさと悔しさを感じるというのも正直なところ。

これだけの名曲中の名曲でありながら、あまりに有名になりすぎて、毎年、クリスマス流行曲として、結構気楽に気安く扱われているのが気になります。マニアである僕たちだけが知っている「秀逸な」クリスマス・ソングとして、そっとしておいて欲しかったなあ、というのが本音でしょうか。
 
 
 

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2011年12月23日 (金曜日)

ちょっと際物風のコルトレーン盤

ジャズ者ベテランとしては、やはり、ジョン・コルトレーンのリーダー作の正式盤くらいは全て所有していないといけないし、それを全て、ある程度聴き込んで、語れるくらいでないとなあ、と思って、コルトレーンの聴き直しを始めて、アルバム毎にブログに語ることを続けて早1年が経過する。

コルトレーンのリーダー作を聴き直してみて、改めて思うのは、コルトレーンの諸作は奥が深い。かつ、バリエーションの裾野が広くて、思ったより時間がかかるが、これはこれで、とても面白い。若い頃は、コルトレーンのリーダー作って、結構、ハードで難しい、って印象が強かったんだが、歳を取って聴き直して見ると、ちっとも難しくないし、ちっともハードでは無い。

今年は公私ともに色々とあったので、なかなかアルバムをじっくりと楽しむ時間がまとまってとれなかったので、コルトレーンの聴き直しは延々続いて来年に持ち越しだが、とにかく、コルトレーンの聴き直しは結構、面白い。まあ、今の耳で聴くと、確かに名盤ばかりではないけどね。時に、これはなんなんだ、という演奏やアルバムに出くわすこともあるが、それはそれで面白い。

John Coltrane『Impressions』(写真左)。このアルバムも中身をじっくりと吟味すると、ちょっと「パチモン」の香りがする名盤(?)である。タイトルからはライブ録音の音源が含まれているなんてことは全く感じないが、アルバムに収録された全5曲中、2曲がライブ音源。そのライブ音源は、1曲目の「India」と3曲目の「Impressions」。どちらのライブ音源も、かの有名な、1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音。
 
Jc_impressions
  
今では、『The Complete 1961 Village Vanguard Recordings』として、その全貌が明らかになり、実は、共演のエリック・ドルフィーが素晴らしい出来で、コルトレーンはドルフィーに当てられてかどうかは判らないが、あまり良いパフォーマンスを残していない、ということが判っている。しかし、この『Impressions』では、そんな不調なコルトレーンのパフォーマンスの中でも、まずまずの内容を残しているもの、そして、決して、ドルフィーが目立たないものを選んで収録している。

まずまずの内容を残しているとは言え、改めて聴き直して見ても、このライブ音源でのコルトレーンは好調とは言えない。なんだか、迷いに迷って、今までの手癖よろしく、適当にアドリブ・フレーズを流しているように聴こえる。なんだかなあ、という印象はぬぐえない。

そんなライブ音源より、残り3曲のスタジオ録音の方が断然良い。2曲目「Up 'Gainst The Wall」と4曲目「After The Rain」、5曲目「Dear Old Stockholm」がスタジオ録音になる。特に、スローなテンポで印象的なブロウが素晴らしい「After The Rain」は「かなりの絶品」。そして、思わず、コルトレーンの名演「My Favorite Things」にも勝るとも劣らない、素晴らしいインプロビゼーションを展開する「Dear Old Stockholm」は名演中の名演だと僕は思う。

この『Impressions』、そんなライブ音源とスタジオ録音のごった煮収録の「やっつけ的でパチモン的」な、ちょっと際物風のアルバムですが、ライブ音源よりスタジオ録音の方が良い。愛聴している。スタジオ録音の3曲の内容が際立っていて、なんとか、コルトレーンのリーダーアルバムの一枚として、その地位を保っています。

コルトレーンのアルバムって、こういう隠れ名盤があったりするから、とても楽しい。 
 
 
 

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2011年12月22日 (木曜日)

エリック・リードは「端正」

エリック・リードは1970年6月、フィラデルフィア生れ。ということは、今年で41歳。ジャズ・ピアニストとしては中堅に位置する年頃である。まだまだ若手の精鋭と思っていたんだが、もう41歳なんやね。

エリック・リードのピアノは「端正」。マッコイ・タイナーの様にハンマー打法よろしくガンゴン鍵盤を叩く様に弾きまくる力強さと、優しく柔らかなロマンチシズム溢れる旋律を弾きこなす繊細さとが同居する。粘りは無く、良く手が回る。ファンキーな要素はほとんど感じない程、ピアノの音質は「ドライ」。切れ味が良いというよりは、粒だちが良いピアノ。

「端正」なピアノは、なかなかその個性を愛でることが難しい。そんなピアノは、小難しいオリジナル曲を聴くよりは、スタンダードや有名なポップ曲を「あるテーマ」で詰め込んだ企画盤で、その「端正」なピアノを楽しむのが良い。

エリック・リードのリーダー作に、そんなアルバムはあるんかいな、と探してみたら、これがあるんですね。そのタイトルは『Manhattan Melodies』(写真左)。1998年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Eric Reed (p), Reginald Veal (b), Gregory Hutchinson (ds), Dianne Reeves(vo), Renato Thoms (per)。パーカッションが入るので、ちょっと反則ですが、ピアノ・トリオ盤と言って良いでしょう。

まず、収録された曲がどれも魅力的です。良い曲を選んでますね。ちなみに収録された曲を並べてみると、以下の様になります。
 
Eric_read_manhattan
 
1. 59th Street Bridge Song, The (Feelin' Groovy)
2. Manhattan Melodies
3. Harlemania: Drop Me Off In Harlem / Harlem Nocturne
/Take The "A" Train
4. New York City Blues (aka Doc's Blues)
5. Letter To Betty Carter
6. Blues Five Spot
7. Puttin' On The Ritz
8. Englishman In New York
9. NYC Medley: Autumn In New York / Skating In Central Park
/ Central Park West
10. Theme From "New York, New York"

ねっ、なかなか魅力的なラインアップでしょう。タイトル通り、ニューヨークを題材にした名曲がズラリ。5曲目の「 Letter To Betty Carter」では、ゲストのダイアン・リーブスのボーカルが聴けます。

このアルバム、音も良くて、リズム・セクションのレジナルド・ヴィールのベースがブンブン鳴り響き、グレゴリー・ハッチンソンのドラムが、カーンコーンキーンコココカカカと小気味良い響きを醸し出す。そこに、端正なリードのピアノがガーンゴーンガガガと力強く乱舞したかと思えば、囁くように優しく旋律をつま弾いたり、ドライなタッチで粒立ちよくピアノを鳴り響かせます。

良いピアノ盤です。エリック・リードの個性豊かなピアノが十二分に楽しめます。リードのピアノは正統派なので、変な癖が無い分、飽きることがありません。定期的に何度も引き出してきては聴いてしまう、そんな不思議な魅力があります。端正な個性が安心感に繋がるのかなあ。とにかく、良いジャズ・ピアノです。他のアルバムも集めてみたくなりますね。

 
 

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2011年12月21日 (水曜日)

今の耳で振り返ってみると...

Herbie Hancock『Future Shock』(写真左)。この盤のリリース当時は、ハービー・ハンコックがスクラッチを取り込んで、新しいコンテンポラリーなジャズを創造したと、それはまあ大騒ぎになった。。中には、エレクトリック・マイルスを越えた、なんて乱暴な評価もあった(笑)。

しかし、今の耳で振り返ってみると、どうなんだろうか。リズム&ビートは、ディスコティックなリズムとテクノ・サウンドのデジタルチックなリズムが合体したようなシンプルなもの。そこにシンセの音が乗り、スクラッチの音が彩りを添える。とにかく単純で判り易いダンサフルなノリ。

クインシー・ジョーンズになれなかったハービーが、エレ・ハービーの原点に戻り、エレクトリック・マイルスの音世界に再挑戦したような感じの音作り。ちょうど、エレクトリック・マイルスの名盤『On The Corner』のリズム&ビートを限りなく単純化して、旋律を整理して凄く判り易くした感じのアプローチ。

でもなあ、あまりに単純過ぎる。これだけ、リズム&ビートが単純で判り易く、メロディーもシンプルで即興性が希薄だと、この演奏はジャズとは呼び難いなあ。

しかも、この盤のリリース当時は「ハービーがスクラッチを取り込んだ」なんて驚いたり感心したりしたもんだが、今の耳で聴き直してみると、スクラッチの存在自体が、あまり効果的では無いというか、スクラッチを取り入れたが故に、新しいジャズが生み出されたのかと言えば、そうではない、と僕は思う。
 
 
Hh_future_shock
 
 
まあ、これだけ、リズム&ビートを限りなく単純化して、旋律を整理して凄く判り易くした、明るくダンサフルな楽曲が詰まったアルバムなので、米国ではバカ売れした。バカ売れしたからといって「名盤」と祭り上げることは無いだろう。このアルバムは、とにかく作りが単純なだけに、2度聴いて飽きる。

ハービー・ハンコックの先取性、実験精神には感服しますが、このスクラッチを取り込んだ『Future Shock』の音作りは、決してジャズのど真ん中を突いているのでは無く、どちらかと言えば「スクラッチ」という飛び道具を駆使した「パチモン」的響きを持つプロトタイプだと思います。

さすがに、今の耳で聴くと、かなりの「古さ」を感じてしまいます。聴き耳を立てると、どちらかと言えば「テクノ・サウンド」に近い雰囲気が見え隠れして、意外な面持ちがする。でも、これが「テクノ・サウンド」であれば、YMOの音世界の方が圧倒的に優れている。

つまりは、この『Future Shock』、ハービーが全身全霊を傾けて創作する類の音では無い、ということ。やはり、ハービーはジャズが良い。ジャズを創造するハービーこそが真の姿なんだろうなあ、と、この『Future Shock』を聴いていてつくづく思った。
 
 
 
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2011年12月20日 (火曜日)

ジャケ買いの逆を行くジャロ名盤

ジャズ・ロック(略して「ジャロ」)は裾野が広い。時代を遡ってみても、1960年代前半のファンキー・ジャズから派生し、1970年代半ばまで、フュージョン・ジャズが一般的になるまでの12〜3年間と長きに渡っている。

しかも、ジャズ・ロックは米国ばかりでは無く、英国や独など、欧州ジャズの盛んな国、そして、プログレッシブ・ロックの盛んな国で広く展開された。所謂、ジャズとロックの融合。8ビートを採用したジャズとして、ファンクなリズム&ビートとグルービーなインプロビゼーションが特徴。

そんなジャズ・ロックを極めていこうと、ディープな盤へ突き進む。今日は、Mike Longo『900 Shares of the Blues』(写真左)。1974年のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Farrell(ts,ss,fl), Ron Carter(b), Randy Brecker(tp,flh), Mickey Roker(ds), George Davis(g), Ralph MacDonald(per)。う〜ん、メンバーの名前を見ただけで「クラクラ」する(笑)。

このアルバム、ジャズ・ロックの成熟した音、言い換えると、クロスオーバー・ジャズを経て、フュージョン・ジャズとしての形を整えたフュージョン・ジャズの先駆け的な音がギッシリと詰まっている。ジャジーでファンクなリズム&ビートに乗って、グルービーなインプロビゼーションがガンガンに展開される。ダンサブル、かつ、クールでスマート。

いや〜格好良いジャズ・ロック盤です。冒頭の「900 Shares of the Blue」を聴けばそれが判る。タイトで8ビートでジャジーなドラミングに乗って、マイク・ロンゴのフェンダーローズ滑り込む様に入ってくる。実にグルービー。続いて、ジャズ・ロックならではの、ワウワウを活用した独特な響きのエレギのフレーズが被る。そして、ファンキーな響きを満々に湛えたトランペットとテナーのユニゾンが旋律を奏でる。コッテコテなファンク、ジャジーなグルーブ感。
 
900_shares_of_the_blues_2
  
「Like a Thief in the Night」「Ocean of His Might」と曲が進むにつれ、ジャズ・ロックな演奏が、どんどん洗練されてフュージョン・ジャズ化していくことが判る。「Magic Number」などは、メインストリームなジャズの雰囲気を湛え、硬派なコンテンポラリー・ジャズとして聴いても十分鑑賞に耐える。

そして、ラス前の「Summers Gone」は秀逸なバラード。このバラード演奏はもうジャズ・ロックの範疇を超える。演奏の雰囲気は、これはもう「ソフト&メロウ」を基調としたフュージョン・ジャズの佇まい。途中、展開されるペットとテナーのソロは、実にアグレッシブでガッツのある純ジャズ的なブロウで、この「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズの展開をググッと引き締める。

ラストのチック・コリアばりのスパニッシュ・フュージョン「Moodo Grande」はご愛嬌。ちょっとやり過ぎかな(笑)。ちょっと疾走感に欠けますが、スパニッシュなフレーズを弾き上げるロンゴのフェンダーローズの音は実に魅力的です。スパニッシュなフレーズにフェンダーローズの音色は実に合う。

このアルバム、ジャズ・ロックからフュージョン・ジャズの先駆け的な演奏が詰まっているんですが、ハードバップ時代からのベテラン・ジャズメンであるベースのロン・カーターが大健闘しています。当時のロンにしてはピッチがバッチリあっていて、アタッチメントで増幅されたアコ・ベースの音が、結構タイトに録れていて、8ビートにバッチリと「ハマって」います。グルーブ感の増幅にロンのベースの貢献大です。
 
ちなみに、この髭モジャの大きな口のジャケット写真。このアルバムのジャケット・デザインにはちょっとひきますよね。これは「ジャケ買い」の反対。この「ひいてしまう」ジャケットに負けてはいけません(笑)。でも、やっぱり、しげしげと眺めて見ると、ちょっと不気味ですよね〜。

 
 

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2011年12月19日 (月曜日)

パット・メセニーの「Cool Side」

パット・メセニー(Pat Metheny)の音楽性の特徴は、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気。ギターの音色は、ジム・ホールをお手本とするシンプルで豊かな表情のシングルトーン。そして、逆に、オーネット・コールマンを敬愛する「アブストラクトでフリーな」音楽性を併せ持つ。

アフリカン・アメリカン・ネイティブなファンキーでアーシーで粘りのあるリズム&ビートを排除し、クールで響きが豊かで、シンプルかつデジタルチックなリズム&ビートを基本とする。アフリカン・アメリカンが生んだジャズとは対極にある、ミズーリ州出身の米国人が創造したジャズ。

そんなパット・メセニーの「クールな一面」が前面に出た、実にお洒落で実に粋なアルバムがある。そのタイトルは『Offramp』(写真左)。1982年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Lyle Mays (p,syn), Steve Rodby (b), Dan Gottlieb (ds), Nana Vasconcelos (per)。

このアルバムの前にリリースされたリーダー作が『American Garage』。このアルバムは躍動感溢れる、ポジティブな演奏が楽しめる。どの曲も実に「Warm」で爽快感抜群。僕は、この『American Garage』を、パット・メセニーの「Warm Side」と呼んでいる。

ちなみに、この『Offramp』は、前作『American Garage』に相対する、パット・メセニーの「Cool Side」と呼んでいる。一日の時間帯で言うと、『American Garage』は、朝日輝く朝から、光降り注ぐ昼下がりまで。この『Offramp』は、空が茜色に染まる黄昏時から、アーバンな夜の雰囲気、そして真夜中の静寂。
 
Pat_offramp
 
冒頭の「Barcarole」と5曲目の「Offramp」の、ギターシンセを使ったアナーキーでアブストラクトでフリーキーな演奏に度肝を抜かれる。パットのハードな面を垣間見た気持ちになる。実にハードでフリーキーなパット。この2曲の存在は、それまでのパットの印象をガラッと覆すだけのインパクトを与えてくれる。

そして、2曲目の「Are You Going With Me?(ついておいで)」がクール。前奏の刻むようなギターのリフがとにかくクール。そして、実に都会的で洗練されていてシンプル。グループが一体となって奏でるリフは決して単調では無い。グッと熱気を内に秘めた「静かなるリフ」。そのリフをバックに、幻想的なシンセ系の音で盛り上がる。実にプログレッシブな音の響き。

3.曲目の「Au Lait」の静謐感溢れるクールな響きは実にアーバン。この静かでクールな「夜」の響きがこのアルバムの特徴。続く「Eighteen」もネイチャーでフォーキーな響きも見え隠れするが、バックのリズム&ビートは洗練されていて実に都会的。AOR的な音の響きは耳に心地良い。そして、6曲目、ジェイムス・テイラーをイメージして作ったという名曲「James」も、爽快感あふれるアーバンチックな響きがとてもクール。

良いアルバムです。この『Offramp』は、前作『American Garage』に相対する、パット・メセニーの「Cool Side」。米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気も良いが、この『Offramp』のアーバンでクールな音世界は実に魅力的。

パットの音楽性の幅の拡がりを十分に感じさせてくれる名盤でしょう。ECMレーベルならではの、クールなデザインのジャケットも良いですね。しかし、このアルバムで聴かれるパットのアナーキーでアブストラクトでフリーキーな演奏には度肝を抜かれます。ご注意を(笑)。
 
 
 

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2011年12月18日 (日曜日)

『1939〜MONSIEUR』を聴く

ムッシュかまやつ(1939年1月生まれ)の生誕70周年記念アルバムを手に入れた。2009年2月のリリースだったから、約3年程度遅れでの入手になる。実は、このアルバムの存在をつい最近まで知らなかったのだ。面目無い。

収録された曲を見渡すと、もうワクワクする。実は僕はムッシュかまやつが高校時代から大好きで、とにかく小粋で味のある楽曲は、何時の時代に聴いても、味わい深いものばかりなのだ。そう、ムッシュの楽曲は「味わい深い」のだ。その味わい深い楽曲を、なかなかツボを得たゲスト・ミュージシャンを迎えて、セルフ・カバーするのだから、これは聴き応え十分。

収録された楽曲とゲスト・ミュージシャンは以下の通り。

1. ゴロワーズを吸ったことがあるかい feat. Micro
2. ノーノーボーイ feat.今井美樹
3. あの時君は若かった feat.秦 基博
4. サマーガール feat.THE ALFEE
5. どうにかなるさ feat.トータス松本
6. バン バン バン feat.一青窈
7. やつらの足音のバラード feat.布袋寅泰
8. エレクトリックおばあちゃん feat.堺正章、井上順、甲斐名都
9. Be Be〜きみはMYSTERY(作詞:作曲・松任谷由実)   w/松任谷由実
10. 懲りない二人 feat.森山良子、森山直太朗
11. 我が良き友よ
12. ゆっくりと ゆっくりと feat.TAROかまやつ
 
1939_monsieur
 
2曲目「ノーノーボーイ」での今井美樹と、6曲目「バン バン バン」での一青窈のボーカルが、実に可愛くて、コケティッシュで、そんな凄く良い雰囲気についつい聴き惚れてしまう。5曲目の「どうにかなるさ」のトータス松本と、7曲目の「やつらの足音のバラード」の布袋寅泰は、ムッシュの楽曲にピッタリの雰囲気のボーカルで、これまた惚れ惚れする。いや〜、これってプロデュースの勝利ですね。ちなみにプロデュースは武部聡志です。なるほどね。

ゲスト・ミュージシャンに負けずに、ムッシュも格好良いですよ。そもそものオリジナル曲が格好良い「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」では、それはそれは、ムッシュは格好良い。ハードボイルドなボーカルは本当に痺れます。そして、ムッシュと言えば、この曲、「我が良き友よ」は絶対に外せない。この曲は、作者である吉田拓郎曰く「この曲はムッシュが歌うべき曲」。本当に、ムッシュのボーカルはこの歌の雰囲気にピッタリ。確かに絶対にこの曲はムッシュの歌だ。

そして、ラストの「ゆっくりと ゆっくりと」は、一人息子TAROかまやつが書き下ろし、彼のピアノ1本で共演したもの。この曲はとても味わい深い仕上がりになっていてラストの曲に相応しい出来だ。

改めて、ムッシュのキャリアを振り返ってみると、C&W、ハワイアン、G.S.、フォーク、ロックポップス、ニューミュージック等々、様々な音楽ジャンルを音をアレンジし、ムッシュのオリジナルとして、小粋でクールな楽曲を残してきています。こうやって改めて、ムッシュの代表曲を並べてみると、その素晴らしい成果を再認識できて、万感な想いで胸がいっぱいになります。

ちなみに、この新作アルバムのCDジャケットですが、イラストはなんと水森亜土さんの書き下ろしだそうです。水森亜土さんの手になるものですか。なるほど、良い雰囲気な筈ですね。良いアルバムです。
 
 
 

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2011年12月17日 (土曜日)

玄人好みの米国ルーツロック

アメリカン・ルーツロックと言われれば、僕の場合、即座に「ザ・バンド」が浮かぶ。米国のルーツ音楽を巧みに取り入れて、ロックテイストに焼き直した、その素朴で無骨ではあるが郷愁をそそるカントリーな味わいのあるの音世界は、後のスワンプやサザン・ロックなどに波及し、今でも、有名どころでは、ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)辺りが、そのテイストを継承している。

そんなアメリカン・ルーツロックの担い手の中に「Allen Toussaint(アラン・トゥーサン)」がいる。アラン・トゥーサンは、米国ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのピアニスト、歌手、ソングライター、プロデューサー。自らの演奏活動の他に、特に1960年代から70年代にかけて数多くのアーティストのプロデュース、作曲、編曲を手がけ、ニューオーリンズのR&Bシーンを影から支えてきた(Wikipediaより)。最近では、ジャズ・シーンにも顔を出している(2010年4月10日のブログ参照・左をクリック)。

そんなアラン・トゥーサンの代表作として、よく雑誌や紹介本に名前があがるアルバムが『Southern Nights』(写真)。1975年4月のリリースになる。このアルバムはR&Bの名盤として語られたり、サザン・ロックの名盤として語られたり、はたまた米国ポップス・ロックの名盤として語られたりして、ジャンルが定まらないところがありますが、今の耳で聴けば、アメリカン・ルーツロックで決まりでしょう。
 
Southern_nights
  
アメリカン・ルーツミュージックの要素が、このアルバムの随所に散りばめられていて、それはそれは楽しい音世界です。フォーク、C&W、R&B、R&R、ブルース、ジャズ、ブラスバンド等々、アメリカン・ルーツミュージックの音がてんこ盛りでロックのテイストでアレンジメントされている。アラン・トゥーサンのプロデュース&アレンジ能力の高さには、ほとほと感服します。さすが、生粋のニューオーリンズっ子ですね。

このアルバムを今の耳で聴き直してみると、1970年代中盤から後半の日本のロック・シーンで活躍していたミュージシャンやバンドが、このアラン・トゥーサンの『Southern Nights』の音をアレンジを、こぞってパクッていたことが良く判ります。1970年代後半、どっかで聴いたことある音がアレンジが、この『Southern Nights』の中に詰まっています。

トゥーサンはピアノも上手くて味がある。そして、エフェクト処理が施されたトゥーサンのヴォーカルは、土のにおいがして、実に心に染みる。アメリカ南部への愛着を感じさせてくれる曲のアレンジメントがとても優しい。いや〜、この『Southern Nights』って、名盤ですね。

アメリカン・ルーツロックのマニア以外に、意外と知られていないアラン・トゥーサンですが、今の若いポップス・ロックのファンの方々や、ジャズ・ロックのファンの方々にも聴いていただきたいですね。玄人好みのアメリカン・ルーツロックとして、お勧めの名盤だと思います。
 
 
 

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2011年12月16日 (金曜日)

若き日のエリック・アレキサンダー

ジャズには色々な雰囲気の演奏がある。それはそれは凄い数の雰囲気のバリエーションがあって、その時その時で色々な感じ方が出来て、とにかくジャズは楽しい、

そんな色々な雰囲気のジャズの中で、一人前になったミュージシャンの駆け出しの頃、初々しく若々しい溌剌とした演奏を聴くのも、実は密かな楽しみである。駆け出しの頃は、自分のやりたいことを精一杯やろうとし、テクニックの未熟なところは情熱と気合いでカバーする。そんな、そのミュージシャンの「素」を感じる事ができることが一番の楽しみ。

最近、たまに思い出しては流しているアルバムがある。Eric Alexanderの『New York Calling』(写真左)。エリック・アレキサンダーは1968年生まれ。1991年のセロニアス・モンク・コンペティションで銀賞獲得以来、NYに進出。そんなエリックが、翌年1992年12月に録音した、実質、エリックのデビュー作に位置づけられるアルバムである。

とにかく、全編に渡って初々しく若々しい溌剌とした演奏がギッシリ詰まっている。ちなみにパーソナルは、Eric Alexander (ts), John Swana (tp,flh), Richard Wyands (p), Peter Washington (b), Kenny Washington (ds)。しかし、パーソネルを見渡すと、エリック以外、全く知らないメンバーやなあ。今の時代に生き残っているのは、エリック以外にいない。
 
New_york_calling
 
それでも、このアルバムの内容は実に良い。確かに、テクニック的にはちょっとおぼつかないところも見え隠れするし、意余って力足らずの一面も見え隠れする。しかし、それらのマイナス面を補って余りある溌剌とした演奏。特に、テナーのエリックは堂々としたブロウで、当時、20代前半とは思えない充実した内容です。

エリックのテナーは個性に満ちあふれている。テナーなので、当然、コルトレーンをコピるのかと思いきや、確かにコルトレーンっぽいトーンではあるんだが、コルトレーンよりも爽やかというか乾いているというか、そう「軽快」である。アドリブのフレーズもシーツ・オブ・サウンドを踏襲することはせず、どちらかと言えば「歌心」優先。ロリンズのブロウをシンプルにしたような、親しみ易いフレーズが魅力。

このアルバムでのエリックのテナーは実に個性的。なるほど、当時、期待の若手ナンバーワンだったことも頷けます。しかし、残念なのは最近のエリックはコルトレーンに追従する様に、テクニック優先な演奏が主になっていて、この若手駆け出しの頃の「歌心溢れるフレーズ」と「軽快なトーン」が影を潜めているんですね。そろそろ、エリックに「初心」に戻って欲しいです。

一人前になったミュージシャンの駆け出しの頃、初々しく若々しい溌剌とした演奏を聴くのも、実は密かな楽しみである。このアルバムでのエリック・アレキサンダーは輝いている。その輝きが「音源」として、このアルバム『New York Calling』に記録されている。良いアルバムです。

 
 

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2011年12月15日 (木曜日)

マッコイのフュージョン・ジャズ

久し振りに、McCoy Tyner (マッコイ・タイナー) である。今日は『Fly with the wind』(写真)。1976年リリースの好盤。主要なパーソネルは、McCoy Tyner (p), Hubert Laws (fl), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds)。その他、ストリングス中心に15名位が共演。

この『Fly with the wind』は、ジャズ者初心者の頃、学生時代、ジャズ盤の紹介本を読みふけっていて、「マッコイ・タイナーのフュージョン・ジャズである」という触れ込みに感じ入って、何も考えずに即入手した。実は、マッコイ・タイナーのピアノについては、このアルバムで初めて聴いた。

確かに、「マッコイ・タイナーのフュージョン・ジャズ」という触れ込みはもっともな内容で、オーケストラをバックに従え、圧巻かつスケールの大きな展開の、疾走感と爽快感を兼ね備えた素晴らしい演奏がギッシリと詰まっています。ビートも8ビートが中心で、確かに、フュージョン的な疾走感のあるインストです。

しかし、このアルバムの面白いところは、ビートも8ビートが中心で、確かに、フュージョン的な疾走感のあるインストではありますが、アコースティック楽器のみの編成で、アコースティック楽器の音が、フュージョン的な8ビートに乗って疾走するという「音の響き」は、今の耳にもちょっと新鮮です。

オーケストラをバックに従えているので、マッコイのピアノがバックの音に埋もれるのでは、なんて心配は全く必要有りません(笑)。このアルバムでも、マッコイは「ガーン、ゴーン、ガガガガガ・・・」とハンマー奏法よろしく、ピアノを叩きまくっています。 
 
Fly_with_the_wind_2
 
タッチがとても強いピアノで、しかも疾走感も兼ね備えている。オーケストラの音に埋もれるどころか、オーケストラの音をバックにマッコイのピアノがクッキリ浮かび上がってくる様な雰囲気はなかなか圧巻です。

他の共演メンバーも好演していて、特に、フルートのヒューバート・ロウズは大活躍。この人、自らがリーダーのアルバムではフルートを吹きまくることはあまり無くて、なぜか、これといった代表盤はないんですが、このアルバムの様にサイドメンで入った時に素晴らしいソロを吹きまくることが多い。不思議なフルート奏者です。

リズム・セクションを担うビリー・コブハムのドラミングも絶好調。マシンガンの様に叩きまくる「千手観音的ドラミング」が心ゆくまで堪能できます。こうやって聴いていると、ビリー・コブハムって、フュージョンの申し子の様なドラムを叩くんですね。凄い迫力と凄いビートです。

そして、もう一人のリズム・セクションの担い手、ベースのロン・カーターも好演しています。この時代には珍しくロンのベースはピッチが合っていて、非常にメロディアス。しかも、ブンブン弦が震えるように鳴っていて、聴き応え十分。このアルバムでのロンのベースは聴きものです。

良いアルバムです。ストリングスがバックに入っているフュージョン的な演奏なので、硬派でベテランなジャズ者の方々は、もしかしたら眉をひそめるかもしれませんが、僕はこのアルバム、結構好きで、今でもちょくちょく聴きます。

マッコイのコンポーズ&アレンジ、そしてリーダシップについての高い能力についても十二分に確認することが出来て、マッコイ・タイナーの代表作の一枚としてもお勧めだと思います。

 
 

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2011年12月14日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・5

「こんなアルバムあったんや」シリーズの第5回目。今日は、ライオネル・ハンプトンのエンタテインメント性溢れるアルバムをご紹介する。

ライオネル・ハンプトン。スウィング・ジャズ時代の1930年頃にヴィブラフォンを初めてジャズ界に持ち込んだといわれる。ライオネル・ハンプトンは自らをエンターテイナーと称し、音楽は二の次と考えていた。
 
ビ・バップやハード・バップの複雑なコード進行には決して迎合しない、我が道を行くインプロビゼーションが潔い。しかし、逆に、インプロビゼーションにバリエーションは少ない。とにかく、音楽をアーティスティックなものと考えていない節が「ありあり」(笑)。

でも、彼の演奏は、パフォーマンスは聴いていて楽しい。ライブで見ることが出来たら、それこそ、さぞかし楽しいライブ・パフォーマンスだったに違いない。そんなハンプトンのエンターテイナーとしての楽しさを十二分に感じる事の出来るアルバムがある。『You Better Know It!!!』(写真左)である。

1964年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Lionel Hampton (vib), Clark Terry (tp), Ben Webster (ts), Hank Jones (p), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds)。 インパルス・レーベルからのリリース。いや〜、パーソネルを見渡すと、魅力あるベテラン・ジャズメンがズラリと並んでいる。壮観である。

このアルバムに詰まっている演奏を聴いていると、ライブ・ハウスでの演奏か、と思ってしまう位の「ライブ感」。とにかく、どの曲もどの曲も、メンバー皆、心から楽しんで演奏している。

You_better_know_it

ユーモアたっぷり、茶目っ気たっぷり。眉間にしわを寄せて聴く様な、難しいジャズでは無い。聴いていて、思わず口元が緩み、場面場面では思わず腹から笑ってしまう。そんな楽しいエンタテインメント。

ハンプトンはヴァイブだけでは無い。ボーカルも取っている。これがまた、渋くて上手い。ヴァイブだって余裕のある演奏が心地良い。クラーク・テリーのペットは暖かく、ハンク・ジョーンズのピアノは実に優雅。ベン・ウエブスターのテナーも悠々とした大らかさが実に良い。

こんなに楽しい、エンタテインメント優先のジャズ・アルバムがあったんですね。どうも、ジャズってアーティステックに攻めるアルバムが多くて、本来、ジャズが持つエンタテインメント性については、あんまり意識することが無いんですよね。
 
もともと、ジャズって、大衆音楽だった訳ですし、ダンス音楽でもあった訳です。そんな基本的なことを、ハンプトンはこのアルバムで思い出させてくれます。こんなアルバムがあったなんて。つい2年前までは知りませんでした。ジャズは奥が深いですね。

ラス前、8曲目「Swingle Jingle 」は、クリスマスソング「ジングル・ベル」をフィーチャーした作品。ミルト・ヒントンのベースとオージー・ジョンソンのドラムのスイング感が際立っていて、ついつい、身体全体で乗ってしまうくらいに、とにかく聴いていて楽しい演奏である。今のシーズンにピッタリです。

聴いていて充実感のある純ジャズや、内容充実で硬派なフュージョン・ジャズの間に、こんなエンタテインメント性溢れる楽しいジャズ盤が流れる。なんだか、想像しただけで心がすっかり和みます。良い感じですね〜。実は、最近、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、これをやって心を和ませています(笑)。

 
 

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2011年12月13日 (火曜日)

なんとも評価に困るアルバム

評価に困る新鋭ジャズ・ピアニスト。ハクエイ・キムがその一人。トリオ・ユニットのデビュー作『トライソニーク』(写真左)を初めて聴いた時の率直な感想です。

ハクエイ・キム。韓国人の父と日韓ハーフの母のもと、京都市に生まれる。最初はロックバンドのキーボーティスト。高校卒業後、オーストラリアへ渡り、シドニー大学音楽院に入学。オーストラリアを代表する名ピアニスト、マイク・ノックに師事。2009年にピアノ・トリオ・ユニット Trisonique(トライソニーク)を、杉本智和 (b) 、大槻“KALTA”英宣 (ds) と共に結成。

その「トライソニーク」のデビューアルバム。それまでのインディーズにてリリースされた、ハクエイ・キムのリーダー作を聴いたことは無いので何とも言えないが、このトリオ・ユニットのデビュー作『トライソニーク』は、なんともはや、評価に困るアルバムに仕上がっている。

確かに日本ではピアノ・トリオがうける。それは仕方が無いとして、この『トライソニーク』は、既に売れている、既に人気の高い、ジャズ・ピアニストの「いいとこ取り」をしているように聴こえる。とにかく、ピアノ・トリオとして、ピアニストとして、ベーシストとして、ドラマーとして、本人達の個性は全く見えず、他の同業者の個性とスタイルの「ごった煮」な内容になっているように感じる。
 
上原ひろみがいるわ、山中千尋がいるわ、平林牧子がいるわ、大西順子はいるわ、ブラッド・メルドーはいるわ、キース・ジャレットはいるわ、受けの良い「個性」のごった煮。
 
Trisonique
 
そして、超絶技巧なビ・バップ・ピアノで弾きまくったかと思えば、耽美的に印象派の様な響き豊かな情緒的な演奏をしたかと思えば、アブストラクトにフリーキーなアプローチをする。挙げ句の果てには、冗談の様な、アジアン・テイストなワールド・ミュージック系のアプローチをしてみたりもする。

何をしたいのか良く判らん。加えて、リーダーのハクエイ・キムの個性が全く見えない。判るのは、ピアノのテクニックだけは素晴らしいものがあるということだけ。しかし、その高いテクニックを同業者の個性のカバーにのみ費やしているのは実に勿体ない。これって、プロデュースの責任が大きい。しかし、その傍若無人で無茶苦茶なプロデュースに従うミュージシャン側にも問題がある。

演奏する側の、ミュージシャン本人達の個性が見えず、ミュージシャン本人達が何をしたいのかが良く判らないままに、他の同業者の個性とスタイルの「ごった煮」な演奏がアルバムにズラリと並ぶ、このアルバムは聴き通していて「つまらない」。ジャズって、演奏するミュージシャンの個性とスタイルを楽しむものであって、テクニックの優秀さを愛でるものでは無い。

なぜなら、一流のジャズメンという人達は、全て優れたテクニックを既に身につけているのだから・・・。テクニックの優秀さがとりわけ評価の対象になる訳では無い。優れたテクニックとは、一流のジャズメンにとっては「当たり前」のものである。

本人達の個性が見えず、本人達が何をしたいのかが良く判らないアルバムを聴き通すのは辛い。レコード会社は凄い凄いを連呼し、職業評論家はこぞってこのアルバムを絶賛するが、僕はどうしても好きになれない。

今回はかなり「辛口の評価」になったが、この『トライソニーク』は、売らんがためのプロデュース優先の「作られたジャズ盤」という印象が強い。トリオのメンバー達は、それぞれ、もう少し、ジャズメンとしての矜持について考え直して頂きたい。
 
 
 

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2011年12月12日 (月曜日)

「市原ひかりグループ」の最新作

市原ひかりは、日本の女性ジャズトランペット&フリューゲルホルン奏者。といって、女性だからといって軽くみてはいけない。彼女のトランペットはなかなかのものなのだ。

確かに肺活量からすると男性に負けるかもしれない。ハイノートなブロウも男性に負けるかもしれない。でも、トランペットを演奏する「総合力」を見ると、男性に引けを取らないどころか、女性ならではの特性がプラスになって、これがなかなか聴かせてくれるのだ。

そんな市原ひかりが、今年6月に新譜をリリースした。「市原ひかり」として6枚目、「市原ひかりグループ」として2枚目となる、市原ひかりグループ『UNITY』(写真左)。2011年2月の録音。ちなみにパーソネルは、市原ひかり (tp,flh), 浅井良将 (as), 堀秀彰 (p), 中林薫平(b), 安藤正則(ds)。

前作『MOVE ON』にて、市原ひかりグループ名義でリリース。そして、今回の『UNITY』も続いて、市原ひかりグループ名義。前作にも増して、アルバム名義の名前のとおり、グループサウンズ最優先の、充実したグループサウンズを追求したアルバムに仕上がっている。ジャケ写を見ても、グループサウンズ優先が感じてとれる。今回はメンバー全員が写ってます(笑)。

全曲オリジナル書き下ろし。市原ひかりは作曲&アレンジの才もあり、これもなかなかのものなのだ。今回はグループサウンズ最優先。メンバーそれぞれがソロで輝く様な曲作り、メンバーそれぞれの個性が輝くアレンジ。
 
Ichihara_g_unity
 
どの曲もどの曲も市原ひかりが丁寧に作曲し、丁寧にアレンジした、そんな感じがビンビンに伝わってくる曲が「てんこ盛り」である。しかし、今回のオリジナルは、バンドのメンバーそれぞれをしっかりと目立たせるような作りになっていて、メリハリとキャッチャーさに欠けるきらいがあるところが惜しい。

アルバム全体の雰囲気は、とにかく「クール」。ジャジーでグルーヴ感溢れる「かっこよさ」をとことん追求した演奏。ユニゾン&ハーモニーも格好良く、ソロの切り替えも小粋で格好良い。グループサウンズ最優先の、充実したグループサウンズが売りという、今回のアルバムのコンセプトがしっかりと伝わってくる。

惜しむらくは、グループサウンズ最優先であるが故、誰がリーダーなのか、誰のリーダー作なのかが良く判らなくなっていること。リーダーは当然、市原ひかりなのだが、今回のアルバムでは、市原ひかりのトランペットが前面に押し出てくることは無い。市原ひかりのトランペットが目立つことがあまりに少ない。グループのメンバー、それぞれが平等に前に出てきて、平等に目立つ。何となく決め手に欠けることは否めない。

しかし、アルバム全体の演奏の水準は高く、格好良いソロと洗練された全体の流れは、このアルバムの最大の「売り」である。グループのメンバー一体となって、これだけクールなサウンドを聴かせてくれているのだ。細かいことはもう言うまい。

このアルバムの内容は、時には、グループサウンズ最優先の、充実したグループサウンズを追求したアルバムがあっても良いのでは無いか、と思わせてくれる。このグループサウンズを更に充実し発展させた、そして、今回のアルバムでの課題をクリアした次作が楽しみです。

 
 

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2011年12月11日 (日曜日)

大変美しい皆既月食でした

昨晩は皆既月食でした。皆既月食とは、満月が地球の影に丸々スッポリ入る天文現象。始まりから終わりまで約3時間半の皆既月食を全国で観測できるのは、2000年7月16日以来、11年5カ月ぶりとのこと。

昨日は日中から快晴で、恐らく天気的には問題無いだろうと、いそいそと昼過ぎから準備を始めました。月食のスナップ写真を撮ろうと目論見、フィルム一眼時代の135mmの望遠レンズのデジタル一眼にアダプター経由でセット。デジタル一眼に135mmの望遠レンズをセットすると、フィルムの場合の200mm望遠レンズ相当のイメージになる。月食のスナップ撮影としては十分だろう。

天文は40年以上続いている趣味なので、皆既月食などは絶対に外せない。しかし、この10年ほどは、ゆっくりと定期的に夜空を見上げる余裕が無かったことに、最近、やっと気が付いた。転職とか、私的な面で、ややこしいことが色々あったので、心の余裕が無くなっていたんだろう。今回、入院している時に、本当に真面目につらつらと反省した。これだけ余裕が無くなれば、そりゃ〜病気にもなる。
 
Lunar_eclipse_20111210_224622
  
そういうことで、万感な想いを胸に、天文の趣味にしっかり返り咲くべく、時を待つ。皆既食の始まりは21時45分頃。満を持して、ルーフバルコニーへ。夕飯を食べた後、19時頃は晴天だったので安心していたのだが、さにあらず。夜空のど真ん中、天頂を中心に、南西から北東の方向に帯状の雲がたなびき、ちょ うど、月のある部分に南の空から川の流れのように雲が流れている。部分月食の状態の月は常に薄雲の中。酷い時は雲に隠され、月の姿が見えなくなる。おいお い勘弁してくれよ、とちょっとイライラ。

まあ、この雲の流れは、この地方特有の傾向ではあるので、じっと雲が無くなるのを待つしか無い。薄雲の通して、ボンヤリと浮かぶ月がどんどん欠けていくのが判る。そして、徐々に雲が切れ始めて、雲の切れ間、切れ間で部分食状態の月がハッキリ見て取れるようになる。ちょうど、8分ほど欠けた頃、なんとか写真にも綺麗に写るようになった(写真上・22時46分頃)。

そして、23時05分。いよいよ皆既月食の始まりである。そこは晴れ男の面目躍如。皆既月食が始まった途端に、雲が切れて晴れ渡り、ばっちりと皆既中の赤銅色の月がぽっかりと浮かび上がりました。ふふっ、昔からいざという時は晴れるのだ。天頂付近の夜空では、オリオン座と牡牛座に挟まれて、赤銅色の月がポッカリと浮かんでいる。幻想的な夜空。久し振りである。皆既月食の月はいつ見ても神秘的で美しい(写真下・23時07分頃)。
 
Lunar_eclipse_20111210_230736

しかし、皆既月食って、実に神秘的な光景だよなぁ〜。久し振りに感動した。いや〜晴れて良かった。しかも、病み上がりの身の上、このところの寒さが心配だったが、夜半前までは思っていたより寒くなかったので、良かった、良かった。しっかりと防寒服に身を固め、意外とぬくぬくと皆既月食を楽しむ事ができました。

振り返ってみて、この10年間ほど、心の余裕を完全に無くしていたことに気が付きました。これからは、余裕を持って、あまり細部にこだわることなく、天文の趣味と再び付き合っていこうと思いました。
 
今回の急な入院といい、今回の皆既月食といい、いろいろと思い直すチャンスがあって、入院は辛かったけど、もしかしたらラッキーだったのかも、とポジティヴに感じています。やっぱり、天文って良いです。

 
 

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2011年12月10日 (土曜日)

「う〜〜、スペクトラム!」の名盤

古代ローマの戦士を思わせる甲冑や北欧のバイキングをイメージした被りもの付きの「ど派手」なコスチュームを着用、ギター、ベース、トランペット、トロンボーンの5人が最前列に並び、演奏しながら振り付けを合わせて踊り、楽器をクルクル回すパフォーマンスが凄かった。

ファンキーかつR&Bなブラス・ロックを基調としたフュージョン・ジャズ。1979年から1981年まで活動した、ジャンル不詳のブラス中心のファンク・バンド。その名は「スペクトラム(Spectrum)」。ファーストアルバム『Spectrum』は衝撃的だった。日本にもこんなブラス・ファンク・バンドがあったんや〜、と嬉しくなった。

そんなスペクトラムのセカンド・アルバムが『オプティカル・サンライズ(Optical Sunrise)』(写真左)。ファーストアルバムでは垢抜けない部分があって、それはそれで魅力だったが、このセカンド・アルバムでは、スペクトラムの持つ「音の個性」、ファンキーかつR&Bなブラス・ロックを基調としたフュージョン・ジャズに磨きがかかり、演奏がシャープになって、スペクトラムの音がばっちりと完成している。

収録されている、どの曲も良い出来である。3曲目「侍S」は、スペクトラムを代表するインスト・ナンバー。4曲目の「イン・ザ・スペース」は、2枚目のシングルとして発売され、ヒットした。テクニクスのステレオ・コンポ『THE SPACE』のテレビCMに使用されて、なんだか誇らしかったのを覚えている(ファンとはそういうものさ・笑)。

Optical_sunrise

そして、5曲目の「ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN」は名曲・名演である。フリューゲル・ホーンの柔らかな音色と、曲間のミーチャンとメンバーの会話が凄く良い。曲のテンポもゆったりと歩くテンポで心地良く、ブラス・フュージョン・ポップスな雰囲気がほのぼのしていて、凄く心地良い。ちなみに、ミーチャンとは、当時の所属事務所アミューズの大里洋吉社長の娘とのこと(ファンとしては当時から知っていましたよ・笑)。

ちなみに、ラストの「サンライズ (Sunrise)」はイントロと間奏部分がスタン・ハンセンのテーマとして使用された曲である。このアルバムに収録されている曲って、リリース当時より今に至るまで、結構、TVやラジオでBGMやジングルとして使われているんですよね。はい。

ファンキーかつR&Bなブラス・ロックを基調としたフュージョン・ジャズ。切れ味抜群、情熱溢れる演奏は唯一無二。ジャンル不詳のコッテコテ&爽やかファンキーな個性の塊。1981年9月22日の武道館ライブを最後に解散してしまったが、スペクトラムの音は、今でも十二分に通用する。素晴らしい個性を持った、奇跡のようなバンドだった。

僕は、アルバムの中に隠し味の様に忍ばせる、スペクトラムのギャグセンスにも一目置いていた。「ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN」のエンディング部分。当時はアナログ処理。テープ操作で早送り。ヴォーカル・コーラスを高音化しつつ、アニメ的な「ミーチャン声」に変化して、最後に「う〜〜、スペクトラム!」と叫ぶところ。何度聴いても良い(笑)。お後がよろしいようで・・・。

 
 

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2011年12月 9日 (金曜日)

マイク・マイニエリを見直したぞ

マイク・マイニエリ(Mike Mainieri)はジャズ・ヴァイブ奏者。1938年7月生まれ。今年73歳になる。

70年代初頭には、ブレッカー兄弟やスティーヴ・ガッドらと共に、クロスオーバー&フュージョンの先駆けとなる演奏集団「ホワイト・エレファント」を主宰したり、NYの豪華なフュージョン系のセッション・プレーヤーを集めたソロ・アルバムをリリースしたり、1979年には、マイケル・ブレッカー、ドン・グロルニック、エディ・ゴメス、スティーヴ・ガッドと「ステップス」を結成したりで、1970年代を席巻したフュージョン・ムーブメントの陰の立役者と言われる。

その割には、唯一、1970年代のソロ・アルバム『ラヴ・プレイ』も、豪華なフュージョン系のセッション・プレーヤーを集めた割には「ちゃらちゃら」した内容だったし、「ホワイト・エレファント」はデモテープ的なセッション記録を残しただけで空中分解。「ステップス」はマイケルとガッドの人気に「おんぶにだっこ」と、あまりアーティストとして成果を残している訳では無い。

そんな「ちゃら男」的なマイク・マイニエリ。すっかり、その名前を忘れていた訳だが、5年ほど前、iTunes Storeを徘徊していて、マイク・マイニエリの、実に魅力的なアルバムに邂逅した。そのアルバムとは『Northern Lights』(写真左)。
 
Mainieri_northern_lights
 
「ちゃら男」的なマイク・マイニエリだけに、実はあまり内容に期待してはいなかったが、アルバム・ジャケットのマイニエリの似顔絵が素敵で、ついつい「ジャケ買い」した。が、これがまあ、なかなかの内容なのだ。うん、「ジャケ買い」成功である。

サイドメンにニルス・ペッター・モルヴェルなど、ノルウェーのミュージシャンを起用して、北欧ジャズ的な、透明感高く切れ味の良い、印象派の様な感性に訴えるクールな演奏が詰まっています。そのクールな雰囲気に、ヴァイブの静謐感溢れるクリスタルな音がピッタリとフィットします。実にクールな響きです。響きと言えば、このアルバム、効果的に少し深めのエコーの響きが実に「北欧的」。
 
3曲目のビョークの「I've Seen It All」のカバー演奏などは実に優れた内容です。北欧的な音の響きと展開が実にクール。そして、旋律を奏でるヴァイブの響きが、これまた実にクール。
 
このアルバム、硬派で誠実なコンテンポラリー・ジャズとして、マイニエリのフュージョン時代の「ちゃら男」的な、「ど〜せ、昔のフュージョンの人でしょ」的な、あまり良くない印象を一気に払拭する位の硬派な内容です。しかも、印象派の様な感性に訴えるクールな演奏で聴き易い。北欧ジャズ、はたまた、ECMレーベルの音がお気に入りのジャズ者の方には是非ともお勧めのアルバムです。
 
とっても寒い冬の日、どんより鉛色の雲の合間から陽射しが少し差し込んできて、ちょっとだけ心が和む昼下がり。静かな部屋の中で一人静かに聴くのにバッチリのマイク・マイニエリの『Northern Lights』です。特に、ヴァイブの音は寒い冬の空気にピッタリですね。
 
 
 

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2011年12月 8日 (木曜日)

あれから31年、ジョンの命日

今年も12月8日がやってきた。1980年12月8日、ジョン・レノンは凶弾に倒れた。享年40歳。

自宅アパートのダコタ・ハウスの前、マーク・チャップマンが暗闇から「レノン?」と呼び止めると同時に拳銃を両手で構え5発を発射、4発がレノンの胸、背中、腕に命中し、レノンは「撃たれた!(I'm shot!)」と2度叫びアパートの入り口に数歩進んで倒れた(Wikipediaより)。

この訃報は衝撃的だった。僕は大学3回生。多感な頃である。最初は何が起きたのか、理解出来なかった。テレビのアナウンサーが何を伝えているのか、理解出来なかった。ジョンが撃たれた。でも、ジョンは帰って来る。楽観的に思い込んでいた。
 

John_lennon_museum

 
次のニュースが入ってくる。ジョンが亡くなった。ジョンを失った。若き日の僕にとっての精神的支柱の一人であったジョン。そのジョンの存在がこの世から突然に消えたのだ。その喪失感はかなりのものがあった。

実は今でも、あの時味わった強烈な喪失感を引きずっている。12月8日になると、あの日の激しい喪失感をはっきりと思い出す。今までの人生を振り返って、最大の喪失感だった。僕は、ジョン・レノンを失った激しい喪失感を一生忘れないだろう。
 

John_lennon_museum2

 
しかし、今でもジョンの歌は、ジョンのメッセージは、様々な形で維持されている。僕たちはいまでもジョンのアルバムを、ジョンのメッセージを体感することができる。ジョンより13年も長生きすることになり、今では、ジョンのメッセージがしっかりと理解出来るまでになった。年齢は、人生経験は、重ねてみるものである。

そして、僕は、Wikipediaにあるこの一文を読んでは、目頭を熱くし、はらはらと涙を流すのだ。「オール・マイ・ラヴィング」は、ポールが主体で書いた曲の中で、初めてジョンが誉めた曲であった。

『レノンの死亡時に病院のタンノイ・スピーカーから流れていた曲はビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」だったという』

 
 

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2011年12月 7日 (水曜日)

今年のCDコレクションのハイライト

僕はチック・コリアが大のお気に入りである。そして、チック・コリアがスタンリー・クラークと結成した「Return To Forever」は大のお気に入りバンドである。

Return To Foreverのアルバムはほとんど所有しているが、どうしても一枚だけ入手出来ていないアルバムがあった。それは、発売当時LP4枚組、とにかく高額で手に入らない。そんな超弩級のLP4枚組ライブ盤『Live The Complete Concert』(写真左)。Return To Foreverの集大成として発表されたライブ盤です。

CDの時代になって、この『Live The Complete Concert』もリイシューされたんだが、LP4枚組がCD2枚組になっている。「あれっ?」と思った。CDの最長収録時間は、74分以上の収録時間が目安。と言うことは、CD2枚組ということは最長150分くらい。LPは両面で最長45分くらいだから、4枚組だと180分。どう考えたって、LP時代の演奏の全てがCD2枚に入らないんでは・・・。

この直感は正しくて、しっかりと調べてみたら、CD2枚組仕様では曲毎にかなり編集され、いくつかの曲がカットされている。しかし、LP時代、Side one(表面)からSide two(裏面)にまたがっていた為、「Endless Night」が曲の途中で、フェードアウト/インの処理がされている。が、このCD2枚組仕様では、この「Endless Night」がフェードアウト/インしないミックスになっている。でも、曲毎に細かい編集がなされ、演奏時間が短縮され、いくつかの曲がカットされているは問題である。これは絶対に手に入れてはいけない。

そうこうしている内に、1993年に日本限定発売で、CD3枚組仕様でリイシューされる。これは買わなきゃと思いつつ、遂に廃盤となり、買いそびれてしまった。かなり激しく後悔したんだが、CD2枚組仕様の思い出が蘇り、この日本限定のCD3枚組仕様のLP時代の再現性はどうなんだろうと調べてみたら、LPを再現するが如く、A面終わりのフェード・アウト及びB面開始のフェード・インが、ご丁寧にも忠実にCD化されている、とのこと。確かに「これぞ無意味な完全化」。この意見に激しく同意する。買いそびれてよかった、と胸をなで下ろす。
 
Rtf_live
 
しかし、『Live The Complete Concert』が手元に無い状態は続き、なんでLP時代の収録を忠実に再現しつつ、「Endless Night」がフェードアウト/インしないミックスでリイシューされないのだろう、とイライラは募っていく。しかし、今年、遂に、そのイライラは解消された。

Return To Foreverのコロムビア作品をまとめた5枚組ボックス盤(写真右)が発売され、このボックス盤の中に、『Live The Complete Concert』がCD3枚組仕様でリイシューされたのだ。なんと今回のリイシューはLP時代の収録曲を完全収録。そして「Endless Night」がフェードアウト/インしないミックスになっている。本CDで「連続した1曲」として聴けるようになった。「これぞ真の完全化」。この意見に激しく同意する。しかも、音質が良い。 即座に、このボックス盤をゲット。

内容はもう言うまでも無い。Return To Foreverの集大成として発表されたライブ盤として、超充実した内容で、Return To Foreverの音世界を心ゆくまで堪能出来ます。ホーンセクションを導入したアコースティックな響きをもつビッグバンドをバックに、チックのムーグやアープ・オデッセイのシンセが唸りを上げ、分厚く豊かな音世界を展開します。

クラークのベースもチックのバックではなぜか絶好調。チックのバックでこそ、その実力を発揮する不思議なベーシストです。ジョー・ファレルのサックスも好調、レニー・ホワイトに代わってドラムを担当したジェリー・ブラウンも大健闘。

ライブが行われた1977年当時は、メインストリーム・ジャズ復古の兆しが見え始めた頃で、このライブでも、何曲かメンストリーム・ジャズ的な演奏アプローチをしており、4ビートな純ジャズ的な演奏もあって、いやはや、流行に敏感なチックの面目躍如ですね(笑)。しかも、そのメインストリーム・ジャズ的な演奏の出来がなかなかのものなんで、これまたチックらしい(笑)。

目出度く、やっとのことで、『Live The Complete Concert』のCDリイシュー盤を入手した。今年のCDコレクションのハイライト的な出来事の筆頭だろう。とにかく嬉しい。
 
 
 

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2011年12月 6日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・24

1950年代、マイルスが名指しで共演を望んだとか、レッド・ガーランドに彼の様に弾けと言ったとか、なんだか、華々しい経歴の持ち主であるアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)。

「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。ビ・バップのピアノの真逆を行く、ハードバップ時代ならではの個性とアプローチ。

フロントを取れば、必要最低な音数で、シンプルに聴かせたいフレーズだけが浮かび上がる。バッキングに回れば、合いの手の様に入るブロックコードが、決して邪魔にならず、フロントに立った管楽器のフレーズを惹き立たせる。

1950年代、ハードバップ時代の先頭を走っていたマイルスにとっては、マイルスの演奏コンセプトにピッタリなピアニストであった。しかし、共演を望むも、ジャマルはこの帝王マイルスの申し出を断る。

後にその理由が判る。ジャマルは極度の飛行機恐怖症で、ニューヨークへ赴くために飛行機に乗るくらいなら、地元のシカゴのローカル・ピアニストで良い、と考えた。マイルスたっての申し入れも「飛行機の恐怖」には勝てなかったということか。

そんなマイルスの演奏コンセプトにピッタリなジャマルのピアノを愛でることが出来るアルバムが『But Not For Me』(写真左)。1958年1月16日、シカゴはThe Pershing Loungeでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal(p), Israel Crosby(b), Vernell Fournier(ds)。
 
Jamal_but_not_for_me
 
確かに、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴。なるほど、これがマイルスの演奏コンセプトにピッタリなピアノか、と感心する。でもなあ。なんだか繰り返し聴いていると、このジャマルのピアノ、ジャズ・ピアノというよりは、カクテル・ピアノの趣に近い。

1950年代後半、まだ、ジャズピアノは芸術の一環として聴かれることは無く、ライブのジャズピアノは、酒を飲むBGMとして、カクテル・ピアノっぽく扱われていた時代。酒を飲むBGMとしては、必要最低な音数で、シンプルに聴かせたいフレーズだけが浮かび上がる弾き方は必須ではなかったか。酒を飲むのに邪魔にならず、雰囲気を盛り立てるピアノ。

僕は、ジャマルの「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードは、ラウンジで酒を飲むBGMとして、商売として、日銭を稼ぐための術ではなかったか、と思っている。

まあ、マイルスの感じ方はそうでは無く、マイルスは純粋に「芸術としてのジャズ」として、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入るブロックコードを活かそうと考えたようなんだが・・・。

動機はともあれ、ジャマルの様にピアノを弾くジャズ・ピアニストは他にはいなかったのは事実。喧噪の様な、早弾きフレーズの洪水の様なビ・バップのピアノの真逆を行く、弾く音を限りなく厳選した、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコード。そして、バックのベーシストとドラマーは無名ではあるが、堅実なバッキングを貫き通す。

これがジャマルのピアノ・スタイルとは言い切れないところが悩ましいところですが、マイルスが指摘した好ましい個性は、このアルバムで十分に堪能できます。カクテル・ピアノっぽいですが、良いピアノ・トリオ盤だと思います。

 
 

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2011年12月 5日 (月曜日)

このライブ盤の音に違和感・・・

ジャケット写真の雰囲気良し。珍しいナベサダさんのストレート・アヘッドな純ジャズ中心のライブ。しかも、岩手県一関の伝説のジャズ喫茶「ベイシー」でのクラブ・ギグ。ついつい思わず、ジャケ買い&衝動買い。

そんな素敵なライブ盤2枚組。渡辺貞夫『Basie's at Night』(写真左)。2007年4月17日の録音。ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as) , 小野塚晃(p) , 納 浩一(b) , 石川雅春(ds) , ンジャセ・ニャン(per)。

内容的には、さすがナベサダさん、というもの。ビバップあり、ボサノバあり、カリプソあり、バラードあり。ナベサダさんのアルトは、それはそれは良い音で鳴る。そして、ビ・バップ仕込みのアドリブの凄さ。年期の入った円熟の極みの様な豊穣なフレーズ。どこから聴いても「ナベサダさんの音」である。とにかく、このライブ盤でのナベサダさんは絶好調。

しかしながら、主役のナベサダさんのアルトが相当に充実している分、バックのリズム・セクションは「かすみがち」。堅実ではあるが、「これは」とハッとするような瞬間はあまり無い。堅実で真面目で地道ではあるんですが、大人しい優等生的な、何か一味足らない雰囲気なんですよね。う〜ん、不完全燃焼というか、なんか隔靴掻痒な感のあるリズム・セクション。ちょっとだけ「いらっ」とする。残念です。
 

Basies_at_night

 
加えて、僕は、このライブ盤の録音の「音」にどうしても違和感を感じてしまう。何度聴いても、この違和感は払拭されない。このライブ盤の録音を絶賛しているジャズ者の方々もいらっしゃるんで、う〜ん、好みの問題なんでしょうね。

この「ベイシー」でのライブの音は完璧なデッド。楽器の分離も良い。楽器の配置やそれぞれの位置関係判る位、「ベイシー」の空間を感じる事のできる秀逸な録音。とにかく、精一杯頑張った録音であることは良く判る。

ではあるが、なんだか、僕は違和感を感じる。「臨場感」「解像度」「ダイナミックレンジ」「空間の表現」の4つを欲張って詰め込んで録音した様な、この4つの要素が上手く折り合わないというか、狙いが良く判らないというか、どっちつかずな音に感じてしまう。楽器のバランスも、空間の表現を重んじるあまり、ナベサダさんのアルトだけが目立つ。う〜ん、この録音は僕はどうしても好きになれない。

選曲も良いし、この録音の「音」の問題だけが僕にとっては「鬼門」。ナベサダさんも絶好調なんですが、どうしてもこのライブ盤は「ヘビロテ」にはなりませんでした。アルバム・コレクターをやっていると、たまにこんな「残念な事態」が起こります。う〜ん、残念やなあ。  

 
 

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2011年12月 4日 (日曜日)

ECMレーベルのカタログ本

ECMはジャズのレーベルでもあり、古楽や現代音楽のレーベルでもある。創立者はマンフレート・アイヒャー。彼はジャズ、クラシックにおいてコントラバスの奏者でもあり、グラモフォンでの録音技師の経験もある青年であった。

そんな自分の演奏家としての素養と録音技術の経験を基に、自らが感じ、選んだ「今日的」な音楽を記録し、世に問うべく、自らのレーベルを1969年に立ち上げる。そのレーベルの名は「ECM(Edition of Contemporary Music)」。

拠点はノルウェーのオスロ。北欧ジャズの拠点でもある。ECMレーベルは、ジャズについては「典型的な欧州ジャズ」を旨とする。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。
 
極力、電化サウンドを排除し、アコースティックな表現を基本とし、限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音をベースに、とりわけ、1970年代を中心に、ECMのレーベル・イメージを確立した。
 
この"the most beautiful sound next to silence" この「沈黙に次いで最も美しい音」を基本とするECMレーベルの「音の統一感」は、"produced by Manfred Eicher" のクレジットの下に徹底されている。現代芸術的な統一感溢れるアルバム・ジャケットのアートワークを含め、ドイツ人らしい徹底的に「統一感」に拘った仕事には、まさに欧州の、ゲルマン民族の心意気を感じる。

Ecm_catalog

そういう意味で、米国のブルーノート・レーベルの「統一感」に勝るとも劣らない、芸術という観点でのレーベル運営をECMに感じることが出来る。アイヒャーの監修・判断による、アイヒャー独裁による強烈な「美意識」。

そんなECMレーベルのアルバム情報を集約した「カタログ本」が、昨年に発刊されていた。先日、リハビリがてらの散歩の合間に立ち寄った本屋で偶然見つけた。

そのタイトルはズバリ『ECM catalog』(稲岡 邦彌 編・東京キララ社・写真左)。ECMレーベルからリリースされた約1000タイトルそれぞれの収録曲や制作スタッフ等の完全データ、およびディスク・ガイドをカタログ番号順に紹介。ジャケットはデザイン違いも含め、カラーにて一挙掲載という優れもの。

値段も張るし(4,200円!)、アルバムのカタログ情報のみの情報本なので、内容が「ECM物語」なんていう読み物にはなっていません。ジャズ者マニアの方々が中心で、一般のジャズ者の方々にはお勧めできる本ではないかもしれません。でも、昔からECMのアルバムを聴き込んできたというジャズ者の方々には、十分に楽しめる内容では無いでしょうか。

内容も丁寧で関係者の方々の気持ちが伝わってくるようです。いや〜、こんなカタログ本が欲しかったんですよね。しかも、最近、かなり気になっているECMレーベル。神のお告げのような、『ECM catalog』との出会いでした。

 
 

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2011年12月 3日 (土曜日)

「100万$ナイト」ライヴ盤に想う

入院している時、病床にあって、いろいろと思いを巡らした。今までの生活、仕事の考え方をシビアに見直すことにもなった。そして、遠く学生時代にも想いが及び、あの頃は色々とあったけど、今と比べれば、大した悩みじゃなかったよなあ、なんて感慨にふけったりもした。

そんな遠く感慨にふけるなかで、なぜか「甲斐バンド」の名前が浮かんだ。人間、体力的に危機的状況になると、古き良き時代の、ノスタルジックな思い出に填まるのかもしれない。とにかく、甲斐バンドが聴きたいのだ。

退院して、甲斐バンドの音源を探す。オリジナルアルバムはほぼ所有しているのだが、スタジオ録音盤では駄目で、やはり、ここ一発、甲斐バンドを聴くのであれば「ライブ音源」だろう。

そう言えば、大学時代、甲斐バンドの大のお気に入りのライブ音源と言えば、1979年9月2日、NHKホールでのライブの模様を収録し、9月15日にFMでオンエアされたライブ音源が大のお気に入りだった。しっかり、上等のカセットでエアチェックし、別のカセットにダビングして大事に聴いていた。あのカセットの音源、どこにやってしまったのか。今でも、この音源はアルバム化されていない。NHKさん、なんとかしてくれないかなあ。 
 
とにかく、ライブ演奏としてのノリが抜群。ちょうど「HERO 〜ヒーローになる時、それは今」が大ヒットした後のライブなので、とにかくバンドとしての勢いが違う。しかも、このNHKホールでのライブは、演奏の精度も抜群なのだ。甲斐さんのボーカルも良い出来で、選曲、曲の並びも含めて、つまりは何から何まで良く出来たライブ音源なのだ。どこにいったのかなあ。
 
Million_dollars_night
 
仕方が無いので、そのNHKホールでのライブと同じ時期で、同じ雰囲気、同じ内容を持ったライブ盤『100万$ナイト–武道館ライヴ』(写真左)を選択。一気に聴き終える。いや〜、良いライブ音源やなあ。NHKホールでのライブと比べて、ノリとスピードは若干劣るが、正式なライブ盤としては秀逸の出来だろう。
 
NHKホールでのライブは、冒頭の「きんぽうげ〜テレフォン・ノイローゼ〜シネマ・クラブ〜裏切りの街角」の流れとノリが凄い。特に「シネマ・クラブ」の存在が素晴らしい。今でもこの曲は大好きだ。「裏切りの街角」が入っているのも憎い配慮だ。
 
ちなみに、『100万$ナイト–武道館ライヴ』の冒頭の流れは、「きんぽうげ〜感触(タッチ)〜テレフォン・ノイローゼ〜シネマ・クラブ」とくる。「裏切りの街角」に代わって「感触(タッチ)」が入っているが、「きんぽうげ」と「テレフォン・ノイローゼ」の間に入っているのはいただけない。「「きんぽうげ〜テレフォン・ノイローゼ」の流れのノリと疾走感が素晴らしいんだが・・・。それでも「シネマ・クラブ」はしっかりと収録され、出来も良いので「良し」とする。
 
この『100万$ナイト–武道館ライヴ』を聴きながら、一瞬、ノスタルジックな想いに身を任せる。ノスタルジックな思い出は「明日への活力」にはならないが、古き良き時代の、内容のあるライブ音源は心に響く。内容ある音楽は「明日への活力」の蓄積の一助となる。
 
甲斐バンドの、ライブバンドとしての良さをふんだんに詰め込んだ、甲斐バンドの力量を推し量れる、良い出来のライブ盤だと思います。これだけのノリとスピードを維持しつつ、判り易くシンプルな演奏を全編に渡って継続するライブバンドって、今でもなかなか無いですよ。この時代の甲斐バンドを安く見てはいけません(笑)。 
 
 
 

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2011年12月 2日 (金曜日)

クールな響きのオルガン・ジャズ

従来、オルガン・ジャズは「コテコテ」である。1950年代後半、オルガン・ジャズの祖、ジミー・スミスが出現してから1980年代に至るまで、基本的にコッテコテのファンキーな雰囲気が溢れんばかりの演奏が身上のアルバムが多い。

しかし、最近になって、このコッテコテな「どファンキー」路線とは正反対の、耳当たりが良く、クールな響きを身上とする、それでいてそこはかとなくファンキーさがほのかに漂うオルガン・ジャズのアルバムがリリースされるようになってきた。

今回、新譜として聴いた、Deep Blue Organ Trioの最新作『Wonderful!』(写真左)などは、そんな、耳当たりが良く、クールな響きを身上とする、それでいてそこはかとなくファンキーさがほのかに漂うオルガン・ジャズの部類にあたる。Deep Blue Organ Trioとは、2004年から活動するハモンドオルガン・ギター・ドラムストリオ編成によるバンド。ちなみにパーソネルは、Chris Foreman (org・写真右), Bobby Bloom (g), Greg Rickingham (ds)。オーソドックスな編成である。

しかし、この最新作『Wonderful!』は、とにかく演奏全体の雰囲気としては、耳当たりが良く、クールな響きが中心。決して、ファンキーさが耳につかない。といって、じゃあ軽音楽的な軽さかと言えば、そうでは無く、しっかりと伝統的なオルガン・ジャズしているところは好感の持てるところ。

Dbot_wonderful

これだけ、耳当たりが良く、クールな響きが中心な演奏であれば、演奏する曲もしっかり選ばなければ、アルバム全体の印象が散漫になる。そこは百も承知とばかり、このDeep Blue Organ Trioの最新作のアルバム全体の選曲を見渡すと、いや〜「さすが」と感心してしまう。

今やR&Bの大御所、スティービー・ワンダーの名曲を趣味の良いアレンジでカバーした「スティービー・ワンダーの名曲カバー集」なのだ。アルバムの選曲を見渡すと、なかなか良い選曲をしているなあと感心する。この選曲だとどの曲もメロディーが印象的で、スティービー・ワンダーの曲を知らない世代でも十分に楽しめる。

演奏としても、トリオを構成するそれぞれのメンバーが健闘しており、フォアマンのハモンドオルガンの活躍のみならず、終始安定してリズム線をキープするロッキンガムのドラム、オルガンのバックで、おきまりの裏旋律を取るブルームのギター、3者それぞれの演奏が秀逸。特に、ロッキンガムのドラムは演奏全体の「趣味の良いノリ」と「そこはかとないファンキーさの表現」に貢献している。

耳当たりが良く、クールな響きが中心なオルガン・ジャズなので、聴き流し、ながら聴きに最適。とりあえず、何か流しておこうか、という時に「つい手が伸びる」、小気味の良いオルガン・ジャズ盤です。

 
 

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2011年12月 1日 (木曜日)

頭で考えたフリー・ジャズ

せっかくの自宅療養だったので、なかなか、普段に聴くことが出来ないアルバムを聴こうと思い立った。さて、普段、なかなか聴くことが出来ない盤とは如何なるものか・・・。

入院して以来、具合の悪い時期を経て、なんとか快方に向かい始めた時、入院する前に何をしていたのか、ごっそりと記憶がおぼろげになっていたのにはビックリした。仕事関係の人の名前もごっそりと忘れているのにも閉口した。俺って何してたんやっけ・・・?。

そう言えば、ジョン・コルトレーンのリーダー作の聴き直しが佳境に差し掛かり、いよいよコルトレーンの晩年、インパルス時代の最大の山場を迎えていたのを思い出した。そう、入院直前に聴き始めていたアルバムが『Ascension(アセンション)』(写真左)。コルトレーンのリーダー作の中で最大の「問題作」とされている盤である。

ジャズを聴き始めた頃、ジャズ盤紹介本には、こぞって「この盤は初心者は聴いてはならない」とか、「これは問題作ではあるが傑作ではない」とか、「コルトレーンのマニアだけが聴けば良い」とか、「これは最早ジャズではない」とか、なんだか「おどろおどろしい」評価が蔓延していた。でも、そこまで「おどろおどろしい」のであれば、かえって聴きたくなるのが人情ではありませんか(笑)。

ジャズ者初心者の頃、コッソリと例の「秘密の喫茶店」で聴かせて貰った。いや〜、これがフリー・ジャズだと感心しました。が、聴き進めるに従って、聴くのに苦痛では無いんですが、なにか演奏全体にぎこちなさが蔓延しているみたいで、フリー・ジャズを演奏していながら、なんだか意外と自由がきかない風の演奏を聴いていて、これってほんまにフリー・ジャズなの、って訝しく感じたのを覚えています。

さて、今の耳で聴いてみると、これは「頭で考えたフリー・ジャズ」だと感じました。本能のおもむくままに演奏するのが「フリー・ジャズ」だと曲解されることが多いですが、そんなことしたら「音楽」として成立しない可能性があります。本能のおもむくままではなく、ある一定の最低限の取り決めのみをしっかり意識して、その取り決めを意識している範囲内では好きに演奏しても良い、というのがフリー・ジャズだと僕は思います。
 

Jc_ascention_2

 
この『Ascension』も資料によると、コルトレーンの手によるラフな楽譜的なスケッチがあったそうで、そういう意味では、純粋なフリー・ジャズとは言えないでしょう。まあ、総勢11人による演奏ですから、フリー・ブローイングが前提とは言え、何かしらしっかりとしたベースが無いと、なかなか演奏としては成立しないでしょう。

それぞれのソロの演奏も、とりわけフリーキーなブローイング、アブストラクトなブローイングをする必要も無いフレーズが多々出てきますが、とにかくこのアルバム、フリー・ジャズを前提とした演奏が主目的なので、ソロイストはこぞってわざわざリーキーなブローイング、アブストラクトなブローイングを意識して演奏しています。「頭で考えながら演奏している」ということが雰囲気で良く判ります。コルトレーンの意図することがかなり抽象的だったのでしょうか。ソロイストは皆、考えながら、自らの演奏を咀嚼しながらブローを続けています。

意外と「作られた感」のあるフリー・ブローイング集です。底に漂う「構築美」がこのアルバムの演奏の「ミソ」だと思います。この「構築美」を感じ取るか感じ取れないか、でこのアルバムに対する評価は分かれると思います。ちなみに僕は、このアルバムには、「これは最早ジャズでは無い」等という違和感は感じませんでした。ただ、ジャズ者の皆さんが「マストアイテム」として捉える盤では無いでしょう。

確かに「コルトレーンのマニアだけが聴けば良い」とは的を射た評価でしょう。このアルバムには、コルトレーンの「フリー・ジャズ感」とコルトレーンの「フリー・ジャズに対する限界」が見え隠れします。コルトレーンのマニアの方々には必須。そうでなければ敢えてこの盤に耳を傾けなくても、フリー・ジャズを体感できる優秀盤は他に沢山あります。「フリー・ジャズと言えばこれ(コルトレーンのアセンション)」という評価は当たらないでしょう。

ちなみにCDでは「エディション2」と「エディション1」の両方を聴くことが出来ます。最初は「エディション1」でリリースされたそうですが、ほどなく、コルトレーン自らの発案により「エディション2」に差し替えられ、LP時代、『アセンション』と言えば「エディション2」でした。どちらも甲乙付けがたい演奏ではありますが、「エディション2」の方が各メンバーの戸惑い度合いが軽いかな、と思います。「ええぃ、やっちまえ〜」という開き直り度が「エディション2」の方が高いってことでしょうか・・・。

最後に録音データを。パーソネルを列挙すると、Freddie Hubbard, Dewey Johnson (tp) Marion Brown, John Tchicai (as) John Coltrane, Pharoah Sanders, Archie Shepp (ts) McCoy Tyner (p) Art Davis, Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (ds) の総勢11名。Rudy Van Gelder Studioでの1965年6月の録音。今から46年前の出来事になります。 

 
 

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