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2011年12月19日 (月曜日)

パット・メセニーの「Cool Side」

パット・メセニー(Pat Metheny)の音楽性の特徴は、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気。ギターの音色は、ジム・ホールをお手本とするシンプルで豊かな表情のシングルトーン。そして、逆に、オーネット・コールマンを敬愛する「アブストラクトでフリーな」音楽性を併せ持つ。

アフリカン・アメリカン・ネイティブなファンキーでアーシーで粘りのあるリズム&ビートを排除し、クールで響きが豊かで、シンプルかつデジタルチックなリズム&ビートを基本とする。アフリカン・アメリカンが生んだジャズとは対極にある、ミズーリ州出身の米国人が創造したジャズ。

そんなパット・メセニーの「クールな一面」が前面に出た、実にお洒落で実に粋なアルバムがある。そのタイトルは『Offramp』(写真左)。1982年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Lyle Mays (p,syn), Steve Rodby (b), Dan Gottlieb (ds), Nana Vasconcelos (per)。

このアルバムの前にリリースされたリーダー作が『American Garage』。このアルバムは躍動感溢れる、ポジティブな演奏が楽しめる。どの曲も実に「Warm」で爽快感抜群。僕は、この『American Garage』を、パット・メセニーの「Warm Side」と呼んでいる。

ちなみに、この『Offramp』は、前作『American Garage』に相対する、パット・メセニーの「Cool Side」と呼んでいる。一日の時間帯で言うと、『American Garage』は、朝日輝く朝から、光降り注ぐ昼下がりまで。この『Offramp』は、空が茜色に染まる黄昏時から、アーバンな夜の雰囲気、そして真夜中の静寂。
 
Pat_offramp
 
冒頭の「Barcarole」と5曲目の「Offramp」の、ギターシンセを使ったアナーキーでアブストラクトでフリーキーな演奏に度肝を抜かれる。パットのハードな面を垣間見た気持ちになる。実にハードでフリーキーなパット。この2曲の存在は、それまでのパットの印象をガラッと覆すだけのインパクトを与えてくれる。

そして、2曲目の「Are You Going With Me?(ついておいで)」がクール。前奏の刻むようなギターのリフがとにかくクール。そして、実に都会的で洗練されていてシンプル。グループが一体となって奏でるリフは決して単調では無い。グッと熱気を内に秘めた「静かなるリフ」。そのリフをバックに、幻想的なシンセ系の音で盛り上がる。実にプログレッシブな音の響き。

3.曲目の「Au Lait」の静謐感溢れるクールな響きは実にアーバン。この静かでクールな「夜」の響きがこのアルバムの特徴。続く「Eighteen」もネイチャーでフォーキーな響きも見え隠れするが、バックのリズム&ビートは洗練されていて実に都会的。AOR的な音の響きは耳に心地良い。そして、6曲目、ジェイムス・テイラーをイメージして作ったという名曲「James」も、爽快感あふれるアーバンチックな響きがとてもクール。

良いアルバムです。この『Offramp』は、前作『American Garage』に相対する、パット・メセニーの「Cool Side」。米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気も良いが、この『Offramp』のアーバンでクールな音世界は実に魅力的。

パットの音楽性の幅の拡がりを十分に感じさせてくれる名盤でしょう。ECMレーベルならではの、クールなデザインのジャケットも良いですね。しかし、このアルバムで聴かれるパットのアナーキーでアブストラクトでフリーキーな演奏には度肝を抜かれます。ご注意を(笑)。
 
 
 

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コメント

初めまして。いつも楽しみに閲覧させてもらっています。本CDは大好きで、パットの作品でも一番好きです。今年Down to the Bone というバンド知ったのですが、実はこのOfframpの世界求めてでした!

billevanzさん、こんにちは。松和のマスターです。
 
コメントありがとうございます。Down to the Boneというバンドは
聴いたことがありません。一度、聴いてみたいと思います。
 
それから、billevanzさん、なかなか魅力的なブログを運営されて
いますね〜。これから定期購読させて頂きますね。
 

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