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2011年12月28日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・31

「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの第31回目になる。さて、長年ジャズを聴いていると、昔の感じ方と今の感じ方が違っていて、昔、あまり好きでは無かったアルバムが、今では大のお気に入りになっていたりする。不思議なものである。

アート・テイタム(Art Tatum)。1909年生まれ、1956年11月没。ジャズ・ピアノの「神様」である。ベン・ウェブスター(Ben Webster)。テイタムと同じ1909年生まれ。オールド・スタイルではあるが、サックスをサックスらしく吹き上げる、スウィング時代の三大テナーと称されたテナーマンである。

この2人が共演して録音したアルバムがある。『Art Tatum / Ben Webster Quartet』(写真左)。1956年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Tatum (p), Ben Webster (ts), Red Callender (b), Bill Douglass (ds)。

1956年の録音なので、2人とも40代後半という円熟味を備えた年齢を迎えていたことになります。アート・テイタムにとっては、1956年11月没なので、このアルバムは、亡くなる2ヶ月前の作品である。1956年と言えば、ジャズ界はハードバップの時代。テイタムもウエブスターもスイング時代がメインではあるが、演奏の雰囲気はハードバップを踏襲している。

このアルバムがである。それはそれは素晴らしい内容なのだ。ミッドテンポからスローテンポなスタンダード曲をズラリと並べ、ゆったりと余裕のある、しみじみと味わいのあるカルテット演奏を繰り広げる。
 
どの曲もどの曲も珠玉の逸品。演奏の雰囲気はハードバップとは言え、テイタムとウエブスターの演奏スタイルは、スイング・ジャズがメインで、ビ・バップのスタイルがそこはかと無く混じる。
 
Tatum_webster
 
ミッドテンポからスローテンポの演奏ばかりなので、速弾きの演奏ではちょっとやかましい位のテイタムのピアノが、メリハリ良く、耳に心地良く響く。そして、オールド・スタイルのウエブスターのテナーが、ビブラートを効果的にかましながら、ボボボボズズ〜、ブブブウゥゥと艶やかに官能的に鳴り響く。

テイタムのピアノは絶好調。スイング・ピアノ、ブギウギ・ピアノというオールド・スタイルなジャズ・ピアノをメインにしながらの、目眩く指の捌きとその超絶技巧なテクニックは、通常のビ・バップな演奏を越える内容を誇る。ミッドテンポからスローテンポなスタンダード曲の演奏が全てだからこそ判る「テイタムのピアノの凄さ」。

遙か昔、若かりし頃、まだ僕がジャズ者初心者だった頃、このウエブスターの艶やかで官能的なテナーがどうしても苦手で、ステレオのボリュームを上げて聴くことが出来なかった。テナーの音って、ちょっとエロティックな響きがある。このエロティックな響きが、ウエブスターのオールド・スタイルな奏法で増幅されるのだ。どうしても「照れ」が入って苦手だった。

が、何時の頃からか、40歳を過ぎた辺りだろうか。この艶やかで官能的でエロティックなウエブスターのテナーが全く気にならなくなったどころか、これはこれで実に味のあるテナーだと思うようになった。180度、嗜好の転換である。

テイタムのピアノについても再認識。ミッドテンポからスローテンポなテイタムのピアノ演奏は、確実に「ジャズ・ピアノの祖」バド・パウエルを凌駕する瞬間があることを理解するようになった。ジャズ・ピアノのスタイルの中で、どのスタイルにも属さない「孤高のスタイル」の持ち主であるテイタムのピアノに、じっくりと耳を傾けることが出来る様になった。

これぞジャズ、と言い切って良い位、伸び伸びゆったりとした演奏が魅力的。テイタムもウエブスターも貫禄に溢れた余裕の演奏を繰り広げており、モダンジャズの持つ魅力を存分に発揮していると思います。このアルバム、聴き始めたら、最後までジックリと聴き込んでしまう。ジャズ喫茶で時々引っ張り出しては繰り返し聴きたい、永遠の名盤の一枚であります。
 
 
 

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Fight_3

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