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2011年10月 6日 (木曜日)

スティーブ・ジョブズ逝去(悲)

今日、スティーブ・ジョブズが逝去した。米アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ会長が5日、逝去した。

なんて急な訃報だろうか。ティム・クックに後継を託したのは、まだ1ヶ月ほど前の8月の終わりだったやないか。なんて急な訃報なんだろう。

僕はそうそう、人を尊敬するタイプでは無い。「父親を尊敬する」なんて公言する奴は軽蔑するタイプだ。特に経営者に対して「尊敬の念」を抱くことは希である。そんな僕の数少ない、心から尊敬する経営者の一人、イノベーターの一人が「スティーブ・ジョブズ」だった。

悲しい。ショックだ。とてもショックだ。享年56歳。自分とは3歳しか離れていない。僕にとっては、心から尊敬できる、兄貴の様な存在だった。

15年前。業界でイノベーションと言われる「歴史に残る仕事」をさせて頂いた経験がある。業界で、世界で、例の無い製品を世に出す。僕は「ジョブズ」にあやかった。ジョブスのイズムを自らの仕事に反映した。技術者の連中は奮起してくれた。仲間は奮起してくれた。今までに無い、幾つかのイノベートな製品を世に出した。ジョブズのお陰である。

ジョブズの仕事で一番たまげたのは「iMac」。これは凄いと思った。パーソナル・コンピュータの概念が変わると確信した。それから、ジョブズの「One More Thing」に驚き続けることになる、狂喜乱舞し続けることになる。感心し続けることになる。
 
Jobs
 
僕はプライベートではMacユーザーである。初めて、Macintosh に触れたのは、1991年10月。Macintosh Classicだったと記憶している。スタートボタンを押して、キーCの和音が鳴り響く。まず、これで「驚く」。そして、画面に広がる「広大なデスクトップ」。それからどうして良いか判らなかった。そして叫んだ。「お〜い、コマンドどっから入れるねん」(笑)。

アップルが潰れかかった頃もあった。しかし、ジョブズが戻って来て、アップルは生き返った。ジョブズは、確かにあくどいこともした。でも、イノベーションは、会社の再生は、組織の立て直しは、正義感だけでは成立しないことを僕は身を持って知っている。後で振り返って、正義に繋がる「あくどい仕業」は、歴史に残るイノベーションには、会社の再生には、組織の立て直しには、必要不可欠なものなのだ。

僕はジョブズのプレゼンが大好きだった。僕はジョブズの笑顔が大好きだった。僕はジョブズのファッションが大好きだった。僕はジョブズの怒りが大好きだった。僕はジョブズの振る舞いが大好きだった。こう書いている間にも、涙が滲み出てくる思いである。

この歳になって、数少ない「尊敬する人」を失った。悲しい。兄貴の様な存在だっただけにショックは大きい。でも、ジョブズの残してくれたものは、それはそれは数え切れない程、沢山ある。それを考えると、悲しみよりも感謝の念の方が先に立つ。そして、30年来の友人で、経営者としては最大のライバルであったビル・ゲイツの追悼の声明に僕は限りない共感を覚える。

”For those of us lucky enough to get to work with him, it’s been an insanely great honor. I will miss Steve immensely.” (By Bill Gates)。

そして、最後に僕は彼にこう言いたい。

「ありがとう、ジョブズ。貴方と共有出来た時間はとても素晴らしいものだった」。 

 
 

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Fight_3

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