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2011年10月18日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・23

アート・テイタム(Art Tatum)。1909年生まれ、1956年11月没。ジャズ・ピアノの「神様」である。

そのテクニックたるや、超絶技巧という言葉がピッタリの凄まじいもの。アート・テイタムのピアニストとしてのずば抜けた才能とテクニックは、ジャズ・ピアノの可能性を大きく押し広げた。驚異的なテクニックはソロ・ピアノで顕著。グループ・サウンズでは、驚異的なテクニックを押さえつつ、余裕を持ったインプロが素晴らしい。とにかく凄い。「神」と呼ばれる所以である。

そのグループ・サウンズのフォーマットで、テイタムの素晴らしいテクニックを堪能出来るアルバムが『Art Tatum Trio』(写真左)。1956年1月の録音。鬼籍に入る10ヶ月前の録音。ちなみにパーソネルは、Art Tatum (p)、Red Calender (b)、Jo Jones (ds)。このピアノ・トリオ盤は、是非とも「ピアノ・トリオの代表的名盤」で採り上げたかった。

1956年のジャズ界は、ハード・バップ期の真っ只中。このアート・テイタムのトリオ盤も、テイタムが全面に出て、バックのドラムとベースはリズム・キープ中心という、所謂、ハード・バップ以前の「ビ・バップ」の演奏フォーマットを踏襲している。が、演奏自体は、テクニックをひけらかすような「弾きまくり」中心のビ・バップな演奏スタイルでは無く、演奏自体を、アレンジとテクニックを駆使して、十二分に聴かせるハード・バップな演奏スタイルである。

テイタムのトリオ・フォーマットでのピアノは、「神」と呼ばれるほどのテクニックを自重して、ベースとドラムのビートにしっかりと乗った、所謂、演奏全体のバランスを取りつつ、インプロビゼーションを聴かせるという、排気量の大きいスポーツカーが速度を落として「悠然」と走り抜けていくような、凄みすら感じる「余裕」ある演奏。
 
Art_tatum_trio
 
冒頭の「Just One Of Those Things」を聴くと、それが良く判る。結構、ハイテンポな曲であるが、テイタムは決して「弾きまくらない」。グッと腰を落とした感じで、悠然と高速パッセージを弾き綴る。凄い超絶技巧なテクニックなんだが、決して耳障りにならない。「余裕」の凄み。

2曲目「More Than You Know」、3曲目「Some Other Spring」、4曲目「If 」のスローなバラード・ナンバーは、打って変わって、その超絶技巧なテクニックを駆使して、それはそれは美しいピアノ・インプロビゼーションを繰り広げてくれる。しかも、そのインプロビゼーションの展開、フレーズの多彩なこと。止めども無く湧き出る、とはこのこと。

5曲目「Blue Lou」で、超絶技巧、電光石火な高速パッセージに立ち戻り、6曲目の「Love for Sale」は絶品中の絶品。緩やかなフレーズのキラキラ煌めく様な美しさ、高速パッセージの弾けるような躍動感。美しく親しみ易いフレーズを持ったジャズ・スタンダード曲を弾き綴るテイタムのピアノは「見事」の一言。

テイタムのフォロワーである、大ピアニストのオスカー・ピーターソンは、幼い頃、テイタムのレコードを初めて聴いてショックを受けて、暫くピアノを弾けなくなったという。判るなあ。僕もテイタムのソロ・ピアノを初めて聴いた時、唖然とした。最初は二人の「連弾」だと思った(笑)。

でも、アート・テイタムって、日本では紹介されるのは「まれ」。ジャズ・ピアノの歴史やルーツを押さえる上では、キー・パーソンの一人なんだけどなあ。とにかく素晴らしいピアノです。ジャズ・ピアノの歴史と系譜を理解するには「必須のアイテム」です。まずは、この『Art Tatum Trio』で、ジャズ・ピアノの「神様」を体感して下さい。

 
 

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Fight_3

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