「作り込まれた」感の 『Stuff It』
スタッフ3枚目のスタジオ録音盤である『Stuff It』(写真左)。なぜか、スタッフのファンの間でも、なかなかその名前が挙がらない、ちょっと可愛そうなアルバム。
出来が悪い訳では無い。しかし、デビュー作と前作は音作りの傾向はほぼ同じだったが、このサードアルバムは音作りの傾向が違う。プロデューサーが違うのが原因だろう。ライブ感が希薄になったというか、セッション的雰囲気が希薄になったというか、演奏全体の勢いが無くなったというか、大人しくなったというか、とにかく前作までとアルバム全体の雰囲気が違う。
ちなみに、ファースト・アルバムのプロデューサーは「トミー・リピューマとハーブ・ロヴェル」。セカンド・アルバムは「ヴァン・マッコイとチャーリー・チップス」。そして、このサード・アルバムの『Stuff It』は「スティーヴ・クロッパー」。
しかし、内容が劣っている訳では無い。ご機嫌ファンキーなノリは健在だし、R&Bでキャッチなインプロビゼーションも健在。しかし、前作までには無かった、ホーン・セクションやコーラスのアレンジやイージーリスニング・ジャズ的なアレンジがあしらわれており、恐らく、この「作り込まれた」感を違和感と感じて、ファースト・アルバムからのスタッフのファンは、この『Stuff It』を敬遠するのかも知れない。
それでも、縦ノリファンキーなガッドのドラムは相変わらずノリノリだし、クリストファー・パーカーとのツイン・ドラムスも健在。ティーの「どファンキー」なキーボードは更に磨きがかかり、コーネル・デュプレーとエリック・ゲイルのツイン・エレギはどこから聴いてもファンクネスの塊。ゴードン・エドワーズのヴォーカルも渋くて素敵。
よくよく聴き直してみると、やっぱり、ホーンやコーラス、ストリングスのアレンジが邪魔かな。作り込まれた感とデコレーションな雰囲気が、どうも邪魔に感じる面がある。悪くはないんですけどね。無くてもええやないか、と思ってしまうんですよね。恐らく、この作り込まれた感がこの『Stuff It』の評価を下げているのだと思います。
ホーン・アレンジまでは、R&Bな雰囲気作りってことでまだ良いんですが、コーラスやストリングスはやはり「蛇足」。ゴスペルチックなコーラスを被せなくても、本来のスタッフの演奏自体が限りなくファンキーだし、ゆったりとした演奏でのティーのキーボードとコーネル・デュプレー+エリック・ゲイルのツイン・エレギのユニゾン&ハーモニーは限りなくゴスペルチックなのだ。
シンプルでノリノリのファンキー・フュージョンなバンドが、手厚いアレンジを施されてポップさが増したところが減点対象か。でも、スタッフのファンの僕にとっては、このポップさも余り悪いものとは感じないので、僕としては、このアルバムも好きです。まあ、好きなモノは、多少のミスマッチはあっても好きは好き。「あばたもえくぼ」。惚れたもんの弱みですね(笑)。
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