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2011年10月19日 (水曜日)

仲間よ目をさませ!

高校時代、ロックの傍らで聴いていたR&Bのバンドのひとつに「War」がある。L.A.のゲットーから60年代末に出てきて、70年代一杯にかけてヒットを連発した、ファンキーなバンド。メンバー構成が、様々な人種の混合バンドだったので、それはそれはユニークなR&Bになってい た。

そんな「War」、デビュー作『The World is a Ghetto(世界はゲットーだ)』。このアルバムには、「世界はゲットーだ(The World Is A Ghetto)」(1972年7位)、「シスコ・キッド(The Cisco Kid)」(1973年2位)の2枚のヒット・シングルが含まれており、大ヒットアルバムとなった。

実にクールな響きを宿したR&Bとでも表現したら良いのか、モータウンを代表する黒人が演出する、商業音楽的なR&Bとはちょっと違う。音がクール。1972年11月のリリース。1960年代の終わり、サイケディックな雰囲気を十分に宿したアルバムだった。ちょっと、おどろおどろしい、ちょっと、前衛的な雰囲気が、その時代を反映している特徴だったと言える。

そんな「War(ウォー)」が、サイケデリックな雰囲気を脱ぎ捨て、1975年にリリースした『Why Can't We Be Friends?(邦題:仲間よ目をさませ!)』(写真左)。時代は、クロスオーバーからフュージョンに移行しつつある時代。このアルバムは、ウォーの「フュージョン・テイスト」を宿した、当時として、かなり先進的なアルバムだと僕は思っている。

デビュー・アルバム『The World is a Ghetto(世界はゲットーだ)』から、サイケな雰囲気というか、サイケな「毒気(?)」を抜いた、全体の雰囲気的には、後の「ソフト&メロウ」な、フュージョン・テイストなアレンジをしっかりと演奏の底に持った秀作。
 
_cant_we_be_friend
 
バックのリズム&ビートが、実にシンプルでソリッド。1960年代の終わりの「ファンキーな粘り」は全くもって、そぎ落とされている。クロスオーバーな時代を経て、R&Bと「ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」が合体したような、1975年当時としては、実に新しい、実に新しい演奏を聴くことが出来る。

加えて、メロウなオープニングからラテン・ファンクへと展開していく6分半のメドレー「Leroy’s Latin Lament」でも良く判るように、後の「ワールド・ミュージック」を織り交ぜたフュージョンの先鞭を付けているところが、このバンドの凄いところ。

曲毎に、カリビアンな雰囲気が漂っていたり、ラテンな雰囲気が漂っていたり、レゲエな雰囲気が漂っていたり、ソフト&メロウAORな雰囲気が漂っていたり、1970年代の終盤に流行った「ワールド・ミュージック」的なフュージョンの先駆的な演奏が楽しめるところが素晴らしい。

とにかく、クールでソリッドでワールド・ミュージック的な「フュージョンR&B」です。ジャンル不明の独特なR&B基調なフュージョンが楽しめます。ボーカルも好調で、小粋にお洒落に聴き流す感じで鑑賞するのがピッタリな、極上の「ワールド・ミュージック」的なフュージョンの先駆的名盤だと思います。

良いアルバムです。アメリカン・エンタテインメントを彷彿させるジャケットのイラストも秀逸。僕は、このジャケット・デザインが大好きでした。1970年代後半、このアルバムのジャケットを見ながら、このアルバムの演奏を流しながら、まだ見ぬ米国を想像逞しくしたものでした。学生時代の愛聴盤のひとつです。

 
 

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