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2011年10月26日 (水曜日)

スタッフで一番好きな盤 『More Stuff』

スタッフはフュージョン・バンドの中でも一二を争う「お気に入りのバンド」なんだが、そういえば、このブログで、そのスタッフの中で一番好きな盤について語っていなかった。

このスタッフというフュージョン・バンドにはホーンが無い。ジャズの語りの主役となるサックスやトランペットが無い。いわゆるジャズの世界のリズムセクションと呼ばれる楽器だけで構成されているのだ。つまりが、このリズムセクションが、圧倒的な馬鹿テクをもって、うねりまくるのだ。しかも、あくまで洒脱に、大人の音世界の中で「うねる」のだ。

そんな「うねりまくり」のスタッフの2枚目のアルバム『More Stuff』(写真左)。1977年のリリース。このアルバムでは、かなりソウルっぽく、ファンキーな色合いが前面に出ている。それが最大の魅力。

ひとつ間違えば「ポップな軽音楽バンド」と言われそうな、かなり、あからさまなソウルっぽさなんだが、スタッフというバンドは、やはり「ただ者」ではなく、その馬鹿テクと「うねり」で、きっちりとフュージョン・ジャズしてしまっているところが見事。とにかく、むっちゃファンキー。

このアルバムでも、やはり、主役は、キーボードのリチャード・ティーとドラムのスティーブ・ガッドで、このアルバムの全曲において、この2人は大活躍している。とりわけ、キーボードのティーは、歌まで披露しちゃっているのだ。

お世辞にもうまいとはいえないが、味のあるティーおじさんのボーカル。ラストの「Need Somebody」。とにかく渋い。おっと、ベースのゴードン・エドワーズも歌っているのを忘れていた。4曲目の「Love of Mine」。これもお世辞にもうまいとはいえんが、味のあるボーカルで、まあまあ聴けるから良しとしよう。
 

More_stuff

 
遡って、1曲目のティーのピアノを聴いてみると、ティーって、ピアノもうねりまくっている。フェンダーローズのように、朗々とねばり、うねるのだ。どうやって弾いているのかしらん。実に、ここちよく「ねばって」「うねって」いるのだ。

それと、このアルバムの最大のハイライトであり、フュージョンの名演のひとつであるのが、7曲目の「As」だ。この曲はスティービー・ワンダーの名曲であるが、この曲こそが、スタッフというバンドの特徴と良さを最大に引き出している。「うねりまくり」、「ねばり」、「ファンキー」にスイングする、見事な「スタッフ」がここにある。

しかし、このスタッフというバンドの再結成はもう無い。なぜなら、キーボードのリチャード・ティーとギターのエリック・ゲイルとコーネル・デュプリーは既に他界してしまっているからだ。今ではCDでしか「うねりまくり」のスタッフを聴くことができない。残念なことだ。

とにかくこのアルバムの魅力は、7曲目の「As」。そうスティービー・ワンダーの名曲のカバー「As」に尽きる。この「As」の3分28秒にスタッフの魅力の全てが凝縮されているのだ。
 
 
 
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