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2011年10月27日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・3

「こんなアルバムあったんや」シリーズ第3回目。決して、この「こんなアルバムあったんや」シリーズって、ジャズの「際物」盤をご紹介するシリーズではありません(笑)。純粋にその盤を手にとって聴いて、純粋に心から「こんなアルバムあったんや」と感心した盤をご紹介するシリーズです。

今回は「クラリネット・ジャズ」。クラリネットという楽器、昔からある楽器でポピュラーな存在。特に、ブラスバンドでは主要楽器としてメインに据えられる。クラシックのオーケストラのバイオリン的位置づけですね。当然、このクラリネットという楽器、ジャズにも活用されて然るべき楽器なのだが、ジャズの世界で著名なクラリネット奏者というのはそんなにいない。

パッと思い浮かぶ名前はバディ・デフランコとベニー・グッドマン。デフランコは1923年生まれながら、今も現役で活躍しているので馴染みが深い。そうそう北村英治もそうだ。マニアックなところでは、ピー・ウィー・ラッセル。でも、これくらいしか思い浮かばない。特に、1960年代のモード・ジャズの時代から、1970年代のクロスオーバー〜フュージョンの時代、1980年代のメインストリーム・ジャズ復古の時代と、著名なクラリネット奏者が出現していない。

クラリネットとジャズ。そんなに相性が悪いとは思えないのだが、と思いながら幾年月。今から6年ほど前、iTunesを徘徊していて、とても素晴らしい内容のクラリネット・ジャズのアルバムを見つけた。Don Byron『Ivey-divey』(写真左)である。2004年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Don Byron (cl, bcl, ts), Jason Moran (p), Jack DeJohnette (ds), Ralph Alessi(tp), Lonnie Plaxico (b)。

Don Byron(ドン・バイロン)って誰や。と調べてみると、1958年11月生まれ(僕と同じ世代かあ)、1990年代初頭、どこからともなく現れ出でて、クラリネットを自在に操り、久々に純ジャズの世界に、正統なクラリネット奏者の出現と相成った。テクニックは至極正統なもの。多種多様の音楽に精通しているようで、演奏するスタイルやジャンルは雑多。なんでも屋ではあるが、どちらかと言えば、新主流派系のメインストリーム・ジャズが良い。
 
Don_byron_ivery_divey
 
この『Ivey-divey』を聴くと、ドン・バイロンが如何に優れたジャズ・クラリネット奏者かが判る。正統な純ジャズ系の安定した定番フレーズから、フリーキーでアブストラクトなフレーズまで、キッチリと吹き切る。音の幅も広く、クラリネットを最大限に鳴らし切っていることが良く判る。とにかく上手いし、フレーズにもしっかりとした「歌心」がある。

収録された曲はどれも良い出来で甲乙付け難い。クラリネットを中心にジャズをバリバリと吹くところが爽快。基本編成がクラリネット、ピアノ、ドラムのトリオなので、実にユニークな音。クラリネットのちょっとほのぼのとした長閑な音が楽しい。

1曲目の「I Want To Be Happy」は正統な純ジャズ系の安定した定番フレーズから、フリーキーでアブストラクトなフレーズまでをバンバン吹きまくる、実にヘビーな演奏。ドラムがデジョネットなので、フロントが如何なる展開を仕掛けても、底辺を支えるリズム&ビートはガッチリと安定している。底のリズム&ビートが安定しているので、バイロンが跳んだり跳ねたりしても、演奏全体は全く揺るがない。

ユニークなのは、10曲目「Freddie Freeloader」と11曲目「In A Silent Way」。マイルスの名曲が並ぶが、どちらもその内容は非常に素晴らしい。クラネットの音色が、この2曲「Freddie Freeloader」と「In A Silent Way」に、こんなに合うとは思わなかった。目から鱗である。マイルスもビックリである。しっかりと盛り上がる「Freddie Freeloader」と「In A Silent Way」。実に新しい解釈です。この2曲は「聴きもの」です。

久々に純ジャズの世界に、正統なクラリネット奏者の出現。クラリネットのジャズはちょっと特殊な雰囲気なので「際物」扱いされそうですが、どうしてどうして、かなり内容の濃いメインストリームな純ジャズです。初めて聴いた後、「こんなアルバムあったんや」と唸ってしまいました(笑)。
 
良いアルバムです。僕のお気に入り盤として、今でも時々、バーチャル音楽喫茶「松和」に流れています。
 
 
 

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Fight_3

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