夏はボサノバ・ジャズ・その7 『SO & SO - Mukai Meets Gilberto』
今日は午前中はまだまだ夏の雰囲気で、日が照ると「暑いなあ」って感じだったが、午後、日が傾くにつれて、北寄りの風に変わった途端、ググッと涼しくなった。日が暮れて、完全に秋の涼しさになって、ほっと一息の我が千葉県北西部地方である。
北東に去った台風16号の影響だと思うが、夕方になって風が強くなった。しかも、北寄りの風になって、急に涼しくなった。秋の涼しさ。虫の声も落ち着いて聞くことができる涼しさ。これだけググッと涼しくなると、ボサノバ・ジャズのシーズンもそろそろ終わりかなあ、と万感の思いがこみ上げてくる(大袈裟か・笑)。
ということで、今日はボサノバ・ジャズの特集。今日のボサノバ・ジャズのアルバムは、Astrud Gilberto & Shigeharu Mukai『SO & SO - Mukai Meets Gilberto』(写真左)。日本のジャズ・トロンボーンの第一人者、向井滋春が、ボサノバの歌姫アストラット・ジルベルトと共演した、1982年はニューヨーク録音の作品である。
ちなみにパーソネルは、Astrud Gilberto (vo); Shigeharu Mukai (tb), Jeff Mirinov (g); Denny Morouse (ts, fl); Jorge Dalto, Eliane Elias (p); Anthony Jackson (b); Omar Hakim (ds); Manolo Badrena, Duduca Fonseca, Guiherme Franco (per)。目立ったところでは、ピアノにイリアーヌ、ドラムにオマー・ハキム、ギターにジェフ・ミロノフ、ベースにアンソニー・ジャクソンといった腕利きどころがズラリ。なんとも豪華なボサノバ・ジャズ盤である。
向井のトロンボーンは絶好調で、聴きどころ満載。向井のトロンボーンが堪能できるアルバムって、そうそう多くは無いから、このアルバムは貴重。トロンボーンの音色とブロウって、ボサノバに合っているようで、丸くゆったりと大らかなトロンボーンが、アルバム全編に渡って響き渡る。向井滋春本人も、このアルバムをお気に入りの一枚としているようである。
パーソネルを見渡しても判るように、このアルバム全体の演奏は、意外にも硬派なコンテンポラリー・ジャズで、なかなか聴き応えがある。ボサノバ・ジャズのアルバムだからといって、気安く入ると、いきなり冒頭の「Champagne and Caviar」のリズム・セクションの硬さに驚くことになる。とにかく、リズム・セクションが硬質でタイト。ガッチリ締まって、フロントを煽る。
逆に、この硬質でタイトなリズム・セクションは、アストラット・ジルベルトのホンワカ暖かくチャーミングな「ヘタウマ・ボーカル」には、ちょっとハードかなあ。向井のトロンボーンにはバッチリなハードさではある。
リズム・セクションが硬質でタイト、逆に、フロントのトロンボーンとボーカルが、伸び伸び、ゆったりと大らかで、暖かくてチャーミング。フロントとバックの対比がなかなか上手くマッチングしていて、聴き応えのある、コンテンポラリー・ジャズ的な要素が強い、ボサノバ・ジャズである。これってありそうで中々無い。このアルバムの雰囲気は個性的。
アルバム全編が37分弱と短く、現在、廃盤状態で入手するには中古盤を探すしか無い、というところが、このアルバムの唯一の難点かな。良いアルバムです。
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