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2011年9月22日 (木曜日)

ロックの側からのアプローチ

ジャズ批評・最新号の特集のお陰で「ジャズロック」の研究を始めた。と言って、「ジャズロック」は初めてでは無い。1970年代前半、クロスオーバー・ジャズが一世風靡した時代から「ジャズロック」を聴いていて、今回は、ちょっと体系立って、理屈を持って聴いてみようと思った。

今日は、サンタナの『Caravanserai』(写真左)。ロックから見て、ジャズ畑のジャズロック・マニアに聴いて欲しい、ロックの中での「ジャズロック」なアルバムの一枚として、このサンタナの『Caravanserai』が紹介されている。

判るなあ。このサンタナの『Caravanserai』って、インスト中心のアルバム構成なんだが、このインストが素晴らしい。スピリチュアルな側面あり、リズム&ビートが中心のエレ・マイルスな側面あり、アルバムのそこかしこに、マイルスやコルトレーンからの影響が感じられる。って気が付いたのは、かなり時間が経ってからだけどね。

3曲目の「Look Up (To See What's Coming Down)」の冒頭のアプローチなんて、これはマイルスの『オン・ザ・コーナー』のマナーを踏襲している。1曲目の「Eternal Caravan Of Reincarnation」の虫の音から始まり、ひしゃげた叫びの様なギターの音は、明らかに、コルトレーンの世界。

しかし、サンタナの優れたところは、エレクトリック・マイルスやスピリチュアル・コルトレーンを踏襲してはいるが、決して、コピーに走らない。ロック・ギタリストとして、ロックの側からジャズにアプローチして、ロックの真髄である「キャッチ&ポップス」な、聴き易く印象的なフレーズを繰り出して、誰にも判り易い「芸術性」を演出しているところが、ジャズ畑のミュージシャンとは一線を画する絶対的な個性である。
 
Cravanserai
 
確かに、4曲目の「Just In Time To See The Sun」などは、明らかに、エレクトリック・マイルスのアプローチなんだが、リズム&ビートがロックで、繰り出されるフレーズがキャッチャーで親しみ易い、そして「乗りやすい」。この「乗りやすい」ところが、ロックならではの「キャッチ&ポップス」が成せる技で、ジャズ畑には、なかなかこうはいかない。

5曲目の「Song Of The Wind」なんぞは、これはもう「サンタナ・オリジナル」。ジャジーでスピリチュアルではあるが、ロックギタリストならではの個性的フレーズを繰り出す繰り出す(笑)。マイルスやコルトレーンのリスペクトの念を抱きつつ、決して迎合すること無く、ロック・ギタリストとしての「ジャズロック」を表現する。そんなところに、サンタナの「矜持」を感じる。

1970年代、リアルタイムでこのアルバムを聴いていた時代は、トータル・コンセプトに基づいたドラマチックかつプログレッシヴな展開を捉えて、「サンタナのプログレッシブ・ロック」として扱われていたが、今の耳で聴くと、ロックの側からアプローチした「ジャズロック」だろう。

良いアルバムです。ジャズ者の方々の中に、ロックって「単純な大衆迎合な音楽」と安易に切り捨てる方もいらっしゃいますが、このサンタナの『Caravanserai』などは、内容的にジャズに十分対抗し、「キャッチ&ポップス」という点ではジャズを凌駕する、全編に「アーティスティック性」と「ポップス性」を両立させた、実に内容の濃いアルバムだと思います。

ロックだからといって馬鹿にするなかれ。理由無き、体験すること無き先入観はいけません。まずは聴くこと。聴いてから「切り捨てる」のは人それぞれ。罪作りなのは、体験無き先入観だけで「切り捨てて」しまうこと。ロックの名盤の中には「芸術性」豊かなアルバムが多々あります。

   

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Fight_3
 
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