これぞ米国西海岸ジャズ 『The Complete Free Wheeling Sessions』
さすがに9月に入って、朝や夜は涼しくなって、凌ぎ易くなってきた。凌ぎ易くなって、やっとジャズについても、色々なバリエーションのジャズが聴けるようになった。今日は米国西海岸ジャズ。アート・ペッパー中心に聴き込んでいる。お洒落にアレンジされた、聴き心地の良いジャズ。秋にピッタリ。
選んだアルバムは、Art Pepper & Ted Brownの『The Complete Free Wheeling Sessions』(写真左)。パーソネルは、Art Pepper (as) Ted Brown, Warne Marsh (ts) Ronnie Ball (p) Ben Tucker (b) Jeff Morton (ds)。1956年11月26日のロサンゼルスでのセッションを集めたもの。
以前にリリースされたアルバムとしては、Ted Brown名義の『Free Wheeling』と、アート・ペッパー名義の『The Way It Was!』と『Art Pepper With Warne Marsh』の3枚にまたがる。
この『The Complete Free Wheeling Sessions』は、CD時代の賜といえる。Art Pepper & Ted Brownのコラボのセッションの全てを、収録時間的に言って、CDの時代だからこそ、コンプリートに収録できる。
この『The Complete Free Wheeling Sessions』には、当時の米国西海岸ジャズの個性の全てがギッシリと詰まっている。テッド・ブラウンの秀逸なアレンジ。音の重ね方が実にお洒落なユニゾン&ハーモニー。
そして、インプロビゼーション部に入って、縦横無尽、自由闊達に吹きまくるアート・ペッパーのアルト・サックスが凄い。切れ込むような、切れ味鋭い、良く伸びるアルトのブロウ。低音をしっかり押さえつつ、太くて面積の広い、きめ細やかではあるが大らかなマーシュとテッドのテナー。アルトとテナーの対比が、その音の個性が美しい。
アップテンポの軽快な曲も、印象的な緩やかなテンポのバラードも、しっかりと米国西海岸ジャズ独特のアレンジに乗って、とても洒脱に響く。米国東海岸ジャズの「煙と汗」に相対して、「カクテルとダンス」。意外と当時の米国西海岸ジャズは「踊れる」。洒脱という言葉がピッタリのアレンジの妙。
アルバムの全ての演奏が、米国西海岸ジャズの好例。1950年代の米国西海岸ジャズを体験するのに、実に最適なアルバムだと思います。アート・ペッパーのマニアの方にも大のお勧め。絶好調のペッパーのアルトを聴くことが出来ます。
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