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2011年9月20日 (火曜日)

ビル・エバンスの初来日を捉える

ビル・エバンスが初来日を果たしたのは1973 年1月。エディ・ゴメス(b)、マーティ・モレル(ds)とのトリオでの来日で、全11回の公演を行った。エバンスは、日本における自分の人気に驚くことになる。

その時の様子が窺い知れるライブ盤がある。『Tokyo Concert』(写真左)。1973年1月20日、東京郵便貯金ホールでの演奏を収録したもの。初来日の様子を捉えた貴重なライブ盤。エバンスをジャズ・ミュージシャンとして、アーティストとしてリスペクトし、エバンスの演奏を心から愛する日本の聴衆の気持ちが、このライブ盤から伝わってくる。

タッチの強い、バップ系なスタイルのビル・エバンスの本質を感じるには、1970年前半の録音のライブ盤が良い。ハードボイルドにリリカルに、限りなく美しい。

しかし、この1973年の日本公演のライブ盤は、そんなエバンスの本質を十分に感じることが出来る上に、他の同時期のライブ盤には無い、エバンス・トリオの、誠実で丁寧で、かなり気合いの入った様子が、ビンビンに伝わってくる。これだけ素晴らしい聴衆に恵まれているのである。気合いを入れて演奏しない方がおかしい(笑)。

司会者(いソノ・てルヲ氏だったと思う)のメンバー紹介から割れんばかりの嵐のような拍手。この拍手が凄い。聴衆の想いが伝わってくる。そして、一瞬の静けさ(この静けさが日本独特)があって、演奏する方、聴く方、双方の集中力が高まって、静かに。トリオの面々が囁くように始まるのが「モーニング・グローリー」。素晴らしいテンション、素晴らしい集中力。
 
  
Bill_evans_tokyo
 
 
以降、ラストの「グリーン・ドルフィン・ストリート」まで、この素晴らしいテンション、素晴らしい集中力、誠実で丁寧で、気合いの入った演奏が続きます。しかし、誠実で丁寧な演奏なので、聴き疲れすることは全く無い。素晴らしいライブ盤です。ビル・エバンスの屈指のライブ盤です。その場に居合わせたかったなあ。

なお、この初来日時の有名なエピソードに、ビル・エバンスの風貌の話がある。ビル・エバンスの風貌と言えば、『ポートレイト・イン・ジャズ』や『エクスプロレーション』のジャケ写真にあるように、ポマードで髪をビシッと撫で付けた、求道者風で哲学的なイメージが強い。

しかし、初来日時は、そんなストイックなイメージとは裏腹に、ロング・ヘアーにチョビ髭という風貌で現れ、当時のビル・エバンス者たちは戸惑いに戸惑ったそうである(笑)。

でも、ロング・ヘアーにチョビ髭というワイルドな風貌でも、エバンスの知的でクールなイメージは変わりは無いように思いますが。その初来日時の風貌は、このライブ盤『Tokyo Concert』のジャケ写真で確認することが出来ます。

なお、エバンスは、マーク・ジョンソン(b)、フィリー・ジョ-・ジョーンズ(ds)とトリオを組んで、1978年に2度目の来日を果たしています。この時のライブ盤が無いのが惜しい。ブート盤にはあるのかな。一度は聴いてみたいですね。
 
 
 
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