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2011年9月11日 (日曜日)

ザ・バンドの原点を再確認する

ライブ盤『ロック・オブ・エイジス』のリリースで、バンドのキャリア第1期の総括をすませた、我らが「The Band」。

総括を済ませて、一服している間に、ロビー・ロバートソンのソング・ライティングのモチベーションが低下。有名になった分、次なる新作の期待に高まるプレッシャー。そんな中、ザ・バンドは、再び、第1期の総括として、全曲ロックンロールやR&Bのオールディーズの名曲に彩られたカバー集を選択した。

1973年発表作品。チャック・ベリー、エリヴィス・プレスリー、ファッツ・ドミノなどの名曲カヴァーで構成されたアルバム『Moondog Matinee』(写真)。

リーダーのロビー・ロバートソンいわく、「このアルバムは単なるオールディーズのカバー集ではなく、オリジナル曲が充分表現できなかった部分を補おうとしたものだ」。これはちょっと格好つけ過ぎかと思うが、この『Moondog Matinee』は、形こそカバー集ではあるが、ザ・バンドの原点を再確認出来る、ザ・バンドとしての重要な位置付けの作品であり、傑作である。

このアルバムでは、ザ・バンドは、オリジナル曲それぞれに、ザ・バンド風の解釈とアレンジを施すことによって、オリジナルな演奏とは異なる「音の魅力」を引き出し、単なるカバー集ではない、ザ・バンドの解釈とアレンジを前面に押し出した「オリジナル越えのカバー集」を狙ったということだろう。
 

Moondog_matinee

 
この目論見は成功している。カバーした曲は、どれもが「ザ・ ホークス」と名乗っていた、ロニー・ホーキンスのバック・バンド時代から馴れ親しみ、曲の魅力を熟知したR&B、オールティズ、ロックンロールである。ザ・バンドならではの解釈とアレンジは秀逸で、アルバム収録における音作りにも様々な手を加えており、メンバーそれぞれが活き活きと演奏している様が感じ取れる。

マニュエル節炸裂の 「Share Your Love」「Great Pretender」。ダンコの名唱中の名唱「Change Is Gonna Come」。レヴォンの唄うロックンロール・ナンバーも味があって聴き応え十分。こうやって並べてみると、ザ・バンドで優れたボーカリストが3人もいたんやなあ〜、と改めて感心する。

R&B、オールティズ、ロックンロールの名曲をカバーしているが、全然黒っぽさがない。むしろフォーキーでサラリとしている。当時、スワンプ・ロック系の演奏は「米国南部のルーツ音楽的なねちっこい音」を目指していたんですが、ザ・バンドは、意外とあっさりしていて、乾いた音なんですね。この個性が、当時、クラプトンやハリスンらがはまった「スワンプ」とは一線を画するところで、ザ・バンドが「米国ルーツ・ロックの祖のひとつ」と位置づけられる所以かと思います。

アルバム・ジャケットもなかなか凝っていて、もとのスリーヴは黒地に文字が入っているだけのシンプルかつ地味なものですが(写真右)、そのスリーヴに、オールディーズ時代の街の風景とバンドのメンバーが要所要所に配置されたイラストポスターが巻かれていて(写真左)、実に素敵な、アメリカン・チープなジャケットに仕上がっています。日本の紙ジャケにて、このLPの凝ったジャケットが、ほぼ忠実に再現されているので、興味のある方は、この紙ジャケを探されてみてはいかがでしょう。

 

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