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2011年8月 3日 (水曜日)

70年代のロンは評価が難しい

ジャズ・ベースと言えば、ジャズ入門本、ジャズアルバム紹介本からすると、まずは「ロン・カーター」と言う名前が返ってくる。ジャズ・ベースを聴くなら、まずは「ロン・カーター」を聴け、と。しかし、ロン・カーターは、生涯を通じて、水準以上の演奏は保っているものの、当たり外れが激しい。

特に、70年代のロン・カーターは評価が難しい。ほぼ、CTIのお抱えベーシストとして、ファースト・コールの地位を確立していた。が、電気的増幅した、締まりの無い「ドローン」とした音、しかも、度々、ピッチが合っていない。これには閉口する。70年代のロン・カーターは名前だけでは評価出来ない。

ここに『Piccolo』(写真左)というアルバムがある。ロン・カーターのピッコロ・ベースをフィーチャーした、LP時代は2枚組のライブ盤です。1977年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Kenny Barron (p), Buster Williams (b), Ben Riley (ds) 。

ロンのピッコロ・ベースは、リード楽器として前面に出て、旋律を奏で、そしてインプロビゼーションを展開する。バッキングに回っても、マイクで増幅されたベースラインは、演奏全体の前面に出張ったまま。

ロンのテクニックは凄い。超絶技巧、他になかなか追従を許さない、素晴らしいテクニックであることは判ります。でも、ちょっとピッチが合っていない状況も露わになって、テクニックが映える分、ちょっと安っぽいというか軽い感じが漂うことところがこのライブ盤の弱点。

ベースはジャズにとって非常に重要な楽器だと思っている。ジャズの命は「リズム&ビート」だと思っているが、リズムは、ドラムがしっかりとキープしリードする。そのリズムに「ビート」という彩り、例えば、ビートの長さ、ビートの間、ビートの粘り、ビートの明暗をコントロールする非常に重要な任を担うリズム・セクションの要である。

Piccolo

そのベースが、サックスやトランペットの様なフロント楽器として、演奏の前面に出て、旋律を奏で、そしてインプロビゼーションを展開するのだ。逆に、ロンのベースは本来の任を果たせないので、ロンはリードに徹するために、というわけでしょうか、ベースをバスター・ウィリアムスと2本立てにして、本来の任はウィリアムスに任せています。

が、やはり、ベースという弦楽器がフロントを張るのは、ベースの音色と音の表現と奏法を鑑みて、やはり無理があります。本来の任、リズムに「ビート」という彩り、例えば、ビートの長さ、ビートの間、ビートの粘り、ビートの明暗をコントロールする役割を担いながら、要所要所でキメのソロを展開する、という従来からのお決まりのルーチンが一番相応しいと思います。

ロンがあまりにも前へ出過ぎている。バッキングに徹するバスター・ウィリアムスのベースを打ち消す位の、前面に押し出たイケイケのパフォーマンス。ジャズの命である「リズム&ビート」が停滞してしまっていて、演奏のボトムが抜けたような、ボトムが存在しない様な、なんだか座りの悪い、ちょっとスカスカの演奏になっているところが残念です。

ベースは基本的にフロント楽器に向かない。サックスやトランペットの様にフロントを張ると、かなり無理があることがこのライブ盤を聴いていて判ります。ベース本来の任をもう一人のベーシストに担わせる、という発想は正解だと思いますが、フロントの張り方が課題だと思います。

どうも、ロンが前へ出ようとすればするほど、そのセッションではロンの問題点が露わになるみたいで、特に、70年代のロン・カーターは評価が難しいです。

とにかく、70年代のロン・カーターのリーダー作は、実際に一枚一枚聴いてみて、その内容を判断することが必要です。70年代のロン・カーターは、その「有名な名前」だけでは評価出来ません。有り体に言うと「当たりもあれば外れもある」ということ。

 

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