酷暑の夏は「バイオリン・ジャズ」
今年の夏は酷暑。しかも蒸し暑い。もうハードな純ジャズは駄目。暑くて駄目。出来る限り爽快感のあるシンプルなジャズが良い。爽快感ってなあ、っと思案投げ首していたら、「バイオリン・ジャズ」を思い出した。バイオリンの音って、シンプルな爽快感がありますよね(ちょっと強引か?)。
ジャズにおけるバイオリンの存在は、かなり異端な存在で、海外でも、ジャズ演奏家としての有名どころは、ステファン・グラッペリをはじめ、数名を数える程度。楽器としては、基本的には、ジャズ・ベースと同じ弦楽器なので、楽器としての構造上、ジャズの旋律が弾きにくいという訳ではないのだが、なぜか、ジャスのジャンルで、バイオリンをソロ楽器として、弾きこなすミュージシャンはとても少ない。
その、なぜか異端的な楽器、バイオリンを引っさげて、寺井尚子がデビューしたのが、1998年。まず、そのデビューに関する記事を雑誌で見たときは、その顔立ちとスタイルの良さとバイオリンによるジャズ演奏という物珍しさから、人気優先型のいわゆる「レコード会社によって、売るために作られたミュージシャン」だと思った。
そのデビュー盤が『Thinking of you』(写真)。寺井尚子の顔立ちの良い容貌と「ジャズでバイオリンを弾きこなす」ということが何故かアンバランスで、実に作為的に感じたのだった。故に、当初は避けて通った。が、このデビュー盤の1曲目と3曲目、10曲目を見て、「これはちょっと聴いてみるか」という気になった。
その1曲目は、名盤「ブルースの真実」中の名曲「ストールン・モーメンツ」。そして、3曲目は、ビ・バップの名曲、チャーリー・パーカーの名演で有名な「ドナ・リー」。10曲目は、ジャズの高僧、その特徴的な旋律で、ワン・アンド・オンリーな光彩を放ち続けるセロニアス・モンクの「ストレイト・ノー・チェイサー」。
いずれの曲も、正統派ジャズの代表的名曲中の名曲で、この名曲を、デビューアルバムで、しかも、バイオリンで演奏するなんざあ、ひ弱なタレント・ミュージシャンのすることでは無い、と感じたのだ。
そして、「買って正解、聴いて正解」。そのテンションの高い、チャレンジブルな内容は、特筆に値する。バイオリンを使ったジャズ演奏が、こんなに楽しいものとは知らなかった。特に、10曲目の「ストレート・ノー・チェイサー」なんぞは「かっこええなあ」の一言。彼女自身の自作の曲もなかなかの出来で満足。見かけで判断は禁物、まずは聴くべし。
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