フュージョン・フルートの秀作です
ヒューバート・ロウズ(Hubert Laws)。1939年11月生まれ。アフリカ系アメリカ人のジャズ・フルーティスト。万能のフルート奏者。1970年代にはグラミー賞に3回ノミネートされた様に、フュージョン・ジャズのジャンルで活躍した。現在も現役。90年代以降はメインストリーム・ジャズ志向。
僕は、フュージョン・ジャズ時代のヒューバート・ロウズについては、ほぼリアルタイムで聴いていて、ロウズのストレートでエッジが丸い、ふくよかで切れ味の良いフルートの音色が大好き。そんなロウズではあるが、彼のリーダー作の復刻はあまり進んでいないようで、まだまだたくさんの未CD化作品があって困る。
なぜなら、ヒューバート・ロウズのフルートの代表盤というのが、なかなか見当たらないからだ。彼のアルバムは多々録音されているが、これがなかなか復刻されない。確かに、ジャズ・フルートは、ちょっと特殊でマニアックな扱いをされているので、復刻CDの需要が無いと思われいるに違いない。そんな環境から、今まで、ヒューバート・ロウズの代表盤を選ぶことが出来ないでいた。
しかし、このアルバムを手に入れてから、やっと、このアルバムはヒューバート・ロウズの代表盤として評価しても良いのではと思った。そのアルバムのタイトルは『Morning Star』(写真左)。1972年の録音。
ちなみにパーソネルは、Hubert Laws(fl), Bob James (el-p), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Dave Friedman(vib,per), Ralph MacDonald (per), orchestra arranged & conducted by Don Sebesky。CTIフュージョンのファースト・コールなジャズメンがズラリと並ぶ。壮観である。
ヒューバート・ロウズのフルートが心ゆくまで堪能出来るアルバムです。ロウズのストレートでエッジが丸い、ふくよかで切れ味の良いフルートが全編に渡って展開されます。ここまで吹きまくるロウズのアルバムは初めて。実は、僕はこのアルバムの存在を最近まで知らなかった。たまたまネットを彷徨っていて偶然見つけたアルバムでした。
いや〜、これが良いんですよ。アルバム全体の雰囲気は、ドン・セベスキーがアレンジを担当した、それはもう絵に描いた様なCTIフュージョン。ゴスペル色の強い深みのあるメロウなグルーヴが心地良い。このメロウ度の高さは、1970年代後半、AORの時代のアルバムか、と思うんだがさにあらず。1972年。時代は、まだまだクロスオーバー・ジャズの時代。でも、このアルバムに収録されている音は、フュージョン・ジャズそのもの。しかもソフト&メロウ。
パーソネルを見渡して、アレンジがドン・セベスキーなので、ボブ・ジェームスがエレピで参加していることに意味があるのかと思ったりしたんですが、これがまあ、意味があるんですよね。このアルバムでの、ボブ・ジェームスのエレピ(フェンダー・ローズだと思う)が凄いんですよ。
もともとボブ・ジェームスのエレピは優れたものなんですが、それがこのアルバムでのエレピの演奏を聴いて良く判る。それはもうテクニック抜群、歌心抜群、フェンダー・ローズを理解し、エレピならではの音を展開していく、このアルバムでのボブ・ジェームスは凄い。
これだけエレピを弾きまくるボブ・ジェームスはなかなか体験できません。それだけでもこのアルバムには存在価値がある。特に、ボブ・ジェームス者、ボブ・ジェームスのファンの方々には必須のアルバムでしょう。
ドン・セベスキーの弦のアレンジも秀逸で、弦入りのゴージャズなフュージョン・ジャズは、かなりの聴き応えです。牧歌的に仕上げられた「Amazing Grace」も聴きもの。良いアルバムです。やっとフューバート・ロウズの代表作に出会った気がします。
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